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連載:第2回 慣習に囚われない 改革の舞台裏

「1個198円」の法則から誕生した「逆算経営」 〜儲からないと言われる事業の収益構造化戦略〜

BizHint 編集部 2019年1月21日(月)掲載
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どんな産業においても、経営者が思案することの一つは「毎期、確実な売上を作ること」。しかし、自然を相手にする必要がある一次産業の「農業」では、その確実性を担保するのは至難の業でもあります。「業界による差異はあれど、『儲からない』と言われるビジネスでも、着眼点を変えて経営戦略に基づいて取り組めば、利益は必ず出る」と言い切るのが、テラスマイルの代表取締役社長 生駒祐一氏。データを活用した「逆算経営」によって農業でも儲かる仕組みを構築した同社は、「農業×IT」でスマート農業時代の新たな指針を創ることをビジョンに掲げ、長年に渡って暗黙知として属人化されてきた個人のノウハウやスキルを、テクノロジーで可視化。それぞれの農作物にとって最適な畑の面積や人員、労働時間をデータによって算出し、「儲かる農業」の実現を支援しています。「やり方次第で、農業は儲かる」と語る生駒氏にその真意を伺いました。

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テラスマイル株式会社

代表取締役社長 生駒 祐一氏

2011年より宮崎県に渡り、企業参入型農業法人の運営マネージャを経て、2014年「楽しく働く街づくり」をビジョンに掲げた九州発農業ベンチャー、テラスマイル(本社:宮崎市)を創業。 2017年冬、農業に特化した経営分析を行うためのクラウドシステム「RightARM」をリリースし、主に九州を中心に展開する。テラスマイルが行う経営分析の手法・活動は2018年3月の衆議院農林水産委員会・農林水産省・九州総合通信局・九州経済産業局でも先端事例として紹介された。 また、2018年には、農林水産省 高度先端型技術実装促進事業(2018)等にも採択され、九州を主拠点に、スマート農業やアグリテック時代のデータ基盤を構築すべく活動を行っている。 グロービス経営大学院2010年卒業(MBA)・ソフトバンクアカデミア(外部生)。G1地域会議メンバー、中小企業大学校 講師(農業ビジネス)、アグリイノベーション大学校講師、ETIC MAKERS UNIVERSITYメンター他。


「経営困難」な農業でも、「儲かる仕組み」は作れる

――生駒さんが数あるビジネスの中で「農業」に注目した理由をお教えください。

生駒祐一氏(以下、生駒):大前提として 「農業は、きちんとやれば儲かるビジネス」なのです。 ただ、やみくもに農作物を決めて、周囲の真似をして、なんとなくやっても、儲かりません。株式市場と同じで、市場のポテンシャルを見定めて、機を見て参入すれば、きちんと利益は出せます。例えば、単価が高い作物であっても、作る人が沢山いたら市場が飽和状態になり、値段は下がってしまう。逆に、作るのに手間がかかる農作物は、みんなが手を出さないので高収益を生むこともあります。

――そもそも、なぜ「農業は儲からない」という印象があるのでしょうか。

生駒: これには日本の農政が大きく関わっていると思います。現在の農業業界では、就農段階から政府が補助金(給付金)等で助けてくれるので、農家は栽培技術に意識が偏ってしまいます。更に販売は農協にお任せという意識を植え付けられるため、経営意識を養う機会が後ろ倒しになり、気づくと『経営』に向き合えない人ばかりが集まる世界になってしまった。そんな 農家の経営意識の低さを自治体やJAがフォローするという悪循環が生まれていた のが、数年前までの日本の農業政策です。

さらに、「農業従事者は時給1500円稼げる」という過去の経営指針が独り歩きしているため、新規就農者が入ってくるものの、指針通りやってもうまくいかず、結果、儲からずに辞めていくわけです。すると、今度は「農業で儲かるなんて嘘だった」と噂が広まってしまう。このサイクルが続いていった結果、「農業は儲からない」という考えが広まっていったんですね。

――正しくやれば結果は出るのに、知識や経営力がないために誤った概念が広まったのですね。

生駒: はい。だからこそ「これまでに蓄積した農業のデータに基づいて経営の定石を踏めば、儲かるはずだ」という確信がありました。もしくは「この農作物は、どこで儲けるのか」を定量的に見える化する必要があると考えたのです。最初は農業コンサルタントとして取り組み九州では有識者となったのですが、これだけではなかなか国全体を変えることはできません。そのため、2017年にクラウドで農業を仕組み化する「RightARM」というデータ基盤を作り、農業で成功したいという人をもっと応援していこうと考え、動き始めました。

「海外に後れを取る」日本の農業経営

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