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2019年4月9日(火)更新

社員紹介制度

社員紹介制度は「リファラル採用」「リファラルリクルーティング」と呼ばれる採用活動の一つです。導入した場合の会社・労働者双方に発生する4つのメリットや、労働基準法・職業安定法上の注意点、報奨金の具体的な導入方法を順に説明します。不明点は専門家の力を借りましょう。実際に導入した企業の成功事例も、あますことなく紹介します。

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「社員紹介制度」とは

社員紹介制度とは、企業が行う採用活動である「リファラル採用」の一つです。会社に勤める労働者が知人を勤務先に紹介し、その知人が採用に至った場合に、紹介を行った労働者が会社から一定の金額を受け取ることができる制度です。縁故採用、いわゆる「コネ入社」とは異なり、一般的な採用と同様の選考手順を踏んだ上で入社の決定がなされる点に特徴があります。

社員紹介制度を導入するメリット

少子高齢化が加速する中、優秀な人材を確保することは各会社において急務となっています。そのような中、新たな採用システムとして注目されている社員紹介制度には、さまざまな効果が期待されています。

求人・採用コストが抑えられる

会社が行う求人活動には、企業展への出展や求人サイト・雑誌への広告掲載依頼、人材派遣会社への依頼などさまざまなものが挙げられますが、どれもそれなりの費用がかかることがネックです。一方、社員紹介制度の場合は従業員がいれば成り立つため、採用コストは必要ありません。

適性を有した人材を確保しやすい

不特定多数を対象とした採用活動を行う場合、応募者が必ずしも企業側の求める人材とは限らないケースがあるため、筆記試験や複数回の面接実施など、採用戦略を綿密に立てる必要があります。しかし、社員紹介制度ならば、会社の特色や事情を熟知した従業員が適正だと判断した人材を紹介してくれるため、会社にマッチした人材を確保しやすいというメリットがあります。

社員の活性化

紹介した社員が採用されることで一定額が支払われるという社員紹介制度の存在は、社員自身のモチベーションアップにつながります。また、金銭的な理由がなくとも自分の紹介した社員が同僚となって勤務するという事実は、社員自身のやる気にもつながり、社員同士のチームワーク強化へとつながります。

離職率が低くなる

紹介を行った社員も、紹介されて新たに入社した社員も、紹介という手続きを介することで責任感が生まれやすくなります。それに伴い社員同士の関係が強固なものとなり、「働き続ける」環境が当たり前という状況になるにつれ、離職率が低下していきます。

法律上の注意点

先に述べたように、さまざまなメリットが見込める「社員紹介制度」ですが、実は導入する場合にはいくつか気をつけなければならない点があります。

社員紹介制度は労働者の採用にかかわる制度であるため、まずは導入前に労働者に与えられるべき最低基準が定められた「労働基準法」と、労働者の募集や採用、職業紹介などについての基本ルールとなる「職業安定法」の内容を理解しておかなければなりません。

労働基準法上の見解

労働基準法6条には「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」という一文があります。

これを社員紹介制度に当てはめた場合、社員が社員紹介を業務の一種、つまり「業として」実施した場合、労働基準法違反となる可能性が生じることとなります。社員紹介にまつわる金銭目当てに大量の候補者を広く募る行為などは法に抵触するリスクがあるため、避ける必要があるでしょう。

職業安定法上の見解

職業安定法40条には「労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。」という一文があります。

これは、求人募集にかかわる労働者に報酬を与えてはならない、という意味で、社員紹介制度により紹介元の労働者が受けた紹介料が報酬とみなされた場合は、違法となります。これを避けるためには、就業規則などで紹介料は報酬ではなく、賃金や給料の一種である、と定義づけなければなりません。

導入する際の注意点

社員紹介制度にまつわる法律の内容を理解したところで、実際に制度を導入していきます。注意すべきポイントとしては、あらかじめ導入後のイメージを固めておくことです。導入後の実績見込みやうまくいかなかった場合のリスクなどを踏まえた上で、支給する金額や要件などを検討していくことになります。

就業規則の見直し・改定

導入にあたって行うべきことは、現状の就業規則の見直しです。自身の会社の従業員の雇用形態、実際の働き方を再確認した上で、今後必要となる人材のモデルを固めていきます。

その上で、職業安定法に触れない内容で制度を導入するため、紹介料が報酬ではなく賃金や給料である旨を明記する必要があります。たとえば、「奨励手当」などの手当として扱う方法や、報奨制度の一項目とする方法などが挙げられます。なお、報奨制度として支払う場合は、制度の明記は法定義務です。さらに、10名以上の従業員を雇っているならば労働基準監督署への届け出が必要です。

あわせて現行規則の確認を

新たに制度を導入し就業規則を改定する場合、必ず行わなければならないのが現状の就業規則の確認です。そもそも、現行規則が法に触れていては意味がありません。規則に記載すべき内容が網羅されているか、特に残業代や定年、育児・介護休業制度など、度重なる雇用関係の法改正に対応できているかについてもチェックをする必要があります。

支給内容を明確に

新たに導入する制度の内容が固まったところで、実際に就業規則へ制度の内容を記載する段階へ入ります。その際には、次の3点を明確にしていく必要があります。

対象となる従業員の範囲

まずは社員紹介制度の対象となる従業員の範囲があります。「入社〇年目の正社員」など、ある程度会社のルールを熟知した者を対象とするのも一つの方法です。

支給条件

支給条件も重要なポイントです。紹介を受けて入社した社員がすぐに辞めてしまった、というリスクに備え、条件に在籍期間を定める方法などが挙げられます。そして、同一の従業員に対する支給回数の制限を設けることで、労働基準法で禁じられている「社員紹介=業」という指摘を避けることができます。また、手当や報奨金を入社した社員の経歴や実績、取得資格に応じた額とする方法も有効です。

支給金額

紹介料については、法律による明確な規定や国による指針は設けられていません。そのため、実際の金額は各企業の判断にゆだねられることになります。ただし、あまりに高額な金額とするのは好ましくありません。あくまでも、社内の給与や各種手当の内容から外れない程度の金額を設定する必要があります。

金額の相場については会社の規模や業種によって異なるものの、数万円程度というケースが多く見られます。

不安な点は専門家に相談を

社員紹介制度はメリットの多い制度ではありますが、法律が関わる内容となる上、具体的な数値目標や支給額の設定など、導入する際には何かと不安を感じるのも事実です。そのような場合は、法律のプロである弁護士や社会保険労務士に頼る方法が有効です。

初回の相談料は無料をうたっている専門家も多いため、まずは相談をしてみるのも良いでしょう。その他、採用を専門とした会社や人事コンサルタントなど、手助けをしてくれる立場の者も多くいます。

社員紹介制度導入における成功事例

実際に、社員紹介制度を導入したことで、目に見える成果を出している企業もみられます。

Web制作に携わる面白法人カヤックでは、2014年7月より勤務する全ての社員を人事部の業務を兼ねるものとする「ぜんいん人事部化計画」を発足させ、社員紹介活動を推奨しました。全社員が人事部としての活動を進めることで社内での風通しが良くなり、社員紹介による面接数は同年6月以前に比べ2倍に跳ね上がり、結果として採用コストを25%ダウンさせることに成功しています。

【参考】日経ビジネスONLINE:社員全員が人事部になったら採用コストが25%下がった話

また、導入した社員紹介制度をより活性化させるため、短期間のイベントを実施する方法も有効です。

株式会社LIGでは、2015年7月より一か月間、「LIGスカウトキャンペーン」というイベントを開催しました。複数のチームで社員紹介数を競い合う形を取り、成績を収めたチームには賞品が付与されます。優勝をしていないチームにも、社員紹介活動を実施したことに対する賞品を準備することで、チーム全体の士気を高める効果を狙いました。イベント実施にあたり、求める人材や紹介に至るまでの手順を共有させることで、社員紹介による採用数が4倍に急増しました。

【参考】Clil CROSSWISH 採用サイト制作Pro:今注目される「リファラル採用」とは!?

一方、株式会社エウレカの場合、社員紹介制度による採用人数を全体の50%に引き上げることを目標とし、90人の社員に対して全体で100名の紹介人数を達成するよう促すキャンペーンを行いました。具体的な数値目標と社員全体の採用に対する意欲を高めることで、開始1ヶ月半ですでに10名の採用が決定することとなりました。

【参考】Work Switch:採用人数の50%を社員経由に。たった3ヶ月で全員採用を企業文化にした、エウレカ流「リファラルリクルーティング」成功の秘訣(前編)

まとめ

  • 新たな採用システムとして注目される社員紹介制度には、採用コスト削減やマッチング率のアップ、社内の活性化や離職率の低下など、さまざまなメリットがある。
  • 社員紹介制度を導入する前に、労働基準法や職業安定法など、労働者の権利や採用にまつわる基本的ルールを熟知した上で、法に沿った内容で実施するのが原則。
  • 実際に導入する場合は、まずは就業規則で現状の社内ルールを確認した上で、導入後のシミュレーションを行いながら具体的な支給要件や金額を定めていく必要がある。

<執筆者>加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

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