連載:第5回 「人材マネジメント」のツボ
組織のピンチを救った「ななめの繋がり」。リクルートキャリアに学ぶ組織活性化のヒント
『図解 人材マネジメント入門』の著者であり、人事コンサルタントの坪谷邦生さんが、成長する組織の原理原則と実践を探る連載。今回はリクルートキャリア社の人材マネジメントを紐解きます。親会社であるリクルート社は日本企業の中で独自のポリシーを貫き、強い組織文化を形成。一人ひとりが起業家精神を持ち、成長を続けている企業です。そのポリシーを色濃く受け継ぐリクルートキャリア。今回は40年近くリクルート、そしてリクルートキャリアに在籍し、その歴史をつぶさに見てきた「のりおさん」と、同社の組織文化について語り合いました。
のりおさん
株式会社リクルートキャリア エージェント事業本部
リクルートグループで39年勤務。リクルート本体の新卒および中途採用を担当後、本社総務課長、転職情報誌営業所長、子会社(現リクルートキャリア)で管理部門のシニアマネジャーを歴任。2000年よりキャリアアドバイザーとして、40、50、60代のカスタマーを担当し、7,000人余りの転職希望者のサポートを通じて、1,100人余のご縁を紡いできた。
リクルートキャリアの文化を紐解く
坪谷 邦生さん(以下、坪谷): リクルート社の創業は1960年。多くの歴史を積み重ねながらも独自のポリシーを貫き続けてきた、強い組織文化のある会社です。今日はリクルートグループにおいて長くその歴史を見てきた”のりおさん”と共に、その実態を探りたいと思っています。
のりおさんは、1982年にリクルート社に入社。リクルートキャリアでは、約20年間キャリアアドバイザーとしてミドルシニアの転職のお手伝いをしている傍ら、 拡大し続ける同社の中でメンバーたちが孤独にならないよう「ななめの関係」作りを促進 しています。 毎朝社内を歩き回って「おはよう」と声をかけ続ける「ぶらぶら活動」 をミッションとして活動されている方です。
まずお伺いしたいのは、社内でも社外でも「のりお」というニックネームで活動されてますよね?メディアなどでは一切顔出しもされていない。これにはどういった意味が……?
のりおさん(以下、のりお): 私は1982年にリクルートに入社して、総務課長などを務めた後、大病を患ったこともあり、2000年以降はリクルートキャリアでミドルシニアの方々への転職支援に携わってきました。ですが、ご満足いただけるようなご支援ができなかった方もいるわけです。顔出しをしないのはそんな方々が当時の失望やイヤな思い出を呼び起こすことがないように……ですね。
私は本名ではなく平仮名“のりお”というニックネームを使い、社内外で活動をしています。これを認めてもらえているのは、所属している人たちを生かしてなんとかする、まさに 「個をあるがままに生かす」というリクルートグループにおける組織文化があったから こそだと思います。 他の会社であれば、ほぼ成立しなかった んじゃないかな……と。
坪谷: なるほど。 のりおさんの思いを、リクルートキャリアは「個」として尊重している ということですね。
「個をあるがままに生かす」とは創業者 江副浩正さんの右腕であり、 リクルートの組織文化の根幹を創ったと言われている大沢武志さん の著書『心理学的経営 個をあるがままに生かす』にもある言葉です。そこに示されているとおり、リクルートは 「働く人が主体者である」という現代のキャリア論の先端 を昔からずっとやってきた会社だと思います *1。これは日本企業ではかなり珍しいのではないでしょうか。
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