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連載:第7回 プロ・リクルーター、河合聡一郎さんが聞く【事業承継のカギ】

たった3か月で寿司職人を育成する玉寿司の人材育成【玉寿司・中野里社長】

BizHint 編集部 2019年4月24日(水)掲載
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プロ・リクルーター、河合聡一郎さんによる事業承継をテーマにした連載。前半に引き続き「築地玉寿司」を展開する株式会社玉寿司 代表取締役社長の中野里陽平さんにお話をうかがいます。今や世界で一番有名な日本食となった「寿司」。しかし一人前の職人になるには修行に年月を要することから、若手世代の不足に悩まされてきました。将来を担う職人を育てるため、自身の経験から作り上げた人材育成制度について聞きました。

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株式会社玉寿司

代表取締役社長 中野里 陽平さん

1972年東京生まれ。学習院大学法学部政治学科卒業後、事業承継のため、アメリカのコロラド州にあるデンバー大学に留学し、「飲食のMBA」と呼ばれる経営プログラム「HRTM」を修了。1999年に株式会社玉寿司に入社し、2005年に4代目代表取締役社長に就任。


寿司職人の育成は時間がかかる、でも玉寿司では……

河合聡一郎さん(以下、河合): 中野里さんが特に注力してきた人材育成制度についてぜひ詳しく教えてください。そもそも人材強化に至ったきっかけは何だったのでしょうか。

中野里陽平さん(以下、中野里): 借金を返し終えて、次にぶち当たった壁は人材です。次の一手をと社内に目を向けてみると、 将来の玉寿司を担っていくはずの若手世代が決定的に不足 していたんです。そこでまずは組織体制を整えることにしました。人を育てるって気合じゃダメです。論理的思考力と愛情、忍耐力が必要です。そこで社員教育の専門人材を採用して指導体制を整えました。

河合: 組織体制の課題に気づかれて、その為の採用をされて、具体的にどのような施策を進められたのでしょうか?

中野里: 若い次世代のすし職人を育てる「玉寿司大学」をスタートさせました。 「3年かかる修業を3か月の研修で」がモットーで、次世代のリーダー育成が目的 です。

寿司職人の修行といえば、従来、親方に弟子入りして現場で学ぶ「徒弟制」が主流でした。玉寿司大学は調理技術、接客、店舗運営のノウハウを体系化して教え、3か月の研修で教え込みます。アルバイトの教育にも役立てていますね。

河合: とても早いタイミングで組織改革に着手されたんですね。いわば先行投資的に人材育成に注力したともいえる。

中野里: 我々は昭和からの長い成功体験があります。ですがそれに固執せず、捨てることこそが大事なのではと思います。職場でも、ベテランの先輩がいるとある意味自分は楽をしてしまうこともあります。そうではなく、現場で常に自分で考え、仲間と話し合い、自ら行動する。もしうまくいかなかったら改善する。そのためにも基本的な教育は大切です。玉寿司大学がスタートしたことによって、自立した若手を育成する仕組みができてきたように思います。

河合: 確かに現場での教育は属人的になりがちだし、指導者によって教育内容もばらつきが生まれてしまいます。会社のビジョンに沿ったカリキュラムを基礎からしっかり教育しようという取り組みは素晴らしいと思います。

中野里: 甲子園の仕組みを例に挙げるとわかりやすいと思います。甲子園に出場する高校球児たちは強制されて野球をしているわけではありませんよね。それなのになぜ、彼らが目をキラキラ輝かせて、野球に熱中しているのか? これは「あの大舞台でプレイしたい。試合に勝ちたい」という大きな目標があるからです。

ひたむきにプレーしている高校球児のように、社員が「お客様によいサービスをしたい」と思える環境をどうやって作っていくか。環境づくり、仕組みづくりが経営側の課題です。

試合しながら技を覚える、練習をしないで試合で選手を伸ばそうとするなんて非効率ですよね? 甲子園で勝てる強いチームは質の高い練習をしています。同じように職人にとっても質の高い教育が大事なんです。

河合: なるほど。確かに職人さんやスタッフにとっては店に立ってお客様に接することが試合のようなものですよね。

さまざまな飲食店でアルバイトの経験を経て得た社長の知見

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