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連載:第63回 成長企業 社長が考えていること

良い会社を作るリーダーの絶対条件。苦境を乗り切る経営者に必要なもの

BizHint 編集部 2025年3月11日(火)掲載
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千葉を中心に直営店59店舗を経営する理美容業「オオクシ」は、東日本大震災やコロナ禍を乗り越え、23年増収を続ける優良企業です。「稲盛経営者賞」や「日本経営品質賞」など、多数の経営賞を受賞していることからも、その功績がうかがえます。しかし同社代表の大串哲史さんは、その過程において「地獄の苦しみも味わってきた」と語ります。そして、自身の経験から、現在における「多変数時代」の経営に警鐘を鳴らします。困難な時代を乗り越えるため、経営者に必要なものとは?そして、「次のリーダーを育てる」重要性を語る大串さんに、リーダーの絶対条件について伺いました。

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株式会社オオクシ
代表取締役社長 大串 哲史さん

1968年、千葉県稲毛市の理容室に三人兄弟の次男として生まれる。理容室に勤務後、23歳で実家の理容室に戻り、98年に29歳で店を継ぐ。POSレジを導入して理美容業の先駆けとなる。2018年「日本サービス大賞」 優秀賞、2020年「日本経営品質賞」中小企業部門ほか受賞多数。現在は「カットオンリークラブ」をはじめ、6タイプの理美容室59店舗を直営する。23期連続増収、再来店率87%。創業60年。


多変数の時代、経営者が大切にすべきなのは「肯定」より「工程」を一緒に考えてくれる人

――大串さんは、自分の経験が役立つならと、経営者向けの勉強会をされていたとお聞きしました。

大串哲史さん(以下、大串): 多変数の時代になって、経営は昔より複雑になっています。経済の変化、人の心の変化、気候や法律やテクノロジーの変化、人口減少、戦争の影響など、複合的な事柄が同時に発生していますよね。 資源の限られた中小企業の経営者が、一人で全ての情報を精査して対応するのは非常に難しい と思います。

半分冗談ですが、私は「経営者免許説」を唱えているんですよ。経営は、大変な割に誰でも無免許でできてしまうからリスクが大きい。勉強してから経営したほうが倒産確率は下がるでしょうし、働く人も安心です。だから、「会社経営をしたい」と相談されても、積極的には勧めていません。ただ、誰かが経営者にならないと働く場所が生まれませんし、経営の大変さがわからないゆえに挑戦できる側面もありますからね。

いずれにしても、経営者は本当に大変です。頭脳だけではなく、人間性も問われ、強い信念も問われ、時代の変化への対応力も問われます。ですが、そんなパーフェクトな人いるのでしょうか?

夏目漱石の『行人』に、(一生懸命やると)「死ぬか、気が違うか、それでなければ宗教に入るか」という一説があって、ほんとそうだなと思いました。例えば、経営者の中には、睡眠薬が欠かせない人、毎晩のように夜の街に繰り出す人、高級品を買いあさる人――。もちろんみんなではありませんが、こうしたことでストレス解消というか、その場しのぎの対処をしている人は少なくないと思います。

ですので、 大変な仕事をしている者同士、互いの悩みや経験を共有する場がますます大事になる と考えています。当社は、結果だけ見ると23年増収ですが、地獄の苦しみも味わってきました。それなりの経験をしてきましたから、役に立つのなら伝えていきたいと思い、この2年間は30代の若手を中心に、経営者向けの勉強会をやっていました。今は休止していますが、強いニーズを感じていますから、またお手伝いしたいと考えています。

――勉強会は、どのような内容ですか。

大串: 人間は3つまでは同時に考えられるけれど、4つ以上になると思考が止まるそうです。今は多変数の問題が一度に降りかかってきますから、どうしていいかわからなくなります。そうしている間に会社がおかしくなってしまう。だから私が一緒に、個別に考えていくような場を設けました。大切なのは、 「肯定より工程を考えてあげること」 だと思います。

――肯定より工程とは、どういうことでしょうか?

大串:「すごいね」と、褒めたり肯定してくれる人よりも、「どうやったらいいか」という工程を一緒に考えてくれる人のほうが大事で必要 だということです。経営者にとっては、問題を総合的に見て、「こうやったら良くなるんじゃないか」と言ってくれる存在が大切だと考えています。大きな問題でも小さく分解して、解決の工程がわかれば対応できますからね。これは、私が苦しく悩んでいるときに励ましてくれた人が、教えてくれたことです。

――経営者の悩みは個々に異なると思いますが、工程を考える際、留意すべき共通項はありますか?

大串: ええ、2つあります。1つは「どんな人になったらいいのか」、もう1つは「何をやったらいいのか」です。この2つを分けて、「どんな人か」に問題があるのか、「何をやるか」に問題があるのかを考えます。人柄は素晴らしいけど、やっていることのポイントがずれている場合もあれば、やっていることは素晴らしいけど、人として問題があるケースもたまにお見受けします。

どちらにしても、できていないことを自分で見つけるのは非常に難しい。溺れようと思って溺れる人はいません。気づいたら溺れているのです。 自分で発見できないから盲点なのであって、ここは外部の人の力を借りるといい と思います。

良い会社を作るリーダーの絶対条件

大串: 昨今、リーダーが不在の組織も増えていますが、 「リーダーは絶対に必要」 というのが私の考えです。なぜなら、大変な時代になればなるほど、人は身近なヒーローを求めるからです。会社は結果を出し続けなきゃいけません。身近に頼れるリーダーがいるかいないか、その違いは大きな差を生むと思います。

それともう一つ大事なことがあります。それは、次のリーダーを育てるということです。そうしないと未来はありません。ヘッドハンティングだけでは、どこかで会社は難しくなると思っています。やはり、リーダーが育つ会社のほうが強い。 リーダーたちが長く在職し、次の時代を引っ張っていく。これは時代に関係なく、普遍的な良い会社の共通点 だと思います。

――では、大串さんが考えるリーダーの絶対条件とは何でしょうか?

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