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2019年4月9日(火)更新

同一労働同一賃金 ガイドライン

同一労働同一賃金ガイドライン案は、平成28年12月20日に開催された「働き方改革実現会議」において政府案として発表されたものです。同一労働同一賃金に関する取り組みは労使双方に大きな影響を及ぼし、就業規則などの見直しも必要になります。人事労務担当者としてはこのガイドライン案の内容をよく理解し、関係法の施行に備えることが重要です。

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同一労働同一賃金ガイドラインの目的

同一労働同一賃金ガイドラインは、パート社員などの非正規雇用労働者と、いわゆる正規雇用労働者との間に生じた不合理な格差の改善を目指すものです。

近年、日本では労働者全体に占める非正規雇用労働者の割合が上昇していますが、海外に比べ正規雇用労働者との待遇差が大きく、社会問題となっています。このような中、労働者の雇用形態を問わず均等・均衡な待遇とし、同一労働同一賃金を実現するために本ガイドラインが策定されました。

なお、このガイドライン案は発表時、「関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて最終的に確定し、改正法の施行日に施行する。」とされていましたが、改正法案は、平成30年6月29日に働き方改革関連法という形で既に成立し、同一労働同一賃金に関係する「パートタイム・有期雇用労働法」や「労働者派遣法」などは、2020年4月1日から施行予定(中小企業の「パートタイム・有期雇用労働法」の適用は2021年4月1日から)となっています。

施行日までにこのガイドライン案が見直される可能性もありますが、ここでは発表時のガイドライン案について解説していきます。

【参考】同一労働同一賃金ガイドライン案/厚生労働省
【参考】働き方改革関連法が成立しました/厚生労働省

【関連】同一労働同一賃金とは?その背景と法制化による企業の対応などをご紹介/BizHint

ガイドラインの構成

本ガイドライン案は、以下のように3つのパートで構成されています。

  1. 前文(ガイドライン案の目的、趣旨)
  2. 有期雇用労働者およびパートタイム労働者(基本給、手当、福利厚生など)
  3. 派遣労働者

前文では、賃金などの待遇については労使で決めるのが基本であることを明言しています。また、同一労働同一賃金が普及している欧州の実態を検証した上で、日本における待遇差の問題を解決するには国ごとに異なる労働市場全体の構造に合わせた政策が重要としました。

また、ガイドライン案の各論では、労働者間の待遇差のうち、典型的な事例を問題となる例、問題とならない例として紹介されています。その他の事例については各企業の労使間で個別の事情を踏まえて議論することになりますが、具体例によって予見性を高めることができれば企業としては取り組みやすくなるでしょう。

同一労働同一賃金の実現に向けたポイント

日本では、基本給をはじめとする賃金は、さまざまな要素を組み合わせて決定していることが多いです。そのため、日本で同一労働同一賃金を実現するには、各企業において以下のような取り組みが必要になります。

  • 正規社員、非正規社員それぞれの賃金決定の基準やルールを明確にする。
  • 職務や能力などを明確にし、「職務と能力など」と「待遇」との関係を含む処遇体系を労使で話し合い、非正規社員を含めて労使間で共有する。
  • 賃金のほか、福利厚生や能力開発などの均等・均衡により、生産性の向上を図る。

また、均等・均衡待遇を図る上では、待遇差について企業側が説明した際に労働者が納得できるかどうかも重要なポイントです。本ガイドラインは労働者の納得についても触れ、どのような雇用形態でも納得のいく処遇を受けられ、労働者が多様な働き方の中から自由に選べる就労環境を目指すとしています。

ガイドラインにおける「正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者」

本ガイドラインの前文、目的の項には(p1)

いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) とあり、14ページには留意事項として以下のような記述があります。

ここでいう「無期雇用フルタイム労働者」とは、いわゆる「正社員」を含む無期雇用フルタイム労働者全体を念頭においている。

そのため、ガイドラインの「無期雇用フルタイム労働者」には無期契約・フルタイム・直接雇用の非正規社員、また、限定正社員(ジョブ型正社員)なども含まれると考えられます。

一方、非正規雇用労働者には有期雇用労働者や短時間労働者(パートタイム労働者)、定年後の再雇用者、また、派遣労働者などが含まれます。

ガイドラインが適用となる範囲

ガイドラインの適用については以下の2点に注意してください。

実際に待遇差が生じているか

「ガイドライン案の趣旨」の最後(p2)には、本ガイドラインの対象について触れています。それによると、本ガイドラインは「同一」の企業や団体における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間に「実際に」生じている格差の是正を目指したものです。そのため、「客観的」にみて格差が生じていない場合には、ガイドライン案は適用されません。

賃金決定基準やルールが異なっていないか

ガイドラインの5ページにある(注)をみると、賃金を決定する基準やルールが異なる場合には本ガイドラインは適用されません。引用箇所が長くなりますが、重要な箇所のため一文をそのまま引用します。

(注)無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者の間に基本給や各種手当といった賃金に差がある場合において、その要因として無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者の賃金の決定基準・ルールの違いがあるときは、「無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明では足りず、賃金の決定基準・ルールの違いについて、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして不合理なものであってはならない。

上記によると、賃金決定基準やルールが異なるときはガイドライン案を適用せず、以下の点から総合的に判断することになります。

  • 職務内容(業務内容や責任の程度)
  • 職務内容や配置の変更範囲(人材活用のしくみ、運用など)
  • その他の事情

なお、現行の法制度において、労働契約法20条やパートタイム労働法8条では待遇差の合理性を判断するときにこれらの3点を考慮要素としています。

また、「不合理なものであってはならない」という意味は、不合理は認められないものの、合理的であることまでは求めていない、社会的に公正なものであればよいと解釈されています。

賃金決定基準が異なることは多い?

賃金の決定基準やルールに相違があるという状況は、企業では決して少なくありません。非正規雇用労働者の場合、その地域における職務内容の市場相場(賃金相場)に基づいて賃金が決定されることが多く、外部労働市場において賃金が決定されるしくみです。

これに対し、正規雇用労働者は年功賃金など日本に古くからある長期雇用慣行のもと、内部労働市場において職務内容や職業経験、業績、勤続年数などで賃金を決めています。このように賃金の決定基準やルールが異なる場合にはガイドラインは適用できず、上記の考慮要素により判断することになります。

基本給

ガイドライン案は、有期雇用労働者およびパートタイム労働者に起こりやすい処遇差として基本給、手当、福利厚生などを取り上げ、原則的な考え方と具体例を挙げています。

それでは、順に見ていきましょう。なお、カッコ内のページ数はガイドライン案のページを示しました。

基本給については、どのような基準で支給するかという基本給の決定要素を以下のように3つに分けています。

  1. 職業経験・能力
  2. 業績・成果
  3. 勤続年数

職業経験・能力に応じて支給する場合

労働者の職業経験や能力に応じて賃金を支給しようとするときの考え方です。非正規社員が、正規社員と同一の「職業経験や能力」をもっている場合は、使用者は職業経験や能力に応じた部分について同一の賃金を支給しなければなりません。もし、職業経験や能力に相違がある場合には、相違に応じた賃金の支給が必要になります。

他の決定要素を含め3つに共通するのは、正規社員と同一の部分については同一の賃金を支給し、違いがある場合にはその違いに応じて賃金を支払うように求めていることです。

職業経験は現在の業務との「関連性」が重要

ガイドライン案では、現在の業務と「関連性のない職業経験」を理由として賃金に差をつけるのは不合理とし、p3に次のような問題となるケースを挙げています。

・基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給しているE社において、無期雇用フルタイム労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多くの職業経験を有することを理由として、Xに対して、Yよりも多額の支給をしているが、Xのこれまでの職業経験はXの現在の業務に関連性を持たない。

職業経験を基本給に反映させる場合は、それぞれの企業において現在の業務との関連性を判断する基準を明確に設定することが必要になります。

業績や成果に応じて支給する場合

近年、日本でも成果主義を導入している企業は増えていますが、基本給のすべてを業績や成果で決めるのではなく、3つの決定要素を適宜、組み合わせて決めている企業が多いでしょう。

同一労働同一賃金の考え方では、複数の基準を組み合わせて賃金を決定する場合には、それぞれの要素ごとに正規社員と同一かどうかを判断する必要があります。ガイドライン案(p3~4)では、「業績や成果」に応じた賃金を基本給の一部として支給する場合(業績手当などによる支給を含む)、次のような方法であれば問題がないとしています。

基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給しているA社において、フルタイム労働者の半分の勤務時間のパートタイム労働者であるXに対し、無期雇用フルタイム労働者に設定されている販売目標の半分の数値に達した場合には、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合の半分を支給している。

勤続年数に応じて支給する場合

勤続年数に応じて賃金を支払う場合、契約更新をしている有期雇用労働者については「当初の雇用契約開始時から通算する」という点に注意してください。

勤続年数を以下のように評価した場合は適切ではありません。

・基本給について労働者の勤続年数に応じて支給しているB社において、有期雇用労働者であるXに対し、勤続年数について当初の雇用契約開始時から通算せず、その時点の雇用契約の期間のみの評価により支給している。

昇級

同一労働同一賃金ガイドライン案は、昇給に関する待遇差についても定めています。「勤続による職業能力の向上」に応じて昇給させる場合、正規社員と同様、勤続年数が長くなることで職業能力が向上した非正規社員には同一の昇給が必要です。

もし、職業能力の向上に違いがある場合は、違いの程度に応じて昇給させなければなりません。

基本給も、昇給についても、何を基準にして評価したかを明らかにし、公平な評価とすることが重要です。

手当

ガイドライン案では、賞与や役職手当、特殊勤務手当などの手当について、支給基準をそれぞれ一つ挙げて均等・均衡待遇の考え方を示しています。ここでは、主な手当についてみていきましょう。

賞与・役職手当

賞与と役職手当については、正社員と同じく支給要件を満たしている非正社員には同一の手当を支給し、違いがある非正社員には違いに応じた手当を支給しなければなりません。

賞与

賞与については、支給基準として「企業の業績等への貢献度」を例に挙げています。それによると、「企業の業績等への貢献度」に応じて支給する場合、同一の貢献度については同一の賞与を支給し、貢献度が違う場合には違いに応じた賞与を支給しなければなりません。そのため、雇用形態の違いだけで賞与の支給、不支給が決められている場合は不合理な待遇差とみなされます。

ガイドライン案(p6)では、賞与を不支給にしたことが問題とならない(許容される)例として以下のようなケースを紹介しています。このケースは、雇用形態の違う労働者の間だけでなく、同じ無期雇用フルタイム労働者であっても処遇上のペナルティを課されているかどうかの違いで賞与に差が生じた例です。

B社においては、無期雇用フルタイム労働者であるXは、生産効率や品質の目標値に対する責任を負っており、目標が未達の場合、処遇上のペナルティを課されている。

一方、無期雇用フルタイム労働者であるYや、有期雇用労働者であるZは、生産効率や品質の目標値の達成の責任を負っておらず、生産効率が低かったり、品質の目標値が未達の場合にも、処遇上のペナルティを課されていない。

B社はXに対して賞与を支給しているが、YやZに対しては、ペナルティを課していないこととの見合いの範囲内で、支給していない。

基本給と同様に、賞与も賃金決定基準やルールが正社員と異なる場合はガイドライン案の適用対象外になります。そのため、不合理性は職務内容などの3つの決定要素によって判断することになるので注意してください。

役職手当

役職手当の支給基準は、「役職の内容、責任の範囲・程度」を挙げています。「役職の内容や責任の範囲など」に対して支給する場合、同じ役職に就いた労働者、あるいは責任の範囲が同一の労働者には同一の役職手当が必要です。有期雇用労働者であることを理由に、低額の役職手当とすることはできません。

また、役職や責任の範囲などに違いがある場合は、その違いを反映した役職手当を支給する必要があります。以下のように、労働時間に応じて役職手当を減額する場合は問題になりません。

・役職手当について役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しているB社において、無期雇用フルタイム労働者であるXと同一の役職名(例:店長)で役職の内容・責任も同じ(例:営業時間中の店舗の適切な運営)である役職に就く有期雇用パートタイム労働者であるYに、時間比例の役職手当(例えば、労働時間がフルタイム労働者の半分のパートタイム労働者には、フルタイム労働者の半分の役職手当)を支給している。

その他の手当

ガイドライン案では以下の手当について、非正規社員が客観的にみて手当の支給要件を満たしている場合は正規社員との均等処遇を図り、同一の手当を支給するよう求めています。

  • 特殊作業手当
  • 特殊勤務手当
  • 精皆勤手当
  • 時間外労働手当(割増率等)
  • 休日手当、深夜手当(割増率等)
  • 通勤手当、出張旅費
  • 食事手当(勤務時間内に食事時間がはさまれている場合)
  • 単身赴任手当
  • 地域手当

手当は、基本給に比べると支給の目的や基準などが明確なため、同一労働同一賃金の取り組みは手当の格差是正から始めるとよいとする意見が多いです。

ガイドラインに記載のない賃金に対する考え方

ガイドライン案は、待遇差が生じ得るすべての賃金を挙げている訳ではありません。退職金や家族手当などのガイドラインに記載されていないものについても、不合理な格差が許容される訳ではないので注意が必要です。

福利厚生

福利厚生については、次の5つの点を挙げてそれぞれの考え方を示しています。

  1. 福利厚生施設(食堂や休憩室、更衣室)の利用
  2. 転勤者用社宅の利用
  3. 慶弔休暇の付与、健康診断に伴う勤務の免除や有給保障
  4. 病気休職の付与
  5. 法定外の年休・休暇(慶事休暇を除く)の付与(勤続期間に応じた付与)

食堂などの福利厚生施設については(p11)、正規社員と同じ事業場で働く非正規社員には正社員と同じ利用の機会を与え、均等を図る必要があります。

また、病気休職の場合は(p11)、非正規社員のうち無期雇用のパート社員であれば、無期雇用のフルタイム社員と同じ病気休職を付与しなければなりません。しかし、有期雇用のパート社員に対する病気休職は労働契約の残存期間を考慮し、休職期間を契約満了日までとすることは問題ありません。

さらに、法定外の年休や慶事休暇を除く休暇について、勤続期間に応じて付与する場合は勤続期間が同一の社員に対しては正規、非正規を問わず同一の付与が必要になります。有期雇用労働者が労働契約を更新している場合、勤続期間は当初の労働契約期間から遡って通算することが必要です。

その他

本ガイドライン案は、教育訓練と安全管理についても均等・均衡処遇を求めています。

教育訓練

非正規社員に対し教育訓練の機会を拡大することは、ガイドラインの目的にもあるようにスキルアップとなり、待遇改善につながるだけでなく、生産性の向上も期待できます。そのため、ガイドラインでは次のように均等・均衡を求めています。

「現在の職務に必要な技能や知識」を習得するための教育訓練は、正規社員と同一の職務内容に従事する非正規社員には同一の教育訓練を実施しなければなりません。もし、職務内容や責任に一定の相違がある場合は、違いに応じた教育訓練が必要になります。

ガイドライン案でいう教育訓練は「現在の職務に必要な技能や知識」の習得に限定している点に注意してください。正規社員に対しては長期的視点から人材を育てる教育訓練も必要になりますが、ここでは長期的な視点の人材育成、能力開発までは含んでいません。

教育訓練のうち、現在の職務に必要なものに限定することで労働契約法(5条)に規定された使用者の「安全配慮義務」にもつながるといった肯定的な意見もあります。

安全管理に関する措置、給付

非正規社員が正規社員と同一の業務環境で働く場合、安全管理に関する措置は正規社員と同一の措置を、また、給付についても同一の給付といった均等処遇が必要です。

派遣労働者

ガイドライン案は、派遣労働者に対する均等・均衡処遇について以下のような点を挙げています。

派遣労働者が、派遣先の労働者と比較して職務内容、職内容や配置の変更範囲、また、その他の事情が同じ場合、派遣元事業者は均等・均衡な待遇を図る必要があります。具体的には、派遣先の労働者と同じ賃金を支給し、福利厚生施設の利用や教育訓練の機会を与えなければなりません。

職務内容などが異なる場合には、相違の程度に応じた賃金の支給や福利厚生施設の利用、さらに、教育訓練の機会を与えることが必要になります。

同一労働同一賃金ガイドライン案の問題点

同一労働同一賃金は政府が推進する「働き方改革」の主要テーマの一つで、本ガイドライン案は政府案として平成28年12月に発表されました。しかし、このガイドライン案の内容は十分に審議を尽くしたとはいえず不明確な部分や未定の部分も多いため、社会的に混乱を招くのではないかなどの問題点が指摘されています。

ガイドライン案で予見可能性を高めるのは難しい?

ガイドライン案は、待遇改善にどのような姿勢で臨むかといった基本的なスタンスが明確ではないため、具体例を実際の事案に応用するのは難しいだろうといった意見があります。また、具体例は多数あるものの事例を抽象化しているため、担当者が予見可能性を高める上でさほど役立たない、参考になる事例は少ないのではという声も少なくありません。

本ガイドライン案は、どのような場合に同一の賃金が必要になるのかを示していますが、どの程度の待遇差まで許容されるのかがわかりにくく、担当者は迷う可能性が高いです。また、ガイドラインでは個別の事情に応じて労使で議論することが望ましいとして、労使の話し合いに委ねています。しかし、近年は労働組合の組織率が低下しているなど労使で話し合える体制が整っている企業が多いとはいえません。

実際の職場ではさまざまな要素が複雑に絡み合って格差が生じ、さらに、格差改善の取り組みは従来のやり方、慣行を変えることになるので担当者を混乱させるでしょう。このような場合に重要となるのが、「不合理な差別禁止」という基本的な視点といわれています。混乱した状況の中では基本に立ち返ることが有効な方法となりうるので、最終的なガイドラインでは基本的なスタンスが明確にされることが期待されています。

適用対象外となる労働者の問題

本ガイドラインは、いわゆる正規社員と非正規社員といった雇用形態の違いによる不合理な待遇差を解消することが目的です。そのため、正規社員の間や非正規社員の間でも起こる待遇差は適用の対象外となってしまいます。

労働契約法18条により、有期契約から無期契約に転換できるしくみができました。しかし、無期フルタイムに転換すると救済対象から外れ、結局は正社員との待遇差は変わらないのではないかなどを心配し、無期転換を希望しない人も増えるのではと危惧されています。

派遣労働者に起こりうる問題

本ガイドラインでは派遣労働者についても触れていますが、抽象的な記載に留まり、具体例もありません。また、ガイドラインは同一の企業・団体における不合理な格差是正を図るものです。派遣先労働者と均等・均衡待遇を目指す場合、派遣元の企業が派遣先企業に比べて極めて規模が小さい場合には経営を圧迫する可能性があります。

本ガイドライン案は同一の企業内での格差是正を目指すものです。そのため、派遣元の企業について考えると、派遣先の正社員とのバランスを優先した場合、派遣先の企業間格差によって派遣労働者の間で格差が拡大するのではという懸念もあります。

さらに、派遣先労働者に関する賃金などの処遇の情報も必要になり、派遣労働者における待遇差については直接雇用の有期雇用労働者やパート社員とは異なる問題が多いです。このように派遣労働者には特有の問題が起こりうるので、不合理な待遇差が放置される可能性を危惧する専門家もいます。

立証責任、説明義務

ガイドライン案は、企業側(使用者)に対して待遇差の合理性に関する立証責任や待遇差について説明する義務を課していません。しかし、同一労働同一賃金を実効性のある制度とするには、使用者が立証責任を負い、説明義務を果たすことが必要といわれています。

人事・労務担当者としてはガイドラインに明示があるかどうかにかかわらず、待遇に関する問題には誠実な姿勢で臨み、労働者の納得を得るようにしてください。

まとめ

  • 同一労働同一賃金ガイドライン案は雇用形態が異なっても均等・均衡な待遇を受けられるように、同一労働同一賃金を目指して策定されました。
  • 同一労働同一賃金ガイドライン案は、関係法が施行される2020年4月1日以降に正式に施行される見込みですが、その時点で企業としてより適切な取り組みができるよう、日頃から新しい情報をキャッチして理解を深めておきましょう。

<監修>本田勝志 社会保険労務士

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