在籍出向
在籍出向とは、社員としての身分を残したまま出向させることを言いますが、その際には法令、判例等に沿った適正な手続きが必要となります。この手続きを誤ると、後に訴訟に発展するなど大きなトラブルにもなりかねません。労働法令やその解釈が複雑に変わっていく中、各企業においては出向の仕組みやその所用手続きについての正しい理解が求められます。
在籍出向とは
在籍出向とは、社員としての籍を残したまま他社で勤務させる人事異動のひとつです。具体的には、出向元と出向先とが対象社員についての出向契約を締結することで、社員との労働契約を維持したまま、その労働契約の権利の一部を出向元から出向先に譲渡させ、出向先で業務を行わせることが可能になるものです。
この場合の三者の関係性は、出向元と出向先の間には出向契約、出向元と社員の間にはこれまでの労働契約、出向先と社員との間には譲渡された労働契約と指揮命令関係、というものになります。このため、社員と出向元、出向先のそれぞれの間には二重の労働契約関係が成立することになります。
具体的な契約手続きについては最後の章でまとめます。
【図表1】在籍出向における出向元、出向先、労働者の関係
【関連】出向の意味とは?契約書の重要性や派遣との違いは? / BizHint HR
在籍出向の目的
各企業により様々ですが、基本的にはいずれ出向社員を戻すことを想定しているものですので、まずは、関連会社や取引先会社への業務指導や援助が目的であったり、社員自身のための人材開発や人事交流を目的としている場合が考えられます。