連載:第18回 経営・SaaSイベントレポート2022
味の素(株)が歩んだV字回復への道。企業変革を経た今「人財投資には価値がある」と言い切る理由
「うま味」の発見を起点に創業して113年。食品企業でありながら、高い技術力を武器に事業を展開する、味の素株式会社。右肩上がりに成長を続けていたものの、2016年を皮切りに株価が低下。そこに大きな危機感を抱き、組織全体の変革に挑んだのが、元CDO、現特別顧問の福士博司さんです。数年にもわたる大きな変革の結果、株価は底地の倍ほどに回復、生産性は2022年時点で115%向上しているそうです。変革のキーワードは「パーパス経営」と「DX」。その全貌について語っていただきました。
1984年味の素(株)入社。アミノ酸、ヘルスケアを主体としたグローバル事業を経験。2019年から代表取締役副社長CDOとして全社のデジタル・トランスフォーメーションを推進。2022年6月より特別顧問。その他現職:アドミレックス(株)を創業しCEO就任、東洋紡(株)社外取締役、雪印メグミルク(株)社外取締役 など
衰退する企業も成功する企業も中身は99%同じ。残り1%の違いとは?
味の素社が企業変革およびDXに着手することになったきっかけは、株価の低落です。それまでは特に海外食品が順調で右肩上がりに成長しており、株価も順調に上がっていたのですが、2016年の2800円を最後に株価は下がる一方で、2019年には1640円まで落ちてしまったのです。
これはつまり、事業基盤が崩れてしまったということ。衰退が本格化する前に組織文化から作り直さなくてはならないという危機感を抱きました。
そして日本企業はどうして衰退してしまうのか、何か共通項はあるか…と調べていた際、小城武彦氏の書籍「衰退の法則」に出会いました。小城さんによると、「衰退惹起サイクル」というものがあるとのこと。
スタッフは非常に優秀であるが故に、経営会議をはじめとした意思決定の前に、交渉や調整を行ってしまう。その際、否定案は事前に全て潰してしまうので、経営会議ではそのまま承認されてしまいますよね。出世するのは社内調整に長けていて、出すぎず気が利く人。一方、経営陣は社内政治には強いが、経営リテラシーや実務能力が低下していってしまいます。
事業環境が良ければ、同一集団は会社のレベルを上げていきますが、事業環境の変化、あるいは既存の戦略が通用しなくなった際、このような組織では衰退惹起サイクルが働いてしまい、会社がダメになっていくのです。これはまさに当社が陥っている状態だと感じました。
一方で、小城さんは 衰退する企業も成功する企業も中身は99%同じ だと言っています。1%だけ違う、それは何かというと、
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