連載:第12回 成長企業 社長が考えていること
どこにも無いユニークなPB商品が話題の業務スーパー。父から継いで売り上げを2倍に
緑色の看板が目印の「業務スーパー」は、 一見飲食店などプロのための店に見えるが実はプロ専用ではない。 大容量で高コスパな商品と、他では決して買うことができないユニークなオリジナル商品で、今や買い物客の心を鷲掴みにしている。 2012年に代表に就任して以来、過去最高売り上げを更新している2代目社長・沼田博和氏に話を聞いた。
株式会社神戸物産
代表取締役社長 沼田 博和さん
1980年生まれ。京都薬科大学大学院卒業後、大正製薬の研究所に勤務。2009年に神戸物産に中途入社。2012年2月、創業者である父親から代表取締役社長を引き継ぐ。
製薬会社の研究職を経て28歳で父の会社に中途入社
例えば、牛乳の1リットル紙パックに入った水ようかんやカスタードプリン、コーヒーゼリーなどのオリジナルスイーツ。一度行くとハマってしまうのは、他ではまず売られていない、ユニークな商品に出会えるからだ。プライベートブランド(PB)商品は、全体の3分の1を占める。それらがテレビで紹介されたり、PB商品の活用術をSNSにアップする主婦も数多く、「業スー」の愛称で親しまれている。最近ではまさにブームとも呼べる状況だ。
「私自身、学生時代に品揃えのユニークさに惹かれて、大学の近くの店舗によく通っていたんです(笑)」
こう語るのは、業務スーパーを運営する神戸物産社長の沼田博和氏だ。創業者の長男で、2012年に社長に就任。以来、売上高を2倍に成長させてきた。2020年10月期決算の売上高は対前年比14%増の3408億円、営業利益は24%増の238億円と、増収増益が続いている。
現在、全国に900店舗以上を展開する「業務スーパー」。このインパクトのある看板を一度は目にしたことがあるという人も多いだろう
創業は1981年。沼田氏の父は小さなスーパーを創業したが、大手スーパーにスケールメリットなどで勝てないと考えたことから、製造に進出した。
中国に工場を作って、最初は食品会社の下請けとしてスタート。その後、オリジナル商品の製造販売を推し進めた。その売り先として思いついたのがFC展開だ。こうして誕生した業務スーパーは、業務用としてプロが購入するような大容量商品などを一般向けに展開し人気となり、2006年には上場。さらに製造から小売りまでを一気通貫で手がける食の製販一体体制を目指し、国内の食品メーカーを次々に買収。グループの14社25工場でユニークなPB商品を製造するようになり、店舗数は今や全国で900を超える。
沼田氏はもともと家業を継ぐつもりはなく、父も継ぐ必要はないと語っていたという。薬学部を出て大正製薬の研究員として働いていたが、2009年に入社。3年後には社長を委ねられた。
「継ぐとしても10年後くらいだろうと思っていましたので、驚きました。背景にあったのは、 完全なトップダウン型の経営だったこと。もし自分に何かがあったらリスクが大きい。だから、早いうちに代表を移して、少しずつ新しい経営体制を作っていこう と父が考えたんです」
入社して驚いたのは、そのスピード感だった。
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