連載:第37回 IT・インターネット
サイバーセキュリティ対策の課題、第一位は「対策に精通している人材の確保」で78.8%
一般社団法人日本能率協会(会長:中村正己、JMA)は、企業が抱える経営課題を明らかにし、これからの経営指針となるテーマや施策の方向性を探ることを目的に、1979年から、企業経営者を対象に、「当面する企業経営課題に関する調査」を実施しています。今年は2021年7~8月に実施し、517社からの回答を得ました。今回は第4弾として、サイバーセキュリティのリスクへの認識についてまとめました。
サイバーセキュリティのリスクが「脅威である」とする企業が89.7%
自社へのサイバー攻撃や情報漏えいなど、サイバーセキュリティについてのリスクへの認識を尋ねたところ、全体では「脅威である」との回答企業(大きな脅威 ~ やや脅威 の合計)が89.7%となり、約9割にのぼることがわかりました。「大きな脅威である」と答えた企業は41.0%となっています。
従業員規模別に見ると、「脅威である」の回答は、大企業で95.9%となっているほか、中堅企業で89.5%、中小企業で84.7%と8割を超えており、企業規模に関わらず、サイバーセキュリティのリスクが脅威となっていることが明らかとなりました。特に、大企業では「大きな脅威である」の回答が53.3%と半数を超えており、危機意識の高さが伺えます。
企業の78.5%が、サイバーセキュリティのリスクに「対策を講じている」
サイバーセキュリティのリスクへの対応状況について尋ねたところ、「既に対策を講じており、更なる強化を進めている」が35.8%、「既に対策を講じている」が42.7%となり、合計約8割が「対策を講じている」と回答しています。「対策を講じるべく、検討を進めている」は10.3%となりました。
従業員規模別に見ると、「対策を講じている」とする比率は、大企業で87.7%と9割近くを占めているほか、中堅企業で76.8%、中小企業で73.7%となっており、企業規模に関わらず、サイバーセキュリティのリスクへの対策が講じられていることがわかります。特に、大企業では「既に対策を講じており、さらなる強化を進めている」との回答が49.2%で約半数となっており、コンピュータウイルスや不正アクセスによる被害が増えている昨今、対策強化が進められていることが伺えます。
対策の課題の1 位は「サイバーセキュリティ対策に精通している人材の確保」78.8%
サイバーセキュリティのリスクへの対策における課題について聞いたところ、第1位は「サイバーセキュリティ対策に精通している人材の確保」で、課題であるとする比率(おおいに ~ やや の合計)が78.8%となりました。経済産業省が公表している「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」においても、サイバーセキュリティ人材の育成が重要項目の中に挙げられていますが、依然として、その確保が大きな課題となっていることが明らかとなりました。
また、第2 位は「一般社員の理解・協力」の75.4%、第3 位は「取引先を含めたサプライチェーン全体におけるリスクの特定」の73.5%となっています。サイバーセキュリティのリスクに対処するうえで、社内外の関係者の理解・協力が不可欠となっていることが伺えます。
調査概要
調査時期:2021年7月20日~8月20日
調査対象:JMAの法人会員ならびに評議員会社、およびサンプル抽出した全国主要企業の経営者(計5,000社)
調査方法:郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)
回答数・回収率:回答数517社・回答率10.3%
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