close

はじめての方はご登録ください(無料)

メニュー

BizHint について

カテゴリ

  • Icon mailmaga
  • Icon facebook
  • Icon twitter

最新情報はメールマガジン・SNSで配信中

連載:第73回 総合

賃金改善理由、「労働力の定着・確保」が80.6%で過去最高に~賃金改善は53.3%と高水準ながら、やや一服感も~2020年度の賃金動向に関する企業の意識調査

Logo markBizHint 編集部 2020年3月17日(火)掲載
メインビジュアル

2019年の景気は「回復局面」とする企業が2年連続で1ケタ台となる一方、「悪化局面」は7年 ぶりに3割台となるなど、2018年に引き続き、厳しさの増す1年となった(帝国データバンク 「2020年の景気見通しに対する企業の意識調査」)。また、2019年10月の消費税率引き上げで家計の負担が増すなか、政府は日本経済団体連合会(経団連)に7年連続で賃上げ継続を要請するなど、今後の賃金動向が大きく注目されている。そこで、帝国データバンクは2020年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年1月調査とともに行った。

メインビジュアル

調査結果(要旨)

  1. 2020 年度の賃金改善が「ある」と見込む企業は 53.3%と、4 年連続で 5 割を超えたものの、前回調査(2019 年 1 月)から 2.2 ポイント減少している。賃金改善について「ある」が「ない」を 10 年連続で上回ると同時に、その差も 33.1 ポイントと非常に大きな状態が続く
  2. 賃金改善の具体的内容は、ベースアップが 45.2%(前年度比 0.4 ポイント減)、賞与(一時金)が 26.3%(同 4.0 ポイント減)となった。ベアは 4 年連続で 4 割台の高水準となった一方で、賞与(一時金)は 2 割台に減少した
  3. 賃金を改善する理由は「労働力の定着・確保」が 80.6%で過去最高を更新してトップとなり、人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向は一段と強まっている。一方で、「自社の業績拡大」(36.0%)が前年から 4.9 ポイント下回った。改善しない理由は、「自社の業績低迷」が前年度比 5.5 ポイント増の 58.1%となり、5 年ぶりの増加となった
  4. 2020 年度の総人件費が「増加」すると回答した企業は 68.9%と、前回調査から 1.6 ポイント減となった。業界別では『サービス』『運輸・倉庫』『建設』で高い。総人件費は平均 2.85%増加すると見込まれるものの、伸び率は前年度よりやや低下すると予想される。そのうち、従業員の給与や賞与は総額で約 3.7 兆円(平均 2.50%)増加すると試算される

1. 2020 年度、企業の 53.3%が賃金改善を見込む

2020 年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は 53.3%と、4 年連続で 5 割を上回った。しかし、前回調査(2019 年 1 月)における 2019 年度見込み(55.5%)と比較すると、2.2 ポイント減少している。一方、「ない」と回答した企業は 20.2%となり、前回調査(19.1%)から 1.1 ポイント増加し、3 年ぶりに 2 割超となった。また、「ある」が「ない」を 10 年連続で上回ると同時に、その差も 33.1 ポイントと非常に大きな状態が続いており、賃金動向は概ね改善傾向となっている。

2019 年度実績では、賃金改善が「あった」企業は 68.3%と 6 年連続で 6 割を上回り、7 割近い企業が賃金改善を実施していた。

2020 年度に賃金改善が「ある」と見込む企業を業界別にみると、『建設』が 57.9%でトップとなった。次いで『運輸・倉庫』(55.2%)が続き、『サービス』(54.3%)、『 製 造 』( 54.2 % )、『小売』(53.5%)も全体より高い。『金融』(36.1%)は全体のなかでは低位だが、2006 年の調査開始以降、初めて「ある」が「ない」を上回った。

従業員別にみると、「6~20 人」(58.6%)、「21~50 人」(58.3%)、「51~100 人」(57.9%)が全体より高く、中小企業において賃金改善を行う傾向がみられる。一方、「1,000 人超」は 33.8%と全体より低位だが、従業員 7 区分で唯一、賃金改善を行う割合が前年度から増加している。

2. 賃金改善の具体的内容、ベア実施企業が 45.2%、賞与(一時金)は 26.3%

2020 年度の正社員における賃金改善の具体的内容は、「ベースアップ」が 45.2%となり、「賞与(一時金)」は 26.3%となった。前回調査(2019 年度見込み)と比べると、「ベースアップ」はほぼ横ばいとなったが、「賞与(一時金)」は同 4.0 ポイント減少となった。

「ベースアップ」は 4 年連続で 4 割台の高水準が続いている。一方で、「賞与(一時金)」は 3 年ぶりに 2 割台に減少した。

3. 賃金改善理由、「労働力の定着・確保」が 2 年連続の 8 割台で過去最高を更新

2020 年度の賃金改善が「ある」と回答した企業にその理由を尋ねたところ、「労働力の定着・確保」(80.6%)が 2 年連続で 8 割台となり、過去最高を更新した(複数回答、以下同)。半数に近い企業が人手不足を感じているなか、人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向は一段と強まっており、2015 年度以降 6 年連続で前年を上回った。次いで「自社の業績拡大」(36.0%)が続いたものの、前年を 4.9 ポイント下回った。

企業からは「働き方改革によって残業が減るため、基本給を上げて対応する」(工業用プラスチック製造、群馬県)という声にあるように、従業員の働き方の変化にともない賃上げを実施するという声も多くあげられた。他方、賃金改善が「ない」企業にその理由を尋ねたところ、「自社の業績低迷」が前回調査から 5.5 ポイント増の 58.1%(複数回答、以下同)でトップ。5 年ぶりに増加となり、直近 1 年間における景況感の悪化が賃金動向に影響を及ぼしている可能性が示唆される。

4. 2020 年度の従業員給与・賞与は約 3.7 兆円増加と試算

2020 年度の自社の総人件費は、2019年度と比較してどの程度変動すると見込んでいるか尋ねたところ、2020 年度の総人件費は前年度から 平 均2.85%増加すると見込まれる。金額では総額約 4.7 兆円、そのうち従業員への給与や賞与は約 3.7 兆円(平均2.50%)増加すると試算される1。「増加」2と回答した企業は 68.9%と前回調査から 1.6 ポイント減となり、「減少」は 8.0%だった。人件費の増加傾向は継続しているものの、伸び率は微減となった。

業界別にみると、『サービス』で人件費が「増加」する企業の割合が最も高かった。特に「メンテナンス・警備・検査」(85.4%)、「医療・福祉・保健衛生」(83.3%)、「飲食店」(82.1%)では 8 割を上回った。また、『運輸・倉庫』『建設』が 7 割超で続き、総じて人手不足が深刻な業界が上位となっている。

企業からは、「目標を達成すれば必ず昇給させるプログラムの導入で賃金を上げていく」(電気通信サービス、大阪府)、「労働力確保のため毎年ベースアップは実施しており、今後も基本的に続けていく予定」(内装工事、愛知県)といった前向きな意見も聞かれた。一方で、「販売先からはコストダウン要請、政府からは賃上げ要請と板挟み状態」(機械部品製造修理、兵庫県)、「定年延長による再雇用者への賃金水準改善に取り組むためには、そのしわ寄せが他の部分に及ぶだろう」(配管冷暖房装置等卸売、愛知県)という声も多い。また、2020 年 4 月から大企業を対象に導入される同一労働同一賃金を受け、「制度は理解できるが、画一的に進めるのは大変難しい」(接着剤製造、兵庫県)、「派遣者の費用を上げて欲しいと派遣会社より依頼があり、対応しなければならない」(事業サービス、東京都)など、人件費の上昇に難しさを感じている声も多くみられた。


1) 人件費増加額は「法人企業統計」(財務省)より、帝国データバンク試算
2)「増加」(「減少」)は、「10%以上増加(減少)」「5%以上 10%未満増加(減少)」「3%以上 5%未満 増加(減少)」「1%以上 3%未満増加(減少)」の合計


まとめ

2020 年の国内景気は、海外動向が最大のリスク要因となり緩やかな後退が見込まれる一方、2019年 10 月には消費税率引き上げが実施されるなど、景気回復のカギを握る個人消費の動向が一段と注目されている。

本調査の結果によると、2020 年度の賃金改善は、前回調査(2019 年 1 月)を下回ったものの、4 年連続で企業の半数超が実施する見通しとなった。賃金改善を実施する企業の割合は実施しない企業の割合を大幅に上回っており、賃金動向は概ね改善傾向にあるものの、やや一服感がみら れる。また、改善内容に関しては「ベースアップ」が 4 年連続で 4 割台の高水準となった。その結果、企業の総人件費は平均 2.85%上昇すると見込まれ、そのうち従業員への給与・賞与は 3.7兆円増加すると試算される。

また、賃金改善の理由では、「労働力の定着・確保」をあげる企業は 2 年連続で 8 割超となり、過去最高を更新した。人手不足が長期化するなか、人材の定着・確保のための賃上げを実施する傾向が一段と強まっている。

労働需給がひっ迫し、半数近い企業が人手不足を感じているなか、人手不足の解消法として「賃金水準の引き上げ」はトップにあげられている(帝国データバンク「人手不足の解消に向けた企業の意識調査」)。本調査では、景況感の悪化なども一因となり、賃上げを見込む企業の割合は高水準ながらやや減少する結果となったが、労働力の定着・確保に向けた賃上げの動きは今後も続くとみられる。


転載元:帝国データバンク「特別企画: 2020 年度の賃金動向に関する企業の意識調査」

※ 調査期間は 2020 年 1 月 20 日~31 日、調査対象は全国 2 万 3,665 社で、有効回答企業数は 1万 405 社(回答率 44.0%)。なお、賃金に関する調査は 2006 年 1 月以降、毎年 1 月に実施し、今回で 15 回目。
※ 本調査の詳細なデータは景気動向オンラインに掲載している。
※ 賃金改善とは、ベースアップや賞与(一時金)の増加によって賃金が改善(上昇)することで、定期昇給は含まない。
※調査先企業の属性や調査対象、企業規模区分等は帝国データバンク「特別企画: 2020 年度の賃金動向に関する企業の意識調査」をご確認下さい。

この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})

close

{{selectedUser.name}}

{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}

{{selectedUser.comment}}

{{selectedUser.introduction}}

仮登録メール確認