連載:第10回 組織改革 その根幹
指示待ち組織を蘇らせたリーダー。社員の主体性を引き出すために貫いた「二つの行動」


「言われた通りに動く、機械のような社員ばかりでした。」山口県で、多くの人に愛される老舗和菓子店を運営する株式会社豆子郎 代表取締役社長 田原文栄さんは、次期社長として現場を回っていた頃を振り返ります。「指示待ち組織では、変化に対応できない。このままでは歴史が途絶えてしまう。」強い危機感を覚えた田原さんは、組織改革に乗り出します。「商売はうまくいっているのに、現状をなぜ変えようとするのか」とベテラン社員たちの反発に遭うも、社員自ら主体的に考え動けるようにするための「二つの行動」を徹底しました。結果、現在は社員から新たなアイデアが生まれるように。田原さんが、15年間徹底してきたこととは。詳しく伺います。

「指示待ち組織」に危機感。部下の主体性を引き出すために徹底した二つの行動
――貴社は老舗企業でありながら、社員のみなさんからさまざまなアイデアが生み出される、主体性あふれる組織だそうですね。
田原 文栄さん(以下、田原): ありがとうございます。会社のことを少し説明すると、当社は1948年創業の老舗和菓子店で、山口県内に12店舗を構えます。現在の社員数は95名です。
おかげさまで、 現在では現場から徐々にアイデアが上がってくるようになりました。 例えば、2021年にスタートしたECサイトは、社員たち自ら情報収集して立ち上げてくれました。県内だけでなく、全国から多くのご注文をいただけるようになりました。他にも、SDGsの観点を取り入れた新商品を開発したり、ある社員はノーコードアプリ「kintone」を独学で習得し、データ管理部門を一人で創設してくれました。 現在も、さまざまなプロジェクトが動いています。
――以前から、そのような組織だったのでしょうか?
田原: いえ、現在とは真逆で……。 以前は、完全な「指示待ち組織」でした。主体性がない状態で、上から指示されたことを、黙々と機械のようにこなす社員が多かったですね。 たまに「どう思う?」と意見を求めても、反応は無し。 まさにトップダウン型のマネジメントで、主体性の育たない環境にあったのです。
私はその頃、常務取締役として新しい世代の豆子郎をつくっていくために試行錯誤していたのですが、例えばこれまでやらなかったような質の高いサービスを提案しても「それは、常務だからできることだよ」「私たちを巻き込まないで」と言われてしまう……。「新しいことに挑戦しようよ」と言っても「今やることがあるから」とやらない理由を並べられてしまう。みんな、未来よりも「今」のことしか見えていない状態でしたね……。
それでも、人の入れ替わりが激しいとか、組織がギスギスしているというような、表立った課題は無かったんです。100名を超える社員を抱え、事業も順調でした。しかし、 当時、次期社長として役員になっていた私は、自分が引き継いだあとの未来に対して、大きな危機感を抱いていたんです。
その状況を打破すべく、私が15年ほど徹底してきたことが二つあります。それによって、社員たちが自らの言葉で話し、考えて行動できるようになったのだと思います。
――徹底されてきたこと。それは、何だったのでしょうか?
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