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連載:第1回 入山章栄氏 社外経験を通したリーダー育成

なぜ今、企業の外に飛び出すことが重要なのか〜イノベーションを生む「知の探索」のススメ

BizHint 編集部 2017年2月1日(水)掲載
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今、ビジネスシーンのあらゆるところで、リーダーシップを発揮してイノベーションを推進できる人材が求められています。そしてその育成方法として、企業の枠を超えて交流することや、新興国の社会課題の現場で経験を積むなど、「外へ出る」ことの意義に注目が集まっています。

今回は、昨年11月に開催されたNPO法人クロスフィールズ主催「社外経験を通したリーダー育成  ~早稲田大学ビジネススクール准教授 入山章栄氏と共に考える~」の中から、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄准教授による基調講演の模様をレポートします。

感度の高い企業がこぞって「人を動かす」ようになった

今、企業の境界を超えて社外で挑戦する人が増えています。こういう人を「越境人材」と呼んでいるんですが、確固たる経営学的な理由からこのように越境することが、日本のビジネスにとって決定的に重要だと思っています。

ここ2、3年、企業の境界を超えてどんどん人が動くようになってきています。 例えばロート製薬は、大手企業としては珍しく副業を解禁しました。

社員に外へ出ていってもらい、そこで何かを掴んでもらうことを会社として推奨しているということです。

別の例で言えば、ヤフーは週休3日制を取り入れました。

社員にちゃんと休んでほしいというのももちろんでしょうが、ヤフーは副業もできますから、仕事に限らず、新しいことにチャレンジすることを促す仕掛けでもあるのです。

さらに、「二枚目の名刺」というNPO法人にも注目が集まっています。 同法人は、所属する会社とは別にもう一つ名刺を作り、社会事業、ボランティア、趣味等、会社外のアクティビティをする人を支援する活動をしています。

このように、 感度の高い経営者や起業家、ビジネスパーソンは、企業の境界を超えて人を動かそうとさまざまな仕掛けをしている のです。

なぜか。いろんな考え方があるでしょうが、経営学的には答えは明確です。 それらは全て、イノベーションのため なのです。

ここでいうイノベーションとは、グーグルやアップルのような巨大なものだけを指すのではありません。

普段の仕事の中で新しい事業のアイデアを出すとか、もっと細かい現場の活動の改善も含めて、少しでも新しいことをやることと捉えていただきたい。

これからの不確実性の高いビジネスの世界では、どんな企業であっても、少しでも新しいことをやって前進していかなければ生き残れません。

レベルにはいろいろあるでしょうが、イノベーションを起こすことが求められているということです。

目の前にあるもの同士は、すでに組み合わせ終わっている

イノベーションの第一歩は、新しいアイデアを出すことです。新しいアイデアがなければ何も始まりません。

では、新しいアイデアを出すにはどうすればいいか。そこには何十年も前から経営学的に分かっている法則があります。

それは、 新しいアイデアは常に、すでにある知と、別のすでにある知の組み合わせによって生まれている ということです。

言われてみれば当たり前のことです。人間はゼロからは何も生み出せない。

ゼロは何回かけてもゼロです。今日会場に来ている方々も、日々、新しいアイデアを思いつくことがあるでしょう。

その時も頭の隅っこで絶対に、今までつながっていなかった何かと何かを新しくつなげているのです。

これは、今になって急に言われ出したことではありません。

「イノベーションの父」と呼ばれる経営学者のジョセフ・シュンペーターが、80年以上前に「 New Combination=新結合 」という名前をつけて指摘していたことです。

そしてこのことはいまだに、世界標準のイノベーション研究における、最も基本的な考え方の一つでもあります。

これからの世界では、今までつながっていなかった何かと何かを組み合わせることは、より重要になっていくでしょう。

ところが、人間の認知能力には限界があるため、本質的にどうしても自分の目の前にあるものだけを組み合わせてしまう傾向があります。

経営学ではこれを「 Myopia=知の近視眼化 」と呼びます。

同じ業界にずっといる人や、歴史のある業界では、あらゆる組み合わせがすでに試されてしまっていて、新しい組み合わせがもはやなくなっています

それは同業他社も同じです。 断言してもいいですが、そういうところからはもはやイノベーションは出てこないのです。

もし、今いる会社でなかなか新しい事業のアイデアが出てこない、あるいは個人レベルでもアイデアが生み出せないということがあるのであれば、それは、目の前の知の組み合わせがすでに終わってしまっているからなのです。

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