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連載:第1回 成長企業 社長が考えていること

人事だからこそ、自分のキャリアにも責任を - メルカリ石黒卓弥の人事論(前編)

BizHint 編集部 2017年1月26日(木)掲載
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「いま日本のスタートアップで人事施策がもっとも進んでいる会社は?」と聞かれて、多くの人が挙げるのがフリマアプリとして日米で快進撃をつづける「メルカリ」ではないでしょうか? そこで今回は、メルカリの人事・採用のキーパーソンである石黒卓弥氏に、人事としてのキャリアや、今後の人事のあるべき姿について伺いました。

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石黒卓弥(いしぐろ たかや)氏

株式会社メルカリ のHRグループにて採用と人事企画を担当。前職NTTドコモでは営業、人事、事業会社立上げ、新規事業企画などを経験。プライベートでは3児の父であり育休取得経験も


BizHint: メルカリの採用や人事施策については、既に石黒さんや取締役の小泉さんが様々な媒体で語られていますよね。

そうした記事を読んだ他の企業が突き当たる課題が「どうやって強い人事担当者を採用するか?」「どの様な人を配置して『攻めの人事』を実現するか?」だと思います。

そこで今回は石黒さんに、人事としてのキャリア、そしてメルカリとの出会いや、人事のプロとして見た、メルカリの魅力について伺えたらと思います。

「10年後には独立したい」と宣言してドコモへ

BizHint: キャリアについてお聞きしますが、どんな子ども時代だったんですか?

石黒: どんな子どもだったんだろう(笑)。自営業を営む、家族を大切にする家庭で育ちました。田舎から「都内近郊の大学に行ってみたい」と言うくらいの軽い気持ちで大学受験に向き合っていましたね。消去法な選択肢、良く言えば強みを活かす(笑)形になりますが「数学や物理なら、英語や国語よりもできる」というぐらいの思いで大学は工学部の電子情報工学科に進みました。国公立大学の理系学生は9割方、大学院に行くんですが、「この勉強を突き詰めるのか……」と思うと微妙で、大学3年生のときに進学ではなく就職しようという判断をしました。

BizHint: NTTドコモを就職先に選んだ理由は?

石黒:一言で言えばミーハーだった 。当時、ドコモが”ケータイ”というプロダクトとしても企業としても人気がありました。皆が持ち出した”ケータイ”、身近に持つ”ケータイ”の可能性に無限のものを感じていたというのもあります。また、当時は「人材業界」って言葉ができた頃。インテリジェンスさんやリンクアンドモチベーションさんにイケてる学生が殺到していましたね。今ビジネスでご一緒しているのは非常に感慨深いものがあります。

 一方、私は就活に関するアンテナが高くなかったこともあり、外資系銀行や外資系コンサルタント、マスコミなどを考えることはありませんでした。もっとコンシューマーに寄っている企業に興味が高かったということもあります。4月スタートの経団連企業を中心に受けたんです。就活戦略ですが、当時はITバブルだったので電子情報工学科の僕が「営業をやりたいです」って言えば、ほぼ選考は通った(笑)。

 「最初の3年は営業をやります。営業はすべての基礎であり会社の顔なので。次に人事採用をやって、組織を学び、10年後には独立したいです」って一次面接の時から言っていた生意気な学生で……。一般企業への就職を志す中では、「独立志向をもっているくらいパンチの効いたヤツを欲しがるだろうな」と思っていましたね。

「自分が社員2万人の代表」営業経験が採用の仕事にも活きている

BizHint: その宣言、ほぼ予定通りに進んでますね。

石黒: (笑)。で、ドコモでの最初の3年間は茨城支店で営業をやっていました。営業って面白いんですよね。もともと、話を聞くことや、説明すること、そこから新しい提案をつくることが得意でした。主に茨城県のつくばにある研究学園都市を担当していました。

 海外出張が多い独立行政法人から依頼された「全世界で使えるセキュアな高速回線を準備する」という仕事から、オーナー企業のお偉いさんからの依頼で「娘があのモデルのあのカラーの端末を欲しがってて……。どうにかならない?」という話まで、幅広く担当しました。相手からすれば、僕は数万人いる従業員の代表ですから。つまり社長の代わりだ、と勝手に思っていました。全ての矢面に立つわけですので、いいこともあれば厳しいご指摘をいただく時もありました。

「制度も給与も全部やりたい」と宣言した人事キャリアのスタート

BizHint: その後、人事に異動するわけですが、当時の石黒さんは人事の仕事をどう見ていたんですか?

石黒: 一般的な理解として学生及び新卒3年目くらいまでの人にとって「人事=新卒採用担当」です。でも、新卒採用の要素って人事の職務領域の5%、、、いや1%くらいしかない。中途採用、育成、研修、評価、労務、服務、制度、給与……。人事の領域は多岐にわたります。新卒採用担当はそのわかりやすさから人気ポジションだったと思います。一方で私が珍しかったのは、異動面談の時に「採用だけじゃなく、制度や給与もやってみたい」と言っていたところでしょう。

BizHint: 実際に人事の仕事を経験してみていかがでしたか?

石黒: とにかく一つひとつの仕事が新鮮でした。前述の通り新卒採用「以外」の業務は知らないことばかりで知識・経験とも私の社会人生活の基礎になっている部分も多いです。根も葉もない噂話で「大企業の人事はエースが行くところで、将来有望」などと聞くことがあります。若手社員がエースかどうかはわかりかねますが、役員の多くは人事部門を経験しているという事実がありました。事実、幹部候補にあがるであろう役職者の意思決定を間近で見ることができたのは価値が高かった。

BizHint: ジレンマや矛盾と向き合いながら意思決定する、将来の経営幹部候補の仕事ぶりを間近で見る機会に恵まれた訳ですね。

石黒:はい。あらゆる意思決定を間近で学ぶことにより物怖じしなくなりました。 例えば他者の評価や給料、その他特別な情報など、見たい見たくないに関わらず目にするようになります。総合的な危機管理能力は高まりますね。

BizHint: 人事のあるべき姿についての議論では「オペレーションと労務が中心になっている日本の人事はダメだ」と言う方も多くいます。そう話す方は「これからの人事は経営のパートナーとなる仕事をメインにすべき」とも言う。でも、現場を見てきた石黒さんはオペレーションと労務の重要性も知っていて、ポジティブに捉えている部分もあるようです。

石黒: まず前提としてオペレーションや労務は非常に重要だと思います。問題は「本来効率化するべき単純作業に時間的資源を費やしてしまうことで生産性が上がらないこと」なのではないでしょうか。

 加えて私自身の話としては、元来ポジティブってのがあるんでしょうね(笑)。最初に人事の現場を経験している点は大きいと思います。また、所属初日の面談で上司から「人事部門は2つ上のレイヤーを見ろ」と言われました。一般的には(一つ上のレイヤーである)直属の上司をみて行動するのだと思いますが、その上司を更に上位の役職者や役員がどう見ているかを考える。これは非常にいいアドバイスでした。

「発信力を高めたい」想いで取得した育休が転機に

BizHint: 石黒さんは、石黒さんなりの「人事部門の見方」をしていた。その後事業会社の立ち上げや、新規事業など人事から離れて事業を担当していくことになります。

お話しを伺っていると、ドコモでのキャリアも非常に充実していた印象です。ただ、結果的にはメルカリに転職した。そのきっかけは?

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