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連載:第1回 リンクアンドモチベーション麻野耕司の人事論

組織や人事が企業の業績に大きく影響を与える時代に。リンクアンドモチベーション麻野耕司の人事論(前編)

BizHint 編集部 2017年1月18日(水)掲載
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リンクアンドモチベーション執行役員として中小ベンチャー企業向けの組織人事コンサルティングなど、クライアント企業の「会社づくり」に携わる麻野耕司さんに、人事に求められること、人事が目指すべきキャリア、良い人事の特徴について伺います。

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働き方が多様化しています。金銭やポジションだけでは従業員のモチベーションを満たすことができなくなっている昨今。企業や人事は働き手のさまざまなニーズに、どうやって応えていけば良いのでしょうか。

今回お話をうかがうのは、株式会社リンクアンドモチベーションの麻野耕司さん。同社が行っているのは、組織と社員のモチベーションを変える組織変革コンサルティング事業です。創業以来2,000社以上のクライアント企業の組織や人事を変えてきました。

麻野さんは入社後に管理部門に配属され、人事マネジャーや社長室マネジャーなど、自社の「会社づくり」に奔走されました。現在は執行役員として中小ベンチャー企業向けの組織人事コンサルティングを行うなど、クライアント企業の「会社づくり」に携わっています。

そんな麻野さんに、 人事に求められること、人事が目指すべきキャリア、良い人事の特徴 を語っていただきました。

前編では、日本の人事部が抱えている問題や「モチベーションクラウド」など同社の取り組みを紹介します。

日本企業は人事の重要性を認識していない

私は新卒でリンクアンドモチベーションに入社して、今年で15年目となります。入社後は大きく2つのキャリアがあります。2003年から2009年末までの7年間は管理部門で人事のマネジャーをやったり、社長室のマネジャーをやったり、主に自社の「会社づくり」を行なっていました。その後は執行役員として中小ベンチャー企業向けの組織人事コンサルティングを行うなど、クライアント企業の「会社づくり」に携わっています。

リンクアンドモチベーションは「モチベーションエンジニアリング」を推進する会社。クライアント企業の社員モチベーションを高めることで、業績を上げる企業になるようなお手伝いをしています。他社にアドバイスをさせていただいているくらいですから、社内でのモチベーション向上、良い組織・チームづくりには妥協しません。

管理部門時代の直属の上司は創業者で会長の小笹芳央でした。配属当初に言われたのは、「君の同期はみんなクライアント企業に対してコンサルティングしているよね。それと一緒だと思って。俺のことを上司やと思うんじゃなくて、クライアントとして扱って」ということ。複数社担当する現場のメンバーと違うのは、自分は自社一社だけを担当するコンサルタントだということでした。

社内だからという甘えがあると、現場で働いている同期と差がついてしまいます。だから、甘えをなくす必要がありました。対クライアントであれば、プロジェクトで成果が出ないとほかの会社に乗り換えられてしまいます。でも社内だと自分の代わりはいないような感覚になってしまい、どうしても甘えが出る。もしもプロジェクトが失敗したら、別のコンサルタントに乗り換えられてしまうというような緊張感を持つようにしていました。

人事が重要視されていないことに驚いた

小笹はリクルート時代の経験もあり、創業当初から自社の組織や人事を最優先に考え、惜しみなく経営資源を投下していました。そうした経験があったため、コンサルタントとして他社人事の実情を見たときは驚きました。あまりにも人事の位置づけが低すぎる、と。

経営者の方は、みな口をそろえて「人が大切」だとおっしゃいます。しかし私が「人事に営業のエースを持っていきましょう」、「今どき良い人材は1人200~300万円かけないと採用できません。採用にもっと予算を投下しましょう」と提案しても「いや、それはちょっと困る」と言われることがほとんど。

必ずしも人やお金を突っ込めばいいわけではありませんが、経営は資源配分。「人が大切」だからこそ人事や採用にも時間やお金を投下する必要があると考えます。

企業を評価するのは商品、資本、そして人

企業は商品市場と資本市場と労働市場、3つから選ばれないといけない と考えています。

かつて産業構造は第2次産業、製造業が主でした。商品をつくるためには設備が必要で、設備を整えるためには資金が欠かせません。だからこそ、商品市場と資本市場から評価されることが大事でした。

現代は第3次産業、サービス業が中心の世界になってきています。第2次産業の製造業でもソフト化が進んでいます。サービスやソフトを生み出すのは人材に他なりません。それゆえに、勝つためには人材が大事なんですよね。

業績を伸ばし始めている企業は「人」を重要視している

ここ数年で企業の経営戦略が組織人事を重視する方向に変わってきたように感じます。

リンクアンドモチベーションの創業時は「いかに組織が大事か、人が大事か、モチベーションが大事か」とクライアント企業に説くことからはじめていました。

最近はその説明をしなくても、「組織・人・モチベーションが大切だ」とおっしゃってくださる企業が増えてきました。特に顕著なのはITインターネット業界。サイバーエージェントやスタートトゥデイなど、ITバブル以降に目立った業績をあげている会社は、組織や人、モチベーションに一定以上の力を入れている会社ばかりです。現在は、その動きがサービス業にも広がってきており、やがては様々な産業に波及していくことでしょう。

人を重要視している企業が成果を上げた結果、他の企業も「人を大切にしよう」という価値観を抱きつつあるのだと思います。

問題は、人そのものではなく人と人の関係性から生まれる

今の日本の経営は、欧米から輸入してきた考え方に強く影響を受けています。欧米型経営のベースにある考えが「物事の結果はすべて要素に分解できる」という「要素還元主義」です。

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