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組織・チームワーク

2018年12月6日(木)更新

コンピテンシーの意味とは

コンピテンシーは「 業務遂行能力の高い人物(ハイパフォーマー)に共通する行動特性 」として理解されています。近年、人材育成や採用活動に有効なコンピテンシーを活用する日本企業が増えています。

コンピテンシーは、米ハーバード大学の心理学者D.C.マクレランド教授の研究結果によって生まれた概念といわれており、研究結果では、

学歴やIQのレベルが高い人材が必ずしも高いパフォーマンスを出すとは限らず、特有の思考パターンや性格、動機、行動パターンを取っていることが多い

と結論付けています。

特徴として、 コンピテンシーの高さは学歴や専門性を必ずしも備えているわけではない という点が挙げられます。一般的な「 頭の良さ 」を表す指標よりも、他者とは異なる行動特性 が、高い業務遂行能力を発揮していることがわかっています。

コンピテンシーを導き出すことによって、知識・経験・能力に不足がないにも関わらず成果が出せていない社員に対し、 成功法則(成功者の行動特性)の明確化 を行うことができます。そして、それが個人のマンパワーを向上させ、結果的に組織の生産性向上 に繋がります。さらに中長期的な企業業績の向上も期待できます。

【関連】ハイパフォーマーの特徴とは?具体例と採用に活用する方法 / BizHint

組織の中で見られる「コンピテンシー」の具体例

組織の中で見られるコンピテンシーは、実際の仕事の現場状況を俯瞰的に観察することで、その内容がみえてきます。

例えば、組織内には同じ営業活動を行っている社員の中に、 自社の商材について知識が豊富であるものの、期待されている成果をあげられていない人材A と、 商品やサービスの知識はそこまで高くないものの、受注数が周囲と比べて突出している人材B が存在するとします。

成果を出していない人材Aと、成果の出している人材Bでは、営業アプローチに以下のような違いが見られました。


  • 人材A
    商材の説明や導入メリットに多くの時間を費やしている
  • 人材B
    営業先と自社との提携のしやすさ、お互いの企業理念の話などに多くの時間を費やしている

成果を出している人材Bの行動特性を分析すると、対人理解・顧客支援志向といった 援助・対人支援の傾向 が強くみられます。また、お互いの企業理念を共有することは、組織感覚に長け、 インパクト・対人影響力 を有していると考えられます。

実際の現場では、このような違いが少なくとも生じています。これらの現状の差異を紐解く鍵になる考え方こそが「 コンピテンシー 」です。

組織の生産性を高めるためには、生産性の高い人材の行動を観察し、その行動を実践できる人材を量産することが大切です。生産性の高い人材の行動特性を、きちんと言語化し、周囲が理解しやすい形に落とし込むことで、周囲への伝達、行動の定着が促進されます。

コンピテンシーが注目されている背景

コンピテンシーの考え方が普及した背景には、成果主義の浸透が大きく影響しています。

成果主義は「成果や結果を基準に評価がなされ、どういったプロセスで成果に至ったか」を重視するため、「その成果自体が運要素や感情ではなく、適切にアプローチをした上で成果を出したか」を判断できるコンピテンシーに注目が集まったと考えられます。

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コンピテンシーの活用例

コンピテンシーは実際にどのようなシーンで活用されているのでしょうか。

  • 人材開発
    コンピテンシーでは自社にとって必要な行動特性が明確になるため、従業員の人材育成や能力開発への活用も有効です。
  • 評価制度
    コンピテンシーを評価項目に採用することで、行動に関する具体的な評価基準を設けることが可能となります。客観的な評価と精度の高いフィードバックを実現できます。
  • 面接における評価軸
    コンピテンシーは、面接時の質問や評価項目にも活用できます。 ミスマッチの防止や、採用の精度向上も期待できます。

それでは、ここからはそれぞれの詳細について解説をしていきます。

コンピテンシーを活用した人材開発

コンピテンシーは、従来型の人材開発において主要な役割を担っていた業務上の専門的な知識やスキルとは明確に区別されています。昨今、企業の人材開発においてもコンピテンシーモデルを導入することによって社員の生産性を高めようとする取り組みが行われています。

コンピテンシーに注目することで、高い生産性を示しているすぐれた人材の行動特性を「見える化」することができます。これをコンピテンシーモデルとして共有をはかることで、より成果に繋がりやすい人材開発の突破口を切り開くことが可能となります。

コンピテンシーを人材開発に活用するメリット

コンピテンシーは企業や事業部が求める人物像や行動特性を明確にできるため、それに合わせた 人材開発・育成が可能 となります。企業が求めるスキルや行動を社員に提示しやすく、社員のキャリア形成や能力開発にもつながりやすい、投資効率の高い人材開発が実施できます。また、部署ごとのコンピテンシーを導き出すことで、 個人の適性や特性にあった業務分担や適材適所への配置も可能 です。

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コンピテンシーモデルの策定

コンピテンシーモデルとは、 社員の成長や育成、実務で使用するために、生産性の高い人材の行動特性をモデル化したもの を指します。業績を向上させるプロセスに注目し、導入目的や分野に応じて、モデルを細分化することで、人材育成や採用選考に役立てられます。

コンピテンシーモデルの作成手順

一般的なコンピテンシーモデルの作成手順は、以下の流れとなります。

  • 生産性の高い人材の特徴や要素の洗い出し
  • コンピテンシーモデルとなる人材へのインタビュー
  • 経営・組織が掲げる将来ビジョンとのすり合わせ
  • 社員の行動模範への落とし込み

中でも「組織の将来ビジョンとのすり合わせ」は、生産性の高い社員を生み出す上で重視する過程のひとつです。コンピテンシーモデルは、短期的な目標を達成するために作成されることが珍しくありません。しかし、人材育成や能力開発には時間が必要であり、経営側が長期的な視点で「 何のためにコンピテンシーモデルを作成するか 」を重視しなければいけません。

【関連】コンピテンシーモデルとは?モデルの作り方や面接や人事評価での活用例をご紹介 / BizHint

コンピテンシー活用のポイント

コンピテンシーモデルは特定の社員や自助努力で賄える人材だけが目指せるものではいけません。コンピテンシーモデル策定の目的は、組織全体の生産性向上のため、評価基準や上司・部下のフィードバックを含めたコミュニケーションのあり方を精査し、 全社員を巻き込んだ普及が不可欠 です。

また、コンピテンシーモデルは、策定後「現場できちんと運用されているか」をモニタリングする事も大切です。加速度的に世の中が変わっている中で、コンピテンシーの基準も見直さなければ、組織全体が思考停止に陥り、コンピテンシーそのものが形骸化する恐れがあります。

コンピテンシーの機械的な踏襲は「生産性を下げる行為」が社内で蔓延してしまうことにもつながりかねません。そのため、現在、採用しているコンピテンシーモデルが「 時代にあったものかどうか 」、「 組織の成長実態に即したものであるか 」を定期的に振り返ることが重要です。

コンピテンシーを用いた評価制度

コンピテンシーは人事制度や評価制度に活用されることも多く、企業・社員双方に高い効果をもたらしています。

従来の評価制度との違い

コンピテンシー評価とは、 生産性の高い人材の行動特性を評価基準や評価項目に設定した評価制度 を指します。コンピテンシーは社員の行動(プロセス)に対する評価に組み込めるため、 成果主義による評価制度と、日本型評価制度である 職能等級制度それぞれにバランスをもたらします。

コンピテンシーは、成果主義職能等級制度における、人物評価、職務能力評価、そして業績評価にはない、 行動特性(プロセス)評価をもたらす画期的な評価基準 といえます。その結果、社員の不満解消や公平・公正な評価制度の導入が可能となります。

コンピテンシー評価のメリット

コンピテンシーで導き出された行動特性を活用することで、成果だけではなく プロセスについても一定の評価基準を設ける ことができます。評価基準が明確になるため、上司と部下の評価に対する認識の違いも生じにくく、 多面的な評価がされやすい メリットがあります。コンピテンシーは、人事評価における公平性の確立につながるため、企業・従業員双方が納得した上での評価を実現できます。

そのほか、以下のようなメリットもあります。

  • 業績・成果につながりやすく、目標管理の向上も期待できる
  • 社員自身の努力による行動が評価対象となるため、評価に対する社員の納得感が向上する
  • 目標達成に向けた行動を管理しやすく、従業員のキャリア・能力開発に効果的

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コンピテンシー評価の導入手順

一般的なコンピテンシー評価は、以下の手順で導入されます。

  • 生産性の高い人材へのヒアリング
  • 基準項目の作成
  • 社内の自律的な目標設定
  • 評価と行動改善

基準項目の作成は、成否が曖昧になることを防ぐ重要な役割を担います。また、基準項目それぞれに数値設定を行い、定量的な評価ができるようにすることも重要です。

さらには、事業部や業務内容によって、求められるコンピテンシーが異なるため、基準項目を細分化することも求められます。

【関連】コンピテンシー評価とは?成果につながる行動特性に注目した制度 / BizHint

コンピテンシーを活用した採用面接

コンピテンシーは採用面接の場においても効果的です。コンピテンシー面接は、自社や事業部の基準を満たす人材を獲得しやすくなります。

従来の採用面接との違い

コンピテンシー採用とは、 自社の生産性の高い従業員の行動特性から抽出した採用基準に基いて、就活者の行動を客観的に評価する採用方法 のひとつです。コンピテンシー面接と通常面接では、以下のような違いがあります。

コンピテンシー面接では、自社で活躍する人材と同じ行動特性を取っているかを重視します。

5段階で決められた評価基準に基づいて、就活者が過去に取り組んだ具体的な状況や目標達成する上で実施した行動内容をヒアリングします。そのため、客観的な採用評価が可能となり、採用面接における評価の統一、採用評価の信頼性の担保につながります。

コンピテンシーを面接に用いるメリット

コンピテンシー面接では、以下のような候補者の行動特性に着目することで、以下のメリットを得られます。

  • 候補者のうわべだけの能力だけでなく、就活者の本当の能力を見極められる
  • 候補者が行動時にどのような考え方や思考方法を採用したかを把握できる
  • 周囲の環境や他の人材の力に依存していないかどうかの見極められる
  • 就活者の場当たり的な回答や履歴書の記載内容の真偽を見抜ける

これらのメリットは、企業と候補者のミスマッチを限りなく防ぎ、企業や事業部が求める人材獲得の精度向上が期待できます。

コンピテンシーレベルの5段階の評価基準

コンピテンシー採用活動での評価基準は以下のように 5段階 に分けられ、行動特性が能動的か受動的かを判断できます。

  • レベル1:受動行動
    部分的・断片的な行動が多い
  • レベル2:通常行動
    やるべきタイミングで、やるべき業務を遂行した
  • レベル3:能動行動
    自身の明確な意図や考えに基いて、選択した行動
  • レベル4:創造行動
    独自の創意工夫を踏まえ、環境・状況を打破する行動
  • レベル5:パラダイム転換行動
    就活者自身、周囲にとって、全く新しい変化を生み出す行動

これら5つのレベルに分けることで、就活者を評価しやすくなり、自社にとって最適な人材の選定に役立てられます。

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まとめ

  • 「コンピテンシー」を分析することで、生産性の高い人材の行動特性を抽出することができる
  • コンピテンシーモデルの作成は、評価制度、面接時の評価軸、人材開発の分野において、高い効果を発揮する -コンピテンシー評価や採用面接は、従来の評価制度、採用基準とは異なり、行動を重視しているため、評価の公平性の担保や効果的な能力開発、自社基準に沿った優秀な人材獲得に可能である
  • コンピテンシーを活用する際は、企業の将来ビジョンとすり合わせ、中長期的な視点での実施が求められる。

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