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連載:第6回 従業員のエンゲージメントを高める

社員の大量引抜きで気付いた理念の未徹底。多様性と全員の幸せを追求する経営を

BizHint 編集部 2021年3月18日(木)掲載
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東京、NY、ロンドンなどで働き、その後世界100ヶ国以上を約10年かけて旅しながら現地で生活を送る…。その稀有な経験から「多様性」と「社員それぞれの幸せ」を追求する社長がいます。日本全国で持続可能エネルギー事業を展開しているGPSSグループ代表の目﨑雅昭さんです。リモートワークも社員の意思決定における「時間的・空間的制約からの解放」と捉え、社員が自ら幸せを追求する背中を押すために、一人ひとりの人生と向き合う時間を作っています。その手法や、そこに至る背景を聞きました。

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GPSSグループ代表
目﨑 雅昭 さん

慶應義塾大学商学部卒。ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)社会人類学修士号。米国メリルリンチ証券でデリバティブ(金融派生商品)トレーダーとして金利スワップを担当。東京、ニューヨーク、ロンドンで勤務。メリルリンチ証券退社後、世界100ヶ国以上へ10年近い歳月をかけた旅に出る。2012年、日本メガソーラー整備事業株式会社を設立。2017年4月GPSSホールディングス株式会社に社名変更。サステナブルな社会の実現のために、太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオガスといったサステナブルエネルギーを生み出す発電事業への投資、プロジェクト組成、投資管理、エンジニアリング、エネルギーの資源量調査などを行う企業グループを率いる。著書:『幸福途上国ニッポン』(アスペクト社)他。


「自分で考えている」つもりでも、何かに囚われていないか?

――貴社では「フェア」にこだわっているとのこと。

目﨑雅昭さん(以下、目﨑): はい。「フェアであること」こそが、人種や文化を超越できる人類共通の価値観だと考えています。フェアに判断できているか?また、人としてフェアであることを追求していけば、どんな関係性・組織であっても、ある程度のコンセンサスはとれるのではないか?と思うからです。

では逆に、どういったものが「フェア」ではないのか?

例えば「慣習」や「伝統」「ルール」です。これらはフェアの概念とは対極にあるケースが多い と思っています。もちろん、慣習や伝統そのものを否定しているわけではありません。

これらの概念は、見方を変えれば「以前はそうだった」「長くそれでやってきた」というだけのもの。つまりは、 過去のどこかの瞬間に、誰かの都合で作られたガイドラインに過ぎない わけです……。

私達が今この瞬間、目指すゴールへの道筋を考えた時に「昔の誰かの都合」に引っ張られた判断は、フェアな判断とは呼びません。 大切なことは「過去や周囲の様々なしがらみに囚われずに、今、自由に考え判断する」ということ です。

よく「自分で考えよう!」という掛け声を耳にします。たしかにみんな、自分で考えてはいるんですよね。でも実際は、その考える土台がいろいろなしがらみに囚われている。「フェア」は、そのことをしっかり意識して考えるための合言葉のようなものでもあります。

「ルールを作りました。だから(無条件に)従ってください」というアプローチは、当社ではNGです。ルールができれば、本当にそれが正しいかどうか、まずは各自の判断を求めます。そして最終的には個人、そしてお互いが納得して物事にあたることが重要です。

――「フェア」「しがらみに囚われないこと」を重視するきっかけはあったのでしょうか?

目﨑: 年齢で言えば、二十歳ごろ。初めて日本を出て外国の方と接し、一緒に学び、仕事をするようになったころからでしょうか。そこには、それまで自分が正しいと思っていたことや、「お前はダメだ」と言われていたような環境とは、まったく違う世界がありました。

僕は「お前はダメだ」とずっと否定されて育ってきたのに、そこにいたのは「お前はダメだ」なんて一言も言われずに大人になった人たち。…そして彼らが、すごく幸せそうに見えたのです。

それから、自分が育った環境に存在していた判断基準について考えました。なぜ自分は「ダメ」と言われたのだろう?なぜ彼らは「ダメ」と言われなかったのだろう?と。

僕が「ダメ」だと言われていた理由。それはつまり「慣習と違う」からでした。「違う」というただそれだけの事象が「良い/悪い」「正しい/正しくない」に変換されていました。

善悪を、慣習が決めていた わけです。

一方で、僕はいくつかの先進国で仕事をし、また途上国と呼ばれる多くの国々を旅し生活する中で、多種多様な人々と接しながら、自分なりに「人類が共通にわかり合える何か」を考えました。

慣習は国や土地、民族によって多岐にわたりますので、 慣習によって共通の善悪を決めることはできません。善悪は常に「自分として、人として正しいことは何だろう」という問いに置き換わります。 それこそがしがらみや慣習に囚われない、「自分としてのフェアな判断」に繋がります。

僕は自分の会社・組織を作るにあたって、多様なバックボーン、価値観を持つ人々に活躍してもらいたい、そして正しいことをやっていきたいと考えました。それが、「フェア」という言葉に繋がっています。

GPSSグループが手がける国内初のカカオ栽培とのソーラーシェアリング。農地の上にソーラーパネルを置き、作物栽培と太陽光発電の両方を可能にしている。

社員全員、それぞれと、一緒に人生を考える時間を持つ

――そういった考え方を社内に徹底するために、どのようなことをされていますか?

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