“ニューノーマル”に向き合う海外人事、タイやマレーシアや香港で「赴任者削減・現地化」が進む

貴拠点の事業方針について教えてください

事業方針は現状維持が基本ながら、ベトナムとインドは拡大路線

パソナでは、日系企業を対象に「海外人事状況に関する調査」を実施し、計818社から回答を得ています。この調査では、アメリカ、カナダ、香港、韓国、台湾、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インドの11カ国・地域にある海外拠点を対象としています。

まず「各国・地域の今後の事業方針」については、「現状維持」が多数派ですが、「事業規模拡大」とする企業も多く、ベトナムとインドでは過半数を占めています。ほとんどの国が30％以上となった一方で、政情が不透明な香港に関しては13％と、慎重な様子が見てとれます。

貴拠点の活用方針について教えてください

また「今後の拠点の活用方針」についても、「現状維持」が67％ですが、残る企業は、統括拠点としての機能追加・見直し、事業の移管などを検討している企業がほとんどでした。撤退を予定している企業はゼロでした。

「赴任者を削減した／今後削減予定」はタイ30％、マレーシア28％、香港22％など

今後3か月について、赴任者の削減を行っていく予定ですか

「今後3か月で赴任者の削減を行っていく予定があるか」と聞くと、「すでに削減済み・削減中」または「削減予定」と答えた企業が、タイで30％、マレーシアで28％、香港で22％となりました。移動制限などもあり赴任を見送るといった企業も多く、今後は現地化を進め、現地責任者や人材の採用・教育ニーズが増加すると思われます。

経営戦略に基づき、オフィスのあり方をどのように検討していますか

また「今後のオフィスのあり方をどのように検討しているか」については、香港、シンガポール、インドネシアでは、15％超が「縮小を計画中」「縮小済み」としています。逆にベトナムは拡大基調で、43％の企業が「拡大済み」「拡大を計画中」と回答しています。香港やシンガポールは不動産価格が高く、人材の削減よりもオフィス縮小が優先されそうです。事業規模拡大を志向するインドも、オフィス拡大には慎重のようです。

リモートワークにおけるコミュニケーションと社員ケアが今後の課題

リモートワークの課題（n=592）

「リモートワークの課題」について聞くと、リモートワークを採用している多くの企業において「コミュニケーション」74％、「パフォーマンスの管理・評価」59％を課題としていました。

ニューノーマル環境下における人事労務管理上の課題（n=818）

このことは、「ニューノーマル環境下における人事労務管理上の課題」において、「社内コミュニケーションの減少」47％がトップになった点、「社員の評価」40％が上位となっている点にも表れています。またコロナ禍による「現地社員の健康管理、メンタルケア」42％、「赴任者の健康管理、メンタルケア」32％も高い数字を示しています。これからの日系企業に共通する、大きな課題だと言えるでしょう。

調査方法

調査期間：2020年12月7日～12日
調査方法：インターネット調査
調査対象：アメリカ、カナダ、香港、台湾、韓国、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インドの計11カ国・地域における、日系企業の海外現地法人
有効回答：818社（アメリカ171社、カナダ11社、香港104社、台湾84社、韓国36社、タイ46社、ベトナム14社、マレーシア36社、シンガポール164社、インドネシア45社、 インド107社）
調査言語：日本語、英語

プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000906.000016751.html