化学企業の46%が顧客離れに危機感、顧客中心主義が必要と考えるも徹底は困難

サプライヤーは競合に顧客を奪われる危機感を抱えている

調査によると、サプライヤーたちはバイヤーが購入先を他社に乗り換えられる選択肢を持っていることで、「競合他社に顧客を奪われる危機感を持っている」ことが判明しました。実際にバイヤーの55%は「プラスチックの代わりに金属を使用するなど、化学材料以外も含めて、別の素材に切り替える可能性がある」と回答していることから、サプライヤーはバイヤーが仕入れ先を切り替えるリスクを常に保有していると判断できます。

収益拡大の鍵は「顧客至上主義」の徹底と最新テクノロジー

一方でサプライヤーたちは顧客至上主義を徹底できれば、収益を拡大できると考えている人が多いようです。

サプライヤーの66%は「最新テクノロジーをより広範に取り入れ、顧客中心主義を徹底すれば、収益を10%以上拡大できる」と回答しています。さらに35%は「収益を20%以上拡大できる」と回答していることがわかっています。

化学企業が想定している顧客ニーズのギャップによってリスクが高まる

本調査では、バイヤーや消費者のニーズと、化学企業が想定している顧客ニーズのギャップによって、顧客離反のリスクが高まることに警鐘を鳴らしています。

以下は挙げられているギャップの例です。

• サステナビリティの観点で最も重視する製品特性として、消費者やバイヤーは「材料の安全性」や「製品の耐久性」を挙げています。一方、化学企業は、消費者やバイヤーが「再生可能エネルギー向けの材料・ソリューション」や「リサイクル可能な製品」であることを最も重視していると考えています。

• 化学企業は、バイヤーに比べて「高付加価値のサービス」を重視する傾向があり、これは、バイヤーが必ずしも重視しない価値に対して、化学企業が優先して取り組んでいることを意味します。

• バイヤーや消費者は、化学企業の想定以上に「流通や配送の信頼性」を重視しています。

化学企業の99%が先端テクノロジーを活用

本調査によると、化学企業の99%が「顧客中心主義を徹底するために、アナリティクスやロボティクスといった先端テクノロジーを少なくとも1つは活用している」ことがわかりました。一方、「データの欠損や精度の低いデータが多すぎる、もしくはデータが少なすぎるといった課題がある」と回答した化学企業は74%にのぼり、必要となる精度の高いデータが不足していることに課題を抱えている企業が多いことも判明しています。

調査概要

調査テーマ：Global Buyer Values Study
調査目的：同業界における顧客中心主義の浸透度を把握する
調査対象：材料サプライヤーの経営幹部345名（うち約100名は化学またはプラスチックサプライヤー）、産業用製品のバイヤー760名（15業界）、小売業者100名のほか、化学業界に影響を及ぼしうるエンドユーザーの購買嗜好を調査するため、消費者1,000名
調査対象国：日本、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、オランダ、韓国、スペイン、英国、米国の12カ国
調査方法：14種類の製品特性について、バイヤーにもたらされる74種類の価値を優先付けするための分析と、標準的な調査の2部構成

プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000260.000019290.html