連載：第8回建設業

建設業界の2021年3月期の業績予想、2020年のオリンピック特需の反動とコロナ禍で大幅な減収減益に

BizHint 編集部 2020年7月6日(月)掲載

総合工事業（ゼネコン）、土木工事業、電気設備工事業、管工事業、住宅不動産業、プラント・エンジニアリング業の建設業界6業種。2020年3月期の決算は、景気回復に東京オリンピック・パラリンピックの特需も加わり好調な結果でしたが、2021年3月期は新型コロナウイルスのマイナスの影響が懸念されています。

建設業界6業種ごとに、2020年3月期の実績と2021年3月期の業績予想を比較

ヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研では、建設業界に焦点を絞り、2020年3月期（連結）の実績と、2021年3月期（連結）の業績予想の比較を行いました。総合工事業（ゼネコン）、土木工事業、電気設備工事業、管工事業、住宅不動産業、プラント・エンジニアリング業の6業種について、主要上場企業各10社（計60社）の動向を調査しています。その結果、以下のような回答を得ています。

総合工事業（ゼネコン）

2020年3月期：8社が増収となるも収益性は低下傾向

2021年3月期：6社が減収減益の予想

大林組とフジタ（単体）が過去最高の売上高になるなど全体的に好調な一方で、10社合計では営業利益が前期比2.5％減、経常利益が同3.4％減、純利益が同6.9％減と収益性が低下していました。2021年3月期の業績予想でコロナ禍の影響を織り込んだ数値を発表したのは7社。そのうち6社は大幅な減収減益予想でした。

土木工事業

2020年3月期：9社が増収、うち8社が増収増益となり好調な決算

2021年3月期：比較的落ち込みは小さいと予想

10社合計の売上高は前期比5.0％増、営業利益は同2.8％増、経常利益は同2.5％増、純利益は同14.0％増と、2020年は非常に好調な決算でした。2021年3月期の業績予想について、影響を織り込み済みの数値を発表した4社（大豊建設、川田テクノロジーズ、飛鳥建設、東亜道路工業）は前期割れの売上高予想となっていますが、総合工事業ほどの落ち込みにはなっていません。

電気設備工事業

2020年3月期：9社が増収、うち5社が増収増益

2021年3月期：不透明要素が多い、8社が未定

10社合計の売上高は前期比11.2％増、営業利益は7.7％増、経常利益は6.4％増で、好調な決算。一方、2021年3月期の業績予想については8社が未定。残る2社では、コムシスホールディングスは売上高が前期比0.2％減、営業利益同2.4％減、純利益同1.9％減、協和エクシオは売上高が同0.1％増、営業利益同2.9％増、純利益同35.2％増としています。

管工事業

2020年3月期：6社が増収、うち5社が増収増益

2021年3月期：不透明要素が多く、8社が未定。2社はともに減収減益の予想

10社合計の売上高は前期比2.2％増、営業利益は同12.1％増、経常利益は同9.6％増、純利益は同6.4％増と好調。2021年3月期の業績予想については8社が未定。残る2社では、三機工業は売上高が前期比3.7％減、営業利益同15.7％減、純利益同14.2％減、日比谷総合設備は売上高が同10.4％減、営業利益同45.8％減、純利益同57.6％減と、ともに減収減益の予想になっています。