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連載:第7回 コロナ危機と闘う

当社はコロナで、これ試しました。IT導入のメリットと見えた課題

BizHint 編集部 2020年6月22日(月)掲載
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今回のコロナ禍にあって、事業を継続するために各社で様々な取り組みがなされています。BizHintではそのアンケート調査を進めるとともに、個社ごとの施策や実情についてのヒアリングも実施しました。今回、そのうち4社のケースを紹介します。各社、スムーズとはいかないまでも、課題を見つけクリアしながら前に進んでいる様子がうかがえます。ぜひご参考ください。 ※ヒアリングにご協力いただいた方のお名前や社名は匿名とさせていただきます。

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家庭にPCと通信環境がない社員への対応をどうするか?

  • 大阪府 / 製薬 /経営層 / IT部門
  • 従業員1000名以上
  • 導入したツール :RemoteView(リモートデスクトップ)

対策

コロナ対策のために全社でリモートワークを進めるにあたり、大きな問題がなかったのは営業部門。すでに全員にノートPCと通信カードが支給されていたので、それまでと同じ環境で業務を継続できた。ただし、大きな営業先の一つである病院への訪問はできなかった。病院側としてもコロナ対応で多忙を極めており、そういった状況ではなかった。

次にスムーズだったのは研究開発部門など。ノートPCが支給されている社員は自宅から業務を行うことができた。ノートPCが支給されていない社員も、多くの社員は自宅にPCや通信環境があり、そこから会社のデスクトップPCをリモート操作する形で業務を遂行した。そのために使用したのがRemoteViewというツール。試験運用した上で、在宅でできる業務を進めていた。

課題となったのは、普段はオフィスでデスクトップPCを使い、自宅にPCや通信環境がなかった社員。社内であまっていたPCをセッティングして貸与し、データカードを手配するなど対応に追われた。年配の社員と、若い社員が自宅にPC・通信環境がない割合が高かった。若い社員の中には、プライベートではPCよりもスマートフォンで済ませているものが一定数いた。

リモートワークを進める中で一番の障害となったのが「社内サーバの負荷」の問題。ほとんどの社員が外部からアクセスするので「繋がらない」「重い」「仕事にならない」ということが当初発生した。なので、すぐに設備を増強するなど対策に動いた。

工場・生産部門については在宅ワークはなし。医薬品は何より安定供給の責務がある。生産設備での感染対策を実施した上で、通常稼働した。

今後

社内におけるIT活用の面では、これまでは必ずしも進んだ会社というわけではなかった。しかしこれを機会に「いろいろな働き方」を許容できる体制を整備するという、社命が下っている。実際にリモートワークをやってみた結果、「社員の多くが在宅でも仕事をできる体制」「コミュニケーションを取るためのツール(チャットツールなど)」を検討する空気が出てきている。今後実際に、歩を進めると思われる。

遠隔での雑談ツールを導入も、自社開発に舵を切る

  • 東京都 / 再生エネルギー関連 / 部門責任者
  • 従業員100名以上
  • 導入したツール:Sococo (仮想オフィス)

対策

従来からOffice365を一通り活用し、社員にもノートPCを支給。オンラインミーティングにはZoomを活用するなど、リモートワークができる環境はすでに構築されており、社外での業務も問題なく遂行できていた。

しかし「全社でのリモートワーク」という段になって経営陣が懸念したことは「雑談などのちょっとしたコミュニケーション」がなくなってしまうということ。

それを解決するために導入したのがSococoという仮想オフィスサービス。PCの画面上にオフィスや部屋が設置され、社員はそれぞれアバターのようなもので表示。同じ部屋に入っていれば、その部屋の社員どうしは雑談しながら仕事ができる。

実際に使ってみたところ、いくつかの課題に直面する。まず、Sococoにログインし忘れる社員が続出。システム担当者の仕事が「ログインを毎日呼びかける」となる状態に。さらに、各人が行う「話しかけられるかどうか」の設定が甘く、同じ部屋にいても話しかけられない状態も度々あり、なかなかに雑談がしづらい。

また、同じ部屋にいると無条件で話を聞かれてしまうため、例えば「ちょっと二人で話をしたい」という場合には、仮想オフィス内の別の場所に移動する必要がある。が、その移動も周囲からは見られているため「個別のちょっとした話」もハードルが高い。「個別の話」であれば時間を取ってZoomを使ったほうが良いよね、という認識に。やはりきっちりしてしまい、雑談が生まれづらい。

また、チャット機能はあったが、それは一時的なもので「ログ」として残らない仕様だった。さらには通話機能は容量制限があり、追加課金が必要ということに使っている中で気づいた…。

今後

「自社が求める仕様とはズレていた」「機能をコストに見合う分使いこなせていない」ということから、Sococoは解約。そしてSococoのような、それでいてより自社の使用に耐えるシステムを自社で作ることにした。逆にいえば、Sococoの使用を通じて必要な仕様が見えた。

システム部の社員がオープンソースを使う形でプロトタイプが出来上がっている。まだまだ開発途中だが、自社の使い方に照らした「リモートワークで雑談するための仕組み」の構築を進めている。

オンラインでのストレスチェックを定期的に行うなど、社員のコンディションにはより注視する体制ができてきている。リモートワーク以前から毎週金曜日に実施していた参加自由の「フリーディスカッション」は、リモートにした後、参加者が増えている。オンライン飲み会も、リアルなものより参加者が多い。

全社リモートワークの総括としては『マイナスがなかった』。なので、会社としては今後もリモートワークを含めた柔軟な働き方ができるような仕組みを構築していく。その中で重視するのは「フェアであること」。内勤とリモート、どちらが有利でどちらが便利といったことがないよう、制度やシステムを整備していく。

「基本内勤でリモートOK」か「基本リモートで必要時に内勤」か。今後について意見が割れる

  • 宮城 / デザイン・マーケティング支援 / 経営層
  • 従業員10名以上
  • 導入したツール: kintone / freee

対策

リモートワークを機に「kintone」の活用を模索。「情報と生産性の見える化」を進めたかった。kintoneは5~6年前にも一度触っていたが、活用までは至らなかった。

「情報の見える化」については、お客様や案件の情報が社員個人に紐づいてしまっている、いわゆる「属人化の解消」をめざした。リモートワークになったことでお互いが「ちょっとこれ知ってる?」と声を掛け合うことがやりづらくなるため。

また「生産性の見える化」はオフィスで業務を進める上でも課題だったが、今回のコロナ禍を機に一歩踏み出した。もともと「今、誰がどの案件を、どんな風に進めているか」は、普段の会話やオフィス内の光景でおおよそ把握できていた。都度の報告に加え、普段聞こえてくる何気ない会話から「この案件は手間がかかっていそうだなぁ…」といった具合に。

しかしリモートワークになると、そういった情報が全く入ってこない。社員が作業を進め、案件は進行しているのだろうが、どのくらいの難易度で、またどれくらい手間がかかっているのか?が見えなくなってしまう。

なので、kintoneを用いて仕組みを作り、社員に日々の活動履歴の入力を依頼した。「どの案件の、どの工程に、どのくらいの時間がかかったか」など。これで案件ごとの売上を割れば、生産性の見える化につながると考えた。

社員の反応は二分。比較的若い社員は、特に違和感もなく対応してくれた。しかしベテランの社員は比較的入力を渋っているようだ。今後も継続して依頼して習慣づけて行くしかない。

freeeについては、リモート業務に対応した経理体制の構築の一環。自社のメインバンクの口座をfreeeと紐づけられるということで各種設定を続けてきたが、「紐づけができない」となったままペンディング。freeeの担当者の返事を待っている状態。

デザイン会社ということもあり、経験を積んだ社員はフリーランスとして独立していくケースが多い。コロナ禍での持続化給付金の話が出た際に「社員全員フリーランスに?」という話題もでたが、世の中の状況と社員の意向もあり、そこまでの話には至らなかった。

今後

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