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連載:第28回 プロ・リクルーター、河合聡一郎さんが聞く【事業承継のカギ】

「事業承継のカギ」を振り返る、13社に聞いて見えた事業承継の共通項

BizHint 編集部 2020年6月17日(水)掲載
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プロリクルーター・河合聡一郎さんによる事業承継のヒントを探る連載。これまで約1年半に渡って合計13社に事業承継のエピソードを伺ってきました。今回は河合さんにこれまでのインタビューを通じて見えてきた事業承継を成功させるための共通項について伺いました。河合さんは「後継者の方がそれまでに勤務をしてきた業界や職種」や、「入社のタイミングで現場から入るか、経営陣として入るか」などには相関性は見られなそうだと話します。それでは、どのような要素が実際の事業承継を成功させるポイントになってくるのでしょうか。

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事業承継を成功させた経営者の共通点

――河合さんから見て、事業承継がうまく進むポイントやコツなどは見えてきましたでしょうか?

河合聡一郎さん(以下、河合): さまざまな方にお話を伺って思うのは、「幼い頃から後継者としての教育を受けていたか」や「事業を承継された年齢」「ほかの業界で経験を積んだか」などの要素は事業承継のタイミングでは、あまり大きな関係はなさそうです。

むしろ、「家業に対してどのような想いで戻り、もしくは承継したのか」という部分や「まずは現状をしっかり見極めて、時間をかけて、すべきことから着手する」。その上で、「後継者としての自己変革」が求められていると考えます。

会社が赤字で危機的状況だったときに継ぎ会社を立て直しながら新しく事業を作った方や、事業としては数十年単位で続いてくるなかで社員や取引先から請われて継いだ方などや、幼いころから後継者として生きていくことが当たり前だという認識の方など、承継した際のシチュエーションも本当にさまざまだからです。

もちろん共通項として、どの経営者さまからも事業を継いだことへの「強い覚悟」は伝わってきました。そして、みなさま等しく「負けず嫌いで信念を強く持っていらっしゃる」とも。例えば、獺祭の旭酒造桜井博志会長がその典型例 ですね。先代のお父さまと経営方針の違いで口論が絶えず一度はクビになり……社長になってからは先代への反発心「俺にだって日本酒は作れるんだ!」という想いから商品をしっかり作ることはもちろん、販売するためにあらゆる施策を考え実行し続ける胆力や、諦めない粘り強さもですね。その結果、獺祭というブランドの確立につながったエピソードは印象的でした。

ひとつ事業承継を成功させている方のポイントを挙げるとすれば、事業を継がれてから「周りのあらゆるステイクホルダーとの良質な関係性の構築」だと思います。お客様や社員、お取引先様との関係性ですね。事業や組織において新しいチャレンジをしようとする際に、「社長がそう言うならば……」と一肌脱いでくれる方がどれだけ周りにいるのかはカギだと思います。

『経営戦略原論』(東洋経済新報社刊)などの著作で知られる慶應義塾大の琴坂将広先生はこれからの企業経営に必要な理論として 「エフェクチュエーション」 という概念を指摘しています。エフェクチュエーションとは、優れた起業家が実践している意思決定プロセスや思考を体系化した理論(概念)です。

大枠での説明になりますが、あえて戦略は考えず領域を決めたなかで許容できる範囲で失敗をたくさんすると、何らかの連鎖が起こって成功できるというもの。企業のアドバンテージは持続するものではなく、組織的な能力や強みであるケイパビリティも絶えず変化するので、「そもそも戦略を決めるのは意味がない」という考えから出てきたものです。

この連載でお話を聞いた各社ともに領域を決めて、そのなかでたくさんの試行錯誤を繰り返していくなかで、自社の強みを見つけられてそれを伸ばしていった結果、現在につながっていると感じました。

事業承継の難しさは「視えない資産」をどう捉えるか

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