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連載:第1回 経営・SaaSイベントレポート2020

導入費用ゼロ。お金をかけないシステム改革ほか、クラウド活用10社の最新事例。全国中小企業クラウド実践大賞レポート(後編)

BizHint 編集部 2020年2月24日(月)掲載
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働き方改革の推進や人材不足対策のため、多くの企業がクラウド活用による業務効率化・生産性向上に取り組んでいます。2020年2月12日、クラウドを活用して業務効率化や利益の最大化、新サービスの創造等の実績をあげた中小企業による「全国中小企業クラウド実践大賞」(一般社団法人クラウド活用・地域ICT投資促進協議会運営 クラウド実践大賞実行委員会主催)が開催されました。業種や規模の異なる10社がどのようにしてクラウドを導入し成果を出したのか、後半5社のプレゼンテーションと、表彰結果をレポートします。

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本記事では、後半5社のプレゼンテーションおよび表彰結果をまとめています。 前半5社のプレゼンテーションはこちらをご覧ください。

6.株式会社ジェイ・バン(富山市/研修・コンサルティング)

1人経営を乗り切るため、すべてをクラウド化

株式会社ジェイ・バン 代表取締役 稲場 真由美さん

当社は、2018年3月にコミュニケーション支援アプリ「伝え方ラボ」の完成遅延で倒産危機に陥りました。その際、経営縮小のため会社を1人で経営することになりました。すべてをクラウドで一元管理することでこの危機を乗り越えました。

ジェイ・バンでは以前から様々なクラウドサービスを利用していましたが、個々のクラウドが連携していないため二度手間が生じることもありました。そこで業務フローの一元化と自動化をするべく、セールスフォースを中心にSaaSアプリを組み合わせて利用できれば良いのだと考えました。

それから開発ベンダーとの出会いがあり、「みんなで使えるクラウドシステム」をコンセプトに効率化のための自動化に取り組み始めました。

あらゆる作業を自動化し作業を減らす

ジェイ・バンでは、アプリ体験版アカウントを自動発行し作業時間を30分→3分に短縮し、見積書・契約書を自動発行することで60秒で代理店へ届けられるようになりました。また、契約はクラウドサインを利用し、ペーパーレス化することで作業を効率化しました。

見積書や契約書の数字データを引き継ぐことで、数値の転記ミスもなくなりました。さらに、情報が更新された時には「チャットワーク」を通じてスマートフォンに通知が来るようにし、セールスフォースで確認する手間もなくして効率化しています。

集客においてもWebを活用。まずはWebで集客し、集めたリストに対してメルマガでアプローチ。その後「Zoomオンライン会議システム」で資料を展開し、オンライン説明会を実施します。説明会後にGoogleフォームでアンケートを取り、興味を持ってくれた人とだけ個別のオンライン会議をして成約につなげていきました。

実際に1ヶ月間で、オンライン説明会を12回開催し、368万円の売上となり、体験セミナーには30名が参加し、最終的に6名成約という成果がありました。

7.株式会社マックスヒルズ(大阪市/紹介口コミアプリキャンペーン事業)

念願の自社プロダクト開発、しかし人材不足が課題に


株式会社マックスヒルズ 第一カンパニー長 廣見 剛利さん

マックスヒルズは、大阪府大阪市にあるチラシやWeb広告、紹介キャンペーンを運用する広告代理店です。しかし、チラシについては年々利益率が下がっており、新しい事業を立ち上げて収益構造を改善する必要性があると感じていました。そこで、葉書とカタログギフトを活用した紹介キャンペーンをスマートフォンで行う「クチコプレミアム」を開発します。

念願の自社プロダクト開発。しかしそこにはマーケティング人材不足、営業人員不足、バックオフィス不足、採用の滞りといった課題がありました。これらの課題解決のためには、生産性向上と多様な働き方の実現が必要だと感じ、それぞれの領域でクラウド活用に踏み切りました。

マーケティングオートメーションで業務を効率化しアポ率向上

クチコプレミアムは新規事業のため、認知度ゼロからのスタートです。そこで問合せ増加を狙い、マーケティングオートメーションを導入しました。マーケティングオートメーションはWebの閲覧履歴等を可視化し、スコア化します。そのスコアをもとに、顧客の興味に基づいたコンテンツを、最適なタイミングで届けられるようになりました。これらのコンテンツは既存顧客だけではなく、見込み顧客や過去の商談で失注した顧客などにも届きます。

その結果、顧客ロイヤリティが向上し、時期不一致なども解消され、ほぼ0件だった問い合わせ数は162件まで増加しました。

また、マーケティングオートメーションを導入したことで、顧客ニーズ(Webサイトの訪問履歴)とセールスフォースにあった顧客情報・商談情報をクラウド上で統合できるようになりました。顧客接点から商談設定までのデータがAIにより統合されて学習が始まり、AIによる営業の生産性向上支援が可能になりました。

見込み顧客の中からアポが取れやすそうな顧客を点数化し、このリストに基づいて営業が電話して業務を効率化。さらにクラウドIP電話とセールスフォースを連携し、アポ率の高い営業のトークを録音して共有することで、教育もできるようになりました。その結果、アポ率は0.5%から4%まで向上しています。

その他にも「ベルフェイス」を活用し商談内容・提案数を可視化、暗黙知になっていた営業の経験を形式知へ、解約防止のためにセールスフォースの「商談スコア」を活用、AIによる解約予測、クラウド会計「freee」で経理作業の削減、請求・会計業務は半減、会計費用25%削減などの成果もありました。

これらの生産性向上の結果、クチコプレミアムのサービスも昨年比283%の伸び率で推移しています。

8.株式会社航和(岩手県雫石町/介護施設・介護保険サービス事業所運営)

離職率28%、人が定着しない介護業界


株式会社航和 代表取締役 佐々木 航さん

介護施設・介護保険サービス事業所を運営する当社ですが、継続的な人手不足に悩まされていました。2015年の離職率は28%にものぼり、人が入ってもすぐにやめてしまうような状態。どうにかしなければと介護士にヒアリングをしたところ、「利用者に接することよりも、記録業務の時間が大変だ」と気付きました。

そこで現場の事務作業軽減のため、クラウドを活用した利用者情報の共有を目指しました。

クラウドを用いた情報共有で、事務作業時間を半分に

それまで、現場の伝達事項はすべて口頭か紙ベースでした。まずは自分が使っていた「Evernote Business」を利用し、利用者の情報を介護士で共有するようにしたそうです。「Evernote Business」を利用し始めると、写真とともに利用者情報を介護職員全員で共有できるようになり、情報伝達速度が上がります。しかし、パソコン入力の作業が手間になるというデメリットも発生してしまいました。

そこで2017年に介護ICTソフト「ほのぼのNET」を導入。タブレットで簡単に記録を入力できるようにして、情報共有を簡易化。さらにBluetooth対応のバイタル機器で、測定記録や時間を自動的に記録できるようになりました。これにより、介護職員の事務作業時間を約半分にまで短縮できました。

またバイタルを一元管理する事で、グラフで利用者の体調を可視化できるようになりました。このデータを提携病院と共有し、往診に必要な時間を短縮。トータルで1日40分の労働時間短縮につながりました。

働き方にフォーカスして離職率が改善

介護職員の作業効率を上げて利用者と接する時間を増やすことで、28%だった離職率は10%に改善しました。離職率を下げようと行動するのではなく、介護職員の働き方にフォーカスしたことが良かったと考えています。

今後も、介護の様々な問題をテクノロジーで解決したいと考えています。

9.株式会社コスモテック(名古屋市/プレス機器の保守)

紙と勘ばかりの作業現場

株式会社コスモテック 営業部 部長 木村 友紀さん

プレス機械のメンテナンス事業を行う当社は、すべての作業が紙ベース、勘に頼って仕事を進める現場に問題意識を抱えていました。

また災害支援の経験から、自社と顧客の大切な情報を守るためにBCPの大切さを実感。小規模な会社ではIT-BCP構築は困難であると考え、クラウド化が必要だと考えました。

無意識でもデータを可視化できる環境を整える

現場では、勘に頼って作成した赤字工事の見積書をもとに作業をしている状態です。この状況を打破するべく、運用管理のいらないSaaSを採用、無意識でもデータを共有できて可視化できる環境を整えました。

ITスキルがなくてもExcelのように見積書が作れる「SalesQuoteAssistant」を採用し、不明瞭だった見積書をクラウドで可視化しました。また、「Dropbox」でいつでもどこでも情報共有ができるようにし、壊れた部品情報を可視化し部品の誤発注を防ぎました。手書きだった経理管理もシステム化しました。故障箇所推測の俗人化を防ぐため、自社SaaSを開発し予兆保全も行いました。

またこれらの社内システムを、お金をかけずに導入することにこだわり、導入費用:0円、初期登録費用:5万、年間維持費:18万という低コストでこれらのシステム導入・運用を実現しました。

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