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連載:第5回 よくわかる補助金・助成金 雇用・人材

生産性向上×賃金アップで助成金が!?業務改善助成金をご紹介

BizHint 編集部 2020年1月16日(木)掲載
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「最低賃金について全国平均で時給1000円を目指す」 各メディアで報道されている通り、これが政府目標となっています。このような目標を掲げる背景には、最低賃金を引上げによる人件費の増加により、企業のビジネスモデルを変革し、生産性を高めようという狙いがあると言えるでしょう。 つまり、企業には「賃金引上げ」「生産性向上」が同時に求められており、頭を悩ませている経営者の方も多いのではないでしょうか。 今回は、そのような中小企業・小規模事業者を対象に、賃金引上げの負担軽減を目的とした「業務改善助成金」をご紹介したいと思います。

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1.業務改善助成金について

業務改善助成金とは、「事業場内最低賃金の引上げ」と「生産性向上のための設備投資等」を行う中小企業に対して、その設備費用の一部を助成する制度です。また、厚生労働省の定める生産性要件を満たしていれば助成率もアップします。

管轄省庁は、厚生労働省です。

申請期限は2020年3月31日となっております。

(1)助成金の目的

交付要綱によると、業務改善助成金の目的は「賃金の引上げを行うことを目指し生産性向上、労働能率の増進に資する設備投資等を行う中小企業事業者に対し、その設備投資等に要した費用の一部を助成し、賃金引上げに際しての負担を軽減することにより、最低賃金の引上げに向けた環境整備を図ること」とされています。

なお、当記事の内容は「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)」の交付要綱(令和2年1月6日改正)・交付要領(令和2年2月1日改正)を基にしています。年度により補助金内容が変更になる可能性がありますので、申請時には該当年度の公募要領をご確認ください。

業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援/厚生労働省

(2)概要

厚生労働省のホームページによると、業務改善助成金の概要は次の通りです。

業務改善助成金は、 中小企業・小規模事業者 の生産性向上を支援し、 事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金) の引上げを図るための制度です。 生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)など を行い、事業場内最低賃金を 一定額以上 引き上げた場合、その設備投資などにかかった 費用の一部を助成 します。
【引用】業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援/厚生労働省

太字部分 がポイントになりますので、詳しく見ていきましょう。

(3)中小企業・小規模事業者とは?

中小企業・小規模事業者とは、業種ごとに「資本金の額又は出資の総額」「常時使用する労働者の数」いずれかの要件に該当する企業・事業者のことを指します。

なお、いわゆる「みなし大企業」(大企業が資本金の2分の1以上を所有、役員の2分の1以上を大企業の役員が兼務など)についても、上記要件に該当すれば対象企業となります 。

(4)事業場内最低賃金とは?

まず、事業場の定義から確認しましょう。

原則、事業場とは「同一の場所にあるならば1つの事業場であり、場所が離れていれば別の事業場」といえます。

ただし例外として、「同一の場所でも、労働形態の異なる場合(工場の診療所など)には別の事業場」「場所が離れていても、規模が著しく小さく1つの事業場という程度の独立性のない場合は、同一の事業場」と考えられています。

その事業場単位での最も低い賃金が「事業場内最低賃金」です。

(5)生産性向上のための設備投資とは?

業務改善助成金は、以下の設備投資が対象になります。

【出典】中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)交付要領

設備投資という名前であるため「機械装置等」だけかと勘違いしやすいのですが、実際は「研修等の人材育成費」や「コンサルティング経費」等も対象となります。

ただし、謝金は1回3時間までなどの細かい条件があります。助成を検討する際には交付要領を確認しましょう。

中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)交付要領

(6)最低賃金の引上げ額は?助成金額は?

以下の通り、事業内最低賃金の引き上げ額によりコースが分けられています。

【出典】業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援/厚生労働省

事業場規模が100人を超える場合や、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円を超える場合には助成対象になりません。

(7)手続きは?

申請から支払いまでのフローは以下の通りです。

【出典】業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援/厚生労働省

主な注意点をまとめました。

  • 交付申請書の提出後から事業完了期日までの間に事業場内最低賃金の引上げを実施する
  • 設備投資等は交付決定通知後に行う
  • 申請期限は2020年3月31日まで
  • 過年度に業務改善助成金を受給したことのある事業場でも、助成対象となる

(8)活用事例

厚生労働省の案内文書によると、以下のようなケースで活用がされています。

  • ベルトコンベアの導入による弁当の盛り付け作業の効率化
  • セミセルフPOSレジの導入によるレジ業務の効率化 など

生産性の向上に寄与する設備投資等であれば対象になるケースが多いため、幅広い設備投資で活用出来そうですね。

(9)詳細の確認方法

厚生労働省のホームページに詳細が載っていますので、より深く知りたい方はこちらを確認しましょう。

業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援/厚生労働省

問合せ先は各都道府県労働局雇用環境・均等部室となります。

2.まとめ

業務改善助成金は「事業場内最低賃金の引上げ」と「生産性向上のための設備投資等」を行う企業に対して、上限450万円を助成する制度です。また、厚生労働省の定める生産性要件を満たしていれば助成率もアップします。

細かい条件はありますが、活用出来れば事業主にとっては生産性の向上、労働者にとっては賃金アップとなり、双方Win-Winの関係が築けるのではないでしょうか。 申請書類はそこまで複雑ではありませんが、書類を作成する手間がないという方は中小企業診断士や社会保険労務士などの外部の専門家に依頼することも可能です。

2020年3月31日が交付申請期限となりますので、検討はお早めに!

(執筆)
株式会社プロデューサー・ハウス 鎌市 航太郎

中小企業診断士

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