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そもそも、なぜダイバーシティが組織にとって重要なのか? - Google、ユニリーバに学ぶ。組織を強くし、ビジネスを成長させる、真のダイバーシティとは?(3)

BizHint 編集部 2016年11月13日(日)掲載
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今回のイベントでは、グローバル企業でダイバーシティを推進する人事のプロフェッショナルに、その背景にあるフィロソフィやチャレンジ、取り組みについて伺います。


登壇者

モデレーター

入山章栄 氏 早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール准教授

パネリスト

島田 由香氏 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長

山地 由里氏 グーグル株式会社 ダイバーシティ日本・中国・韓国・台湾 統括責任者

そもそも、なぜダイバーシティが組織にとって重要なのか?

入山: ここからは、パネルディスカッションに移ります。まずは、ユニリーバさんやグーグルさんでは、なぜダイバーシティを重要としているかという点から、お聞かせいただけますか。

山地: ダイバーシティの重要性について問われたとき、重要なのは、そもそも何をめざして「ダイバーシティ」という言葉を使っているのかを明らかにしているかどうか、という点だと考えています。

CSR(企業の社会的責任)のためにダイバーシティに取り組んでいる企業も多いのですが、両者は根本的に違う概念です。CSRは社会への貢献といった、ピュアな概念であるのに対し、ダイバーシティはもっと腹黒くて、したたかな概念(笑)

ダイバーシティ自体は、イノベーションを起こし、経営を強くするために、いかに仕掛けていくかという、攻めの戦略なのです。

島田: 強い会社になり、市場で勝つために、ダイバーシティは不可欠なものととらえています。

ユニリーバは、190カ国でビジネスをしているので、あらゆる国籍や文化背景を持った社員が一丸となり各国の消費者を理解し、支持されるプロダクトをつくり続けるうえで、自社の多様性を最大化することが必須なのです。

この一年で、ダイバーシティ推進室を設置する会社が急速に増えていますし、推進室を機能させるにはどうしたらいいか、といったご相談を数多くいただきます。

ところが、企業のトップが議論を重ねてダイバーシティが必須の経営戦略であると腹落ちしていなければ、いくらダイバーシティの施策を実行しても上滑りに終わってしまいます。

何より、危惧しているのは、「ダイバーシティを推進せよと上から言われたので……」と、やらされ感を持っている担当者が多いこと。

トップダウンで新たな目標が課されたときに、「なぜやるのか?」と、目的や意味を聞かない人が多いなという印象です。

入山: 目的を明らかにして、トップとすり合わせることが大事なのですね。

山地: 入山先生は先ほどの講演で、「タスク型」のダイバーシティが重要であり、「デモグラフィー型」はマイナスに働く恐れもあるとおっしゃっていました。

ただ、デモグラフィー型のダイバーシティがマイナスに働くのは、あくまで一時的な状況にすぎないというのが私の見方です。違う属性の人がいることで、考え方の多様性も触発されていきますし、中長期的に見れば、属性の多様性が組織にプラスをもたらすのではないか、と思います。

島田: 私も山地さんと同じ意見ですね。デモグラフィー型とタスク型の2種類に分けて考えること自体は、非常にわかりやすくてよいと思います。

ただ、ユニリーバは典型的なデモグラフィー型の会社ですが、それでも成長を続けてこれている。これは、「タスク型でなければ組織のパフォーマンスが上がらない」というわけではないことの、ある種の証明になっているのではないかと思います。

入山: そうですね、デモグラフィー型がすべて悪いというのではなく、大事なのは、デモグラフィーの多様性だけを追求せず、タスク型の考え方を取り入れて、知の探索の機会を増やすという観点が含まれていればいいのだと思います。

島田: もちろん、多様な属性の社員がやりとりする中で、瞬間的にネガティブな感情が起こる可能性は大いにあります。

特に190カ国でビジネスを展開しているユニリーバでは、これまで会ったことのない人種や文化背景を持った人と接する機会が多いので、自分の経験としても具体的に思いだせるケースがたくさんありますます。

私が良いと思っていた考えや習慣、やり方が実は相手にはネガティブに映っていることもあれば、その逆も然り。悪気がなくてもコンフリクト(対立)が起きることはしょっちゅうです。

ただ、そんなときこそ、「インクルージョン」の概念の出番です。 とはいえ、日常の会話や会議などでイラッとしたときに、そこまで落ち着いて対応するのはなかなか難しい。

だからこそ、グーグルさんのアンコンシャス・バイアスに対処するトレーニングのように、「こういう見方もできるんじゃないか?」と、自分にない新たな視点を取り入れていくことが大事だと考えています。

山地: 色々な国の人にグーグルのプロダクトを使っていただくには、エンドユーザーの縮図が、組織内部にもできているべきだと考えています。

例えば、ユーザーの男女比率が1:1なら、それを社内で体感する機会がなければ、ユーザーを心底理解したプロダクトはつくれないはずです。

島田: まったく同感ですね。同質の属性の人だけが集まっていても、イノベーションはなかなか起こせないでしょう。

アインシュタインが、「今までと同じことをしていては、今までと同じ結果しか得られない」と言っており、まさにその通りだなと。

現状を打破して、新しい挑戦をするときに、「自分が意識を向けるべき方向を教えてもらう」という点で、社内に多様な人材がいることは非常に貴重です。

自分の価値観では当然だと思っていても、他の立場の人から「どうしてそうなの?」と問いをもらったり、意見をもらったりすることで、新しいアイデアが触発されますから。

イノベーションを起こしやすくするための「仕組み」とは?

入山: 両社では、ダイバーシティを促し、イノベーションを起こしやすくするために、さまざまな工夫を凝らされています。具体的な取り組みや仕組みについて教えていただけますか。

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