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連載:第14回 プロ・リクルーター、河合聡一郎さんが聞く【事業承継のカギ】

2億円の債務超過の状態から「世界最高の鍋・バーミキュラ」で会社を立て直した兄弟

BizHint 編集部 2019年6月14日(金)掲載
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プロ・リクルーター、河合聡一郎さんによる事業承継のヒントを探る連載。今回は名古屋市を拠点に鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」を展開する愛知ドビー株式会社に伺いました。もともとは繊維機械の「ドビー機」の製造メーカーとして発展したものの、時代の変化とともに業績は下降の一途をたどります。そんな中、家業を継いだ土方邦裕さん・智晴さん兄弟は、自社の強みである鋳造技術と精密加工技術を最大限活かした新規事業に着手。3年の歳月を経て完成した「バーミキュラ」は国内外から注文が殺到するほどの大ヒット商品となりました。倒産寸前の町工場を復活させ、V字回復を果たした兄弟の手腕に迫ります。

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土方邦裕さん(写真右)

愛知ドビー株式会社 代表取締役社長/鋳造技師

1974年、名古屋市生まれ。東京理科大学を卒業後、トヨタ系の商社・豊田通商で為替ディーラーとして活躍。2001年、祖父の創業した愛知ドビーに入社。2008年社長就任。

土方智晴さん(写真左)

愛知ドビー株式会社 代表取締役副社長

1977年愛知県生まれ。神戸大学を卒業後、トヨタ自動車で原価企画などに携わる。2006年愛知ドビー入社。精密加工技術を習得し、バーミキュラ全製品のコンセプト策定から製品開発までを主導。


「債務超過2億円の会社」を立て直した兄弟

河合聡一郎さん(以下、河合): これまでのキャリアを拝見すると、社長の邦裕さんは大学卒業後、豊田通商へ、副社長の智晴さんはトヨタ自動車へと、それぞれ外部の企業に就職されています。もともと、外部企業を経験してから家業を継ごうという思いがあったからなのでしょうか。

土方邦裕さん(以下、邦裕社長): 私は長男なので、子供の頃から「いつかは継ぐぞ」と意識はしていました。けれど、就職活動していた当時は会社が倒産寸前。とても戻れない状況でした。先代である父からも「うちはいずれ潰れる会社だから戻らなくていいぞ」と厳しく告げられて。ですから、やむを得ず他社でキャリアを積みながらものづくりの勉強をして、将来チャンスが巡ってきたら、「自分の力を会社のために発揮したい」という思いはありました。

土方智晴さん(以下、智晴副社長): 実家も会社の敷地内にあったので、小さい頃からしょっちゅう工場で遊びまわっていました。けれど、業績が悪化するにつれ、職人さんたちの活気がどんどんなくなっていくんですよね。あれだけ仕事に誇りを持って働いていたのに、元気がない。そんな現実を目の当たりにして、将来経営コンサルタントになって会社を外から助けたいと思うようになりました。

河合: 就職をされて、外部での経験が活きているなと思われることは、具体的にはありますか?

邦裕社長: 私の場合は為替が専門でしたから、リスクヘッジの意味合いでは今の仕事には大いに役立ってると思います。

河合: なるほど。まさに企業経営に必要な視点ですよね。そして、2001年に邦裕さんが愛知ドビーに入社されます。智晴さんは、当時、お兄さんが家業に戻られた時の心境はいかがでしたか。

智晴副社長: やはり家業ですから。正直うれしかったですね。兄が入社してから、会社の決算書を見せてもらったことがありました。すると 会社の資産は2億円の債務超過。蓋を開けてみたら、予想以上に深刻でした。 兄には「月2000万円以上売り上げがないと会社は潰れるだろう」と伝えました。

河合: 智晴さんとしては、例えば、コンサルタント的な関わり方として会社を外部から支える選択肢もあったと思います。なぜお兄さん同様、家業に戻ろうと決心したのですか。

智晴副社長: 確かに、コンサルの立ち位置からアドバイスすることもできたと思います。実際、兄弟で経営するのは難しい面もありますしね。けれど私の場合、トヨタ自動車に入って、コンサルの立場で会社を変えるには限界があると感じたんです。 実際に会社の中に入らないと、本気で今の経営状況を変えることはできない。それに、兄と一緒に仕事することへの期待感もありました。

「世界最高の鍋・バーミキュラ」ができるまで

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