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連載:第5回 慣習に囚われない 改革の舞台裏

「この塾、売ります」偶然目にした従業員がオーナーに。フランチャイズ塾の慣例に囚われない超合理的・事業譲渡

BizHint 編集部 2019年6月28日(金)掲載
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まったなしの事業承継問題。フランチャイズの加盟店でも、オーナーの高齢化やキャリア観の変化から事業存続が課題になっています。東京都江戸川区のフランチャイズ学習塾、スクールIE篠崎校もまたその一つ。開校から17年、アットホームな運営で地域にしっかりと根付いていた同校ですが、社長が自己研鑽から中小企業診断士の資格を取得するとコンサルタントとしての仕事が多忙に。学習塾経営との両立は難しくなり、塾を譲渡する道を探ります。通常、フランチャイズ学習塾では加盟校間の譲渡が慣例。しかしある日、従業員が偶然この動きを知ることとなり……。結果的に「合理的な選択だった」と語る元オーナー・株式会社チャイルドピース代表取締役社長の筑間 彰氏、そして同校の元従業員で現オーナーの平井 秀明氏に「従業員への事業譲渡」の実態を伺いました。

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株式会社チャイルドピース

代表取締役社長 筑間彰さん(写真左)

2002年個別指導学習塾(スクールIE篠崎校)を創業(フランチャイズ契約)。オーナー兼室長に。2008年株式会社チャイルドピースとして組織変更。2011年平井室長を雇用し、経営に専念。2015年中小企業診断士資格取得および登録を機にICPコンサルティングを設立、補助金の申請支援、経営指導、執筆活動を行う。営業戦略の策定や、販売促進を得意とし、販売士、マーケティング関連の著書多数。

スクールIE篠崎校

オーナー 平井秀明さん(写真右)

2006年1月、大学生時にスクールIE篠崎校に講師として入社。その後、主任講師を経て2011年4月同校室長。2019年3月、筑間氏から事業譲渡を受けオーナーに。


順調だった学習塾の経営。しかし、コンサルタント業との両立が困難に

― なぜ、学習塾フランチャイズのオーナーになろうと思ったのですか?

筑間彰さん(以下、筑間): 大学卒業がちょうど就職氷河期だったのですが、就職に苦労するなら起業しようと。起業にあたっては集客が一番の課題と考え、知名度があるフランチャイズを活用したのです。蓋を開けてみると、3ヶ月で集まった生徒さんはようやく4人。しかし、その子たちが教室に通いはじめると、別の生徒さんを紹介してくれるようになり、日に日に教室は賑やかになっていきました。最初の一年は幸い退塾者もなく、一年後には30人くらいになっていました。講師も生徒さんの数に合わせ、アルバイトで採用を進めました。

― 講師の採用で大切にしていたことは?

筑間: 勉強を教える仕事ではありますが、 学力より重要なのは「人当たりの良さ」 です。学習塾は接客業で、しかも相手はお子さんです。大人よりはっきりモノをいいます。これは面接をしなくても、はじめの電話の受け答えでおおよそわかります。相手のことを考えて対応できるか否か。講師が足りなくて妥協して採用すると、トラブルにつながることもありました。ここは重要なポイントですね。

― そこから少しずつ、仕事を任せていくわけですね。

筑間: 講師には電話対応や、保護者の方へのちょっとした挨拶など、授業以外のことも少しずつお願いしていきました。すると、講師ごとにスキルの差がでてきます。ここでしっかり仕事を全うできる方には、科目ごとに主任講師という肩書きをつけて給与を上げ、同時に責任を与えていきました。

― スキルの差とは具体的にどういうことでしょうか?

筑間: 塾の仕事では、成績アップや志望校合格が目標になりますが、そのために「何をすべきかを考えるスキル」です。 上手に教えるスキルより、モチベーションをあげることや生徒さんをやる気にさせることのほうが目標達成に直結します。このスキルは、授業以外の事務的な仕事の達成とも関連がありました。

個別指導塾のフランチャイズで起業した筑間彰さん。現在は中小企業診断士として他社の支援に奔走する

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