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連載:第16回 経営危機からの復活

稲盛式アメーバ経営の浸透を社員に徹底し 「データ改ざんでの行政処分」からV字回復

BizHint 編集部 2021年7月15日(木)掲載
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製品のデータ改ざんが発覚し、前社長の引責辞任、役員刷新という事態を受け突如代表に就任することになった前田薬品工業株式会社 代表取締役 前田大介さん。 賠償金10億円、大規模なリコール、立ち入り検査…。危機的な状況にあった会社をどう立ち直らせたのでしょうか。

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前田薬品工業株式会社
代表取締役 前田 大介さん

同志社大学商学部卒業後、会計事務所を経て2009年に入社。2014年に三代目社長に就任。経営手腕を発揮し、瀕死の危機にあった同社を急成長させる。2018年には、アロマ工房やレストランを融合した施設「ヘルジアン・ウッド」をオープン。


調印式前夜に「改ざん」発覚。焼け野原からの社長就任

両親ともに塾の講師という家庭で、 くすりとは無縁の環境で育った んですが、前田薬品工業の創業者が私の母の叔父にあたる方で、「後継者をどうするか」という話になった時に、姪っ子である私の母に白羽の矢が立ったんです。そして私が高校3年生の時に、父が社長を引き継ぐことが決まり、家族揃って「鈴木」から「前田」に姓を変えることになったんです。

私は京都の大学を卒業後に富山に戻り、会計事務所に就職しました。そこで7年ほど鍛えられて29歳で前田薬品工業に入社したわけですが、最初は工場で40㎏の軟膏をひたすら運んだり、90度のお湯で釜を洗ったり……。

それまでは、「M&A」やら「DD」やら言っていた人間が、肉体労働の単純作業をひたすらこなして、週末は現場の仲間と飲みに行くという日々を送っていました。

4年目で執行役員となり、新工場の立ち上げや、日本で一番大きい外用薬のメーカーと100%連結子会社化の話を進め、先方のM&Aのプロとガチンコで交渉を執り行いました。

それまで当社は売上が20億円ほどで、利益は1000万~2000万円程度。日本でトップクラスの会社と大きな工場を建てて、「5年で売上を3倍にするぞ!」と意気揚々と鼻息も荒かったわけです。そしていよいよ明日調印式という前夜に、大手メーカーから受託製造していた薬の安定性試験データの「改ざん」が発覚したのです。

ざっと見積もっても、 賠償額は10億円。一瞬で会社が潰れる数字 でした。正直、幹部全員の前で「このまま隠し通そうか?」という話をしたことも事実です。ただ、違うよなと。これで会社が潰れたとしても明日のM&Aの調印式ですべて伝えることを決めました。県からは当然過去5年分すべての製品の調査が入り、そこから9カ月はまさに地獄の日々でした。

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