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連載:第1回 老舗を 継ぐということ

家余りの時代に、老舗ふすまメーカーが売上を伸ばしていける理由

BizHint 編集部 2019年5月17日(金)掲載
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ものづくりの街・大阪府八尾市に本社を構える、谷元フスマ工飾株式会社。創業73年を数える同社は、「間仕切(まじきり)による空間価値向上」を掲げ、和室にかかわる建具の製造・施工、販売を手掛ける老舗企業です。取り揃える商品ラインナップは多岐に渡り、年間納入実績は1万2000戸を誇ります。 近年の和室需要の衰えにも負けず、同社は着実に顧客数と売上高を伸ばしています。その成長の一助となったのは、B to Cビジネスへの進出でした。2008年にオンライン販売店舗「和室リフォーム本舗」をオープンし、2017年からはホームセンターへも販路を拡大。現在では売上高8000万円を達成。5名の専任スタッフを擁する事業に成長しています。 また近年、同社はワークショップを多数開催し、オフラインの場で「ふすま」に親しむ方を増やす活動にも注力しています。 そんな谷元フスマ工飾株式会社の三代目後継者として、代表取締役を務める谷元亨(あきら)さんに、老舗のB to Cビジネス進出成功の秘訣をお伺いしました。

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住宅着工件数が減るなか、ふすまメーカーが迎えたピンチ

――これまでB to Bビジネスを主軸としていた谷元フスマ工飾が、B to Cビジネスであるオンライン販売店舗「和室リフォーム本舗」をオープンするに至った、そのきっかけをお伺いできますでしょうか?

谷元亨さん(以下、谷元):谷元フスマ工飾は、新築の大型住宅物件向けに襖(ふすま)や建具を製造し、それらの施工工事までを行う企業として、73年間商売を行ってきました。これまで、大手ゼネコンと共に新築住宅の仕事を手掛けています。

弊社の創業は昭和21年です。高度経済成長期を迎え、右肩上がりで住宅が増え、順調に売上も伸びていった時代でした。しかし、近年は日本の人口が減少しており、かつてほど新築住宅の数は必要とされなくなっています。「新しく住宅を建てなくても、世帯数分の住宅はすでに足りている」という状態です。現に、 ピーク時には年に180万戸あった新築住宅の着工件数は、現在は100万戸を下回るまで減少しており、2030年には55万戸になる、と予測 されています。

私は三代目ですが、「次世代にこの会社のバトンを渡す時まで、このまま商売を続けるだけでは、まずいのではないだろうか」という危機感を感じていました。そこで改めて、「これまで私たちがお客様に提供してきた価値」を考え直したのです。

※出典:国土交通省「住宅着工統計」 予測値:NRI

よくよく考えると、単に「襖や建具を作って売る」だけではなく、「空間の価値を上げる」ことが私たちの提供価値だと思い至りました。例えば、部屋という空間に「間仕切」を作ることで、区切って便利に使えるようにしたり、デザイン性を持たせて、より気持ちよく過ごせるようにしたりすることで、空間の価値を高める。これが私たちの仕事です。

そこで「空間の価値を高めるために、お客様に提供できることは何か」という観点で新規事業のアイデアを検討し、「リフォームの仕事をやってみよう」と考えました。これが、「和室リフォーム本舗」をオープンしたきっかけです。

――既存事業と同じB to Bビジネスにせず、工場直販でのオンライン販売(EC)という業態を選んだのには理由があったのでしょうか?

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