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連載:第6回 成長企業 社長が考えていること

「PL脳」から脱却。中小企業経営者ほどファイナンスのセンスがあるはず【『ファイナンス思考』著者・朝倉祐介さん】

BizHint 編集部 2019年5月10日(金)掲載
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日本の経営者は、短期的な指標に縛られる「PL脳」になっているのでは……。そんな警鐘を鳴らす『ファイナンス思考』著者の朝倉祐介さん。「自身は決してファイナンスの専門家ではない」と言いますが、経営者としての経験を通じ「ファイナンスは、他のビジネススキルと比較しても圧倒的に大事なもの」と考えているとか。ファイナンスとは、会社経営のルールそのもの。つまり、戦略や施策を考える前に、ルールを知らなくてはいけないのです。『ファイナンス思考』を上梓したきっかけと共に、大事なポイントを教えていただきました。

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朝倉祐介さん

シニフィアン株式会社共同代表。兵庫県西宮市出身。競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。ミクシィへの売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、政策研究大学院大学客員研究員。ラクスル株式会社社外取締役。株式会社セプテーニ・ホールディングス社外取締役。Tokyo Founders Fundパートナー。2017年、シニフィアン株式会社を設立、現任。


ルールを知らずに勝ち上がることはできない

――まず、ご著書「ファイナンス思考」を執筆されたきっかけから教えてください。

朝倉祐介さん(以下、朝倉) :ファイナンスというテーマにピンときたというのが正直なところです。ビジネススクールで勉強する分野には、マーケティングや経営戦略などいろいろありますが、中でも「ファイナンス」は圧倒的に大事なものだと感じています。

――ほかの分野との違いはどんなところですか?

朝倉: 他のものは、主にどうやったらより会社をよりうまく経営できるか、収益性を挙げられるか、といったスキルセットの話。サッカーに例えれば、パス回しやドリブルといった個別のテクニックに当たるでしょう。それに対してファイナンスは、会社の経済活動のルールそのもの。サッカーで「優勝したい」と思ったら、自分たちが参加しているゲームがそもそもトーナメント戦なのかリーグ戦なのか、リーグなら一部リーグなのか二部リーグなのか、何勝すれば優勝できるのか……。そういったことがわからないと気持ち悪いですよね。いくらパスやドリブルがうまくても、それだけでは不十分。 ファイナンスの概念を知らないということは、自分たちのチームが参加しているゲームのルールを知らずに試合に出ている状態 です。

――「ファイナンス」といったとき、もっとも基本となるルールはどのようなことですか?

朝倉: まず会社の仕組みを説明すると、「投資家」がお金を出し、そのお金を使って、会社を作り「事業」をします。それを売って「債権」になり、債権を回収したら「お金」ができ、投資家に還元する。基本的にはこれだけのこと。そうしたサイクルの中に、マーケティングやセールスといった機能も必要になってくるわけです。

この中であてにならないのが「債権」で、安心できるものは「お金」と考えられます。 ファイナンスでは、この「お金」を軸に考えます。債権は「売掛金」と考えてもいいですが、これは回収できるとは限らない。会社は赤字でも倒産しませんが、お金がなければ倒産します。 売上や営業利益だけでなく、キャッシュベースで見て会社の価値を高めていく必要があるのです。

売上や営業利益などを表すのはPL(損益計算書)です。PLを指標として、最大化させようとする考え方やふるまいを、書籍の中では「PL脳」と呼んでいます。とにかく目先でとらえてしまうのが問題。売上や利益が増えることは確かに大切ですが、あくまで指標の途中段階であり、目的にはなり得ないはずなのです。

企業価値を高めることが会社の目的

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