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連載:第3回 会える人事【戦略人事による人事のためのセミナー 取材レポート】

全社員参加経営のもとに、全社員でアイディアを出し合えばヒット商品は生み出せる【小林製薬のイノベーターを阻害しない人事施策】

BizHint 編集部 2019年4月5日(金)掲載
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「熱さまシート」「のどぬ~るスプレー」「ナイシトールZ」「液体ブルーレットおくだけ」など、キャッチーかつオリジナリティに富んだ製品で有名な小林製薬。しかし、小林製薬はもともと上意下達の軍隊型の組織で、今とはかなり企業風土が異なりました。そんななか、小林製薬では社内の風通しをよくして人事施策など、数々の仕組みを作ることでイノベーティブな商品を産み出しています。小林製薬のイノベーションを阻害しない人事施策について、グループ統括本社 業務改革センター センター長 藤城克也さんに聞きました。本記事は、2019年2月5日に行われた戦略人事による人事のためのセミナー「会える人事Premium」の藤城克也さんの登壇講演をベースに構成しています。

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小林製薬株式会社

グループ統括本社 業務改革センター センター長 藤城 克也さん

1985年4月 小林製薬株式会社入社 、1985年4月 全国製品営業事業部 広島営業所 、1986年4月 管理室 総務人事部 大阪人事課 人事係 、2001年4月 グループ統括本社 人材開発グループ 課長 、2004年4月 グループ統括本社 人材開発グループ 部長 、2006年8月 グループ統括本社 人事部 部長 、2008年4月 グループ統括本社 コーポレートブランド推進室 室長 、2009年4月 グループ統括本社 ビジネスシステムセンター業務改革部 部長(シェアードサービスセンター担当)、2011年4月 グループ統括本社 ビジネスシステムセンター 業務改革部 部長(IT担当) 、2014年4月 グループ統括本社 経営企画部 部長 、2016年7月より現職


上意下達の軍隊型組織で自由闊達さに欠けていた小林製薬

──小林製薬といえば、オリジナリティに富んだ製品群で有名ですが、それを産み出すために何を意識しているのでしょうか?

藤城克也さん(以下、藤城): 弊社のビジネスモデルの基本は「世の中にない新しい製品をスピード開発する」というもの。そのうえで、製品を「お客様にわかりやすい」形で提供することを常に意識しています。ネーミングも然りで、まずわかりやすくて、耳に残るような言葉を用いるケースが大半です。

小林製薬が目指しているのは、小さな市場でも良いから、そこで大きなシェアを獲得すること。 大きな市場で数%のシェアを獲っても、競合が多いのでどうしても競争が激しくなる。その点、小さな市場は競合が相対的に少ないので、高いシェアを獲ることができ、高い利益率も確保できるわけです。同じ規模の売上を得るにしても、大きな市場ではなく小さな市場で勝負していく。我々はこうした戦略について「小さな池の大きな魚を釣る」と表現しています。

──小林製薬の製品はニッチを攻めたものが非常に多い、という印象を持っていたのですが、それは戦略的に強く企図されていたことだったのですね。

藤城: そのとおりです。要は「競争のない市場を独占する」というコンセプトなのですが、別の言い方をするなら「これまで世の中に存在しない製品を生み出し、新たな市場を創造する」と表現してもいいでしょう。

弊社は「新製品寄与率」という指標を重視しています。これは「1年間の総売上高に占める、その年に発売された新製品売上高の割合」を指しているのですが、目標値として「初年度新製品寄与率10%」を掲げています。

──なかなか高いハードルではないですか?

藤城: もちろん、楽な目標値ではありません。そのため、全社員が一丸となってコンスタントにアイディアを出し合い、スピード感を持って具体的な製品に落とし込み、発売し続けていく……という「全社員参加経営」の企業風土が確立しています。

──それは、御社が創業当時から持っていた社風なのですか?

藤城: 決してそんなことはありません。「全社員参加型経営」は、現会長が30数年前の社長時代に打ち出した方針になります。

弊社は1919年(大正8年)の設立以来、オーナー経営を続けています。 オーナー企業の良さは、経営者の理念や強い求心力に基づいたトップダウン型の組織運営だと思うのですが、反面、社員は経営者頼みの意識が強くなり、どうしてもボトムアップの力が弱くなってしまう。 そこで現会長は「全社員参加型経営」の方針のもと、さまざまな仕組みを導入していきました。

といっても、そんなに特別なことを実行してきたわけではありません。組織の階層を半減する「フラット組織」を導入したり、立場や職位に関係なく、すべての役員、社員をさん付けで呼ぶ「さん付け呼称」を採り入れたり、といったことです。そうした取り組みは「社内の風通しを良くし、末端社員のアイディアをできるだけ早く経営に採り入れる」「トップの思いを正しい形で現場に伝えていく」というトップダウンとボトムアップの好循環を生み出すことを意図していました。

実際、そうしたマネジメントサイクルが回り出したことで、組織の雰囲気は変わっていったのですが、まだ現会長……当時の社長のカリスマ性やアイディアに依存していた面がありました。しかし、それも30年以上続いている「全社員提案制度」によって、全社員のチカラでヒット商品を生み出す会社に変わっていきました。

「全社員提案制度」で再びヒット商品が

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