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連載:第7回 自社だけで悩まない!専門家に相談してみよう

倒産目前の掘っ立て小屋から安定成長への軌跡。恩人との出会いは、幾多のピンチを乗り越えて

BizHint 編集部 2021年6月9日(水)掲載
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技術はあるのに経営がうまくいかない。そんな中小企業は少なくありません。エコデザイン株式会社もまさにそんな会社でした。売っても売っても赤字、資本金は底をつき、経理はボロボロ、人間関係の軋轢で組織は崩壊…。創業から手探りで事業を続けるものの「安定成長」は難しいまま…。そんな同社に訪れた大きな転機は、商工会の経営指導員、笠原亮彦さんとの出会い。今回は代表取締役・長倉広弥さんと、専務・長倉正弥さんに、笠原さんとの取り組みや、それによって得た変化・気付きについて伺いました。

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エコデザイン株式会社
代表取締役社長 長倉広弥 さん (写真中央)

1982年生まれ。大学卒業後、真空装置メーカーに就職するも、4か月で倒産したため父が経営するエコデザイン株式会社に入社。経理を経て営業担当。2013年より社長就任。社内のゴタゴタを経験したことで「人を生かす」経営を指向する。専務の正弥さんは兄にあたる。

エコデザイン株式会社
取締役専務 開発営業部部長 長倉正弥 さん(写真右)

1977年生まれ。2000年エコデザイン株式会社の創業期に入社。創業者である父と黎明期の会社を盛り立てる。2013年に専務就任。2018年から開発営業部部長を兼任。

笠原 亮彦 さん(写真左)

寄居町商工会 経営支援グループ リーダー(経営指導員)。2007年に寄居町商工会に入所。中小企業支援機関として地域内企業の経営革新、海外展開、事業承継、創業、地域資源活用等の経営支援に携わる。


この会社のIT活用をさらに掘り下げました:ITツール増えすぎ問題:従業員が使いやすいものでなければ浸透しない


売れているのに、資本金はほぼゼロに

――創業からの経緯を教えてください。

専務・長倉正弥さん(以下、専務): 当社は原子力関係の技術者だった父が環境問題を解決したいという思いから2000年に創業しました。現在は産業用オゾン発生器やオゾン水生成装置の製造、販売が主力事業となっています。父は2013年に弟に社長職を引き継ぎ、現在は会長となっています。

私が入社したのは創業時です。私は大学で物理学を専攻していたのですが、神経症を患って大学生活がうまくいかなくなりました。そして、父に拾ってもらう形で、当社に入社しました。それからしばらくは、父との二人三脚の日々が続きました。

創業当初は父のコネクションで、原子力研究所などで使用する試験装置の開発を手がけたりしていました。会社として実績はないので、技術力が問われる仕事をまずは受けて、がむしゃらに形にするような状況でした。

しかし 経営としては全然ダメ。値付けがわからず、どんなに仕事をしてもまったく利益が出ませんでした。 しかも案件は高難度のものばかり。日々の仕事は基本的にうまくいかず、父とは喧嘩・口論の毎日。ただ納期ギリギリになると、不思議と力を合わせて難局を乗り切ることができていましたね。

――印象的な出来事はありますか?

専務: 初年度のことですが、当時の社屋は「雨は凌げるけど風は無理」というレベルの掘っ立て小屋。原子力研究所向けの試験装置ができ上がった際に「原子力研究所の方が直接視察に来る!」という話になりました。その時、私たちの頭にまず浮かんだのは、 『この小屋見られたら、絶対アウト…!』。

ガレージベンチャーならぬ「掘っ立て小屋ベンチャー」。創業当時2000年ごろ

普通の感性であれば、こんな掘っ立て小屋で最先端の精密機器が作られているなんて信じられるわけがありません。今振り返っても(よくあんなところでやってたな…)と我ながら感心できます。一応…時代は平成なんですけどね(笑)

この視察を乗り切るために、会場を変更しました。ただ、変更先はどこかの研究施設などではなく、知り合いのペンション。視察する側も意味が分かりませんよね。でも当時は必死だったんです。ただ、装置は本当に繊細で、ペンションに移設したら環境が変わって正確に動作しない…。必死でギリギリの調整をして、視察をクリアできました。

――ただ、利益はなかなか出ないわけですよね?

専務: はい。1200万円ほどあった資本金は創業後2年ほどでほとんどなくなってしまいました。大ピンチです。

――どうやって乗り切ったのでしょうか?

専務: お恥ずかしい話なのですが、父と2人で祖母にお金を借りに行きました。手ぶらだと盛大なお小遣いの無心にも見えるので、今思えばおもちゃみたいな小型のオゾン発生器を作って「これいっぱい売るから!どうか!」とプレゼンしました。

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