連載:第26回 小売・サービス
結婚式場業者、2020年度決算は全体の96.1%が減収
2021年の国内経済は、緊急事態宣言の再発出でスタート。今年度も挙式の延期や中止が増加することが予想されています。帝国データバンクは、2021年3月時点の企業概要ファイル「COSMOS2」(147 万社収録)の中から、2018年度決算から2020年度決算3期分の年収入高が判明している結婚式場運営を主業とる178社※を抽出し、現状について分析しましました。同様の調査は2010年6月以来となります。※2020年4~12月に2020年度決算を迎えた企業178社
収入高分析:減収企業が171社で96.1%を占める
2018年度から2020年度決算の年収入高が判明した178社の動向をみると、2019年度決算は減収企業が51社(構成比28.7%)だったのに対し、新型コロナの影響が本格的に表れたとみられる2020年度決算は、減収企業が171社と96.1%を占めています。新型コロナの感染拡大による外出自粛の動きから、昨年3月以降の挙式の延期や中止が相次いだことで、収入高に大きな打撃を与えました。
増減率分析:減少率は区分「20~30%」が53.2%で最多
2020年度決算で減収となった企業171社の減収率の分布(10区分)をみると、前年度比「20~30%未満」が53.2%を占め、最多となりました。次いで、「10~20%未満」「30~40%未満」が各13.5%を占め、減少率40%未満の企業が全体の84.8%を占めました。一方、前年度比50%以上減収となった企業は16社で、同9.4%を占めました。
減少幅が最も小さい企業で前年度比5.0%減、減少幅が最も大きい企業で同99.6%減となっています。
規模別分析:小規模事業者ほど減収の構成比は高く、50億円未満の企業は90%以上が減収
178社について、2020年度決算の収入高規模別に動向をみたところ、「1億~10億円未満」が、112社で最多。そのうち109社(構成比97.3%)が減収となりました。また、すべての区分で減収企業が増収企業を上回り、小規模事業者ほど減収企業の構成比が高い結果となりました。
結婚式場に厳しい1年、廃業・倒産増の可能性も
現在、結婚式場業者各社では少人数向けのプランや写真撮影のみの受注をきっかけに挙式・披露宴の提案につなげる動きがみられるなど、従来行ってこなかった挙式・披露宴以外のさまざまな取り組みに着手する動きもみられます。 しかし、3月に業界大手のワタベウェディング(東証1部)が事業再生ADRの適用を申請していることや、3度目の緊急事態宣言が発出されている現状を踏まえると、結婚式場業者にとって、厳しい1年となることが予想され、経営環境が好転する可能性は低いでしょう。少子化や晩婚化、婚礼トレンドの変化など、もともと多くの課題を抱える業界であるなか、こうした状況が続くことになれば、業績悪化のみならず、経営者の事業継続意欲も減退し、廃業もしくは倒産が増加する可能性もあると言えると思われます。
調査概要
調査テーマ:結婚式場業者の現状について
調査対象:2018年度決算から2020年度決算3期分の年収入高が判明している結婚式場運営を主業とする178社(2020年4~12月に2020年度決算を迎えた企業178社)
調査方法:2021年3月時点の企業概要ファイル「COSMOS2」(147 万社収録)から分析
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