部下を信じるだけではダメだった。主体性を引き出したリーダーが徹底する、たった一つの習慣

「私たちを信じて」。総合リフォーム事業を展開する株式会社誠進堂 代表取締役の松村洋平さんは、社員からそう告げられた瞬間を鮮明に覚えています。社員を信頼していたものの、自ら仕事を抱え込んでしまっていた松村さん。この一言をきっかけに、社員を信じて任せる経営にシフトしました。ただ、「信じる」だけではダメだと痛感した松村さんは、ある「習慣」を徹底します。以降、社員たちはお客様に満足を提供するため自ら考え行動し、Googleマップのクチコミは5,000件超、平均4.8点という高評価を獲得。売上高も25倍(グループ連結)に拡大しています。「人には無限の可能性があるが、誰しも無意識にブレーキを踏んでいる」と語る松村さんが、社員のブレーキを外すために徹底してきたこととは。詳しく伺います。

「私たちを信じて」部下の言葉で目が覚めた。社員の主体性を引き出したリーダーが徹底した習慣とは

――貴社は創業以来、大きく飛躍されています。会社が大きく変わったきっかけがあれば教えてください。

松村 洋平さん(以下、松村): 背景からお話しすると、当社は全国に9つの拠点を持つ総合リフォーム会社です。2015年、私と現在の専務の二人で創業し、少しずつ社員も増えていきました。会社が大きく前進したきっかけは、創業から2年が経った2017年頃、 社員から「社長、もっと仕事を振ってください。もっと私たちを信じてほしい」と言われたことです。

当時の私は新規営業のほか、現場監督、事務、検査など、 裏方業務を一人で抱え込んでいました。 私以外は全員営業職でしたし、「社員に負担をかけたくない」という遠慮の気持ちがあったのです。ただ、社員と会話してみると、言葉の背景には「頼ってほしい、力になりたい、まだ見たことのない景色を一緒に見たい」という想いがあることがわかりました。

当時はまだ株式会社ではなく、事務所や資金も十分とは言えず、まさにゼロからの手探り状態でした。それでも、私たちの想いに共感して入社してくれた社員たちは、「この会社の成長を自分たちで作っていくのだ」という強い当事者意識を持ってくれていました。その一方で、私自身、過去にいじめを受けた経験があり、「人に負担をかけてはいけない」という遠慮が心のどこかにありました。 本当の意味で、人に甘えることや信じ切ることができていなかったのだと思います。

当時は「会社はほどほどの規模で、みんなが公私ともに良い状態でいてくれたらいい」と思っていました。プライベートを充実させることこそ社員の幸せだと。しかしそれは私の勝手な解釈で、 社員たちからは働くことそのものの面白さを味わえること、自分の可能性を信じて、実際に成長していけること。それこそが、本当の意味での幸せであると伝わってきました。

それに気づいてから、私の経営者としての在り方は180度変わりました。 実務を指示・管理するプレイングマネージャーから、社員の可能性を100%信じ切り、仕事を任せ、心の安全基地となる存在へシフトしたのです。 以降、売上高は右肩上がりで推移。2018年に会社を設立しましたが、そこから売上高は25倍(グループ連結)となっています。これは、 社員一人ひとりがお客様に満足を提供したいと、自ら考えて動けるようになったからだと思いますね。

――社員を信じて任せる。非常に大切なことだと思いますが、それだけでうまくいくものでしょうか?

松村:正直「それだけ」では難しいと思います。 私は、人間誰しも、自分が思っている以上の能力を持っているのに、その力をほとんど使い切れていないと考えています。多くの人は、無意識のうちに自分自身でブレーキを踏んでいる。逆に言えば、 そのブレーキさえ外してあげれば、人はどんどん加速していくんです。 ただ、信じて任せるだけでは、そのブレーキは外れません。外してあげるための「働きかけ」が必要です。

そのために 毎月、120名の社員一人ひとりに対して欠かさず続けている「習慣」があります。 と言っても、非常に地道な取り組みですが、むしろその積み重ねこそが「私は本気であなたを信じている」ということを伝える一番の力になっていると思っています。

――社員一人ひとりに対して、毎月続けていること。具体的にどのようなことでしょうか?