「うちの社員は主体性がない」と悩むリーダーへの警鐘。挑戦できる組織づくりの"盲点"

「主体性を持たせよう」とするほど、社員が疲弊してしまう……。かつて、社員に主体性やスキルを一律に求めていたと振り返るのは、営業・採用領域のクラウド型システムを手がける株式会社Scene Live 代表取締役社長 磯村亮典さん。事業の急拡大とともに離職率は40%台に達し、権限委譲を進めるも現場から不満が噴出するなど、組織が崩壊しかねない時期があったといいます。その渦中で磯村さんがたどり着いたのは、「主体性は状態さえ整えば自然と発揮されるもの」という逆説的な結論でした。そこから、磯村さんがあることを徹底した結果、事業と組織がともに育ち、この5年間で売上高は2.5倍に成長。磯村さんが直面した組織の危機と、そこからたどり着いた組織づくりの全貌とは。詳しく伺います。

主体性を求めることをやめた日。自然と挑戦が生まれる組織をつくるため、リーダーが徹底したこと

――近年、社員の主体性を高めたいと考える企業が増えています。一方で貴社は 「主体性を一律に求めず、それが発揮されるタイミングを待つ」組織づくりを進めていらっしゃる とか。

磯村 亮典さん(以下、磯村): はい。当社は2010年に創業し、現在は営業・採用領域のクラウド型システムを開発・提供しています。2018年に営業会社と合併し、以降その販路を急速に拡大。それにより顧客数は一気に増えましたが、必要な人員はまったく足りていませんでした。そこで、中途採用を積極的に進めたのですが、当時は人材育成の仕組みがほとんどなく、現場でのOJTに頼らざるを得ない状況で……。 2020年度には、離職率も40%台まで上昇。 それでも当時は事業の成長を優先し、離職者が出れば補充するという運営を続けていました。

また、2021年からは事業部長への 権限委譲を進めたのですが、これには副作用がありました。 組織化が進むにつれて、情報が部署ごとに分断されていったのです。これが翌年、現場で大きな軋轢として表面化しました。「自分はここまでやっているのに、評価されていない」「この案件が取れなかったのは、自分のせいじゃない」など個人の不満が噴出。また、スキルの低い社員に「焦り」が見えない、当事者意識が足りないなど 複数の課題も抱えていました。

なぜ、自分のことばかりで、大きな視点で物事を捉えてくれないのか。なぜ、主体的に動いてくれないのか。頑張っている社員がいる一方で、なぜ成長しようとしないのか……。私も含め、マネジメント層はイライラを募らせていました。

組織課題が次々と押し寄せるなか、 社員の立場になって考えてみました。

当社は社員の平均年齢が約32歳なので、人生の中でいろいろな出来事が重なりやすい年代です。結婚、出産、あるいは恋人と別れるなど、 プライベートで頭がいっぱいのときに「モチベーションを持って仕事に集中しろ」と言われても現実的には難しいことです。

一方で、子どもが生まれ「家族のためにこのスキルを磨かなければ」と 本人が現実に気づいた瞬間から、ものすごい勢いで伸びていく人もいます。ただ、 そのタイミングは人によってバラバラ。そこを無視して一律に主体性を発揮させようとしても、結局は数ヶ月で息切れし、会社そのものを嫌いになって離れていってしまう。

そう考えると、「なんでできないんだ」という上司側のイラ立ちや、 一律に成果やスピードを求めてしまう発想そのものが、社員の成長を阻む弊害だったのだと気づきました。

そこから、私が一つ徹底してきたことがあります。 それを続けた結果、現場からは自然と挑戦が生まれ、また周囲がそれを支えるバランスの良い組織に成長。この5年で、売上も2.5倍に伸長しました。

――何を徹底されてきたのでしょうか?