地方中小がトヨタほか大手自動車メーカーと直接取引。業界常識を覆した2つの取り組み
福島県只見町。人口3300人という山あいの町で、トヨタ・日産・ホンダはじめ大手自動車メーカー各社の主力部品を手がけているのが株式会社会津工場です。かつては鋳物製造の下請けとして「言われたもの」を作っていたものの、業界の常識を鋳物製造技術「Hプロセス工法」の確立とともに、2000年ごろから自社営業を開始。売上は3億円から35億円へと10倍以上に成長しました。その裏には、同じく業界の常識を覆す提案スタイルと、それによって構築された「技術力を高める仕組み」がありました。現在では大手自動車メーカーとの共同開発を進めるなど、直接取引をするまでに至った経緯について、代表取締役社長の鈴木 直記さんに話を聞きました。
業界の常識を覆した「2つの取り組み」が、トヨタほか大手自動車メーカーとの直接取引に繋がった
――貴社は鋳物業界の常識・商流を覆すことで成長を加速されてきたとのこと。どのような取り組みなのでしょうか?
鈴木 直記 さん(以下、鈴木): 大きく2つあると思っています。1つは 「重ければ重いほど儲かる」という鋳物業界の常識に逆行し、薄肉・軽量・高精度な部品を追求してきたこと です。
旧来の鋳物部品の商習慣では、重量に応じて値段が決まっていました。お肉の量り売りのようなものですね。ですから営業においては「いかに部品の総重量を重くするか?」という提案が良しとされていました。
一般的な鋳物部品の寸法精度は決して高いとは言えず、お客様側で余分な部分を削る工程が発生していたのですが、その工程を含め当然のものと認識されていました。よくよく考えれば、追加作業の手間もコストも無駄ですよね。
そうした状況に対して、当社では高精度な鋳物を安定して量産できる「Hプロセス」という工法で お客様の要求寸法に高精度で応える薄肉・軽量の鋳物部品 を提供。 それが独自の価値・差別化となりました。
もう1つは、提案・試作についてです。現在でも多くの鋳物業者は、お客様から相談を受け、また図面をいただいてそれに赤入れをして調整しながら試作品や製品を作っていきます。
しかし当社では、それよりも一歩進んだ形での提案を行うことがあります。これはHプロセス工法の価値をお客様に伝えるために始めたことがきっかけなのですが、当社側である程度のリスクを負った上での挑戦的な提案法となります。
それが結果的に、大手自動車メーカーでの部品の比較・相見積もりがなされた際には Tier1・Tier2(一次受け・二次受け企業)を飛び越えて、重役との直接交渉に繋がり、その場で「決まりですね」というお言葉をいただくきっかけにもなりました。そしてその後、他のメーカーとの取引にも広く波及していきました。
――提案・試作時にどのような取り組みをされているのでしょうか?