「うちの社員はやる気がない」と嘆くリーダーへの警鐘。自律型組織をつくる前に外せない、たった一つの順番
残業は少なく、給与も悪くない。「働きやすい」会社なのに雰囲気は暗く、社員からはやる気が感じられない――。化粧品ブランド『マナラ』を展開する株式会社ランクアップが、かつて陥っていた状況です。従業員の意識調査では「仕事に行くのが楽しみ」と答えた割合が0%という衝撃の結果に。厳しい現実を突きつけられた社長の岩崎裕美子さんは、自らのトップダウン経営が社員の主体性を奪っていたと気づき、社員に任せる組織づくりへと舵を切ります。その結果、社員の提案やアイデアが次々と生まれるようになり、事業の幅が拡大。売上も組織改革前の約40億円から144億円へと大きく成長しています。どのようにして指示待ち組織を自律型組織に変えたのか。詳しく伺います。
「うちの社員はやる気がない」は間違いだった。トップダウン経営が生んだ指示待ち組織
――貴社は2025年で創業20周年を迎えられましたが、事業を拡大し続けていますね。
岩崎裕美子さん(以下、岩崎): おかげさまで、売上はコロナ禍の1年を除いて一貫して右肩上がりで増えています。
当社のミッションは「たった一人の悩みを解決することで、世界中の人たちの幸せに貢献する」です。一人ひとりの悩みを解決するには、社員個人の意見や思いを引き出さなければ解決の糸口は見つかりません。実際に、社員一人ひとりの視点や発案が新たな事業につながっており、社員の主体性が事業の幅を広げているのだと実感しています。
ただ、こうした主体性が育まれたのは創業から10年近く経ってからのことで、かつては正反対の組織でした。
――詳しく教えてください。
岩崎: 社内の雰囲気がとにかく暗く、朝礼はお通夜のよう。社員は「言われたとおりに動けばいい」という指示待ちの状態でした。
今だからわかるのですが、原因は私にあったんです。会社を立ち上げてから、ずっと現場の最前線にいたので、「自分が一番お客様のことを知っている」と思い込んでいました。社員がせっかく提案してくれても、「違う」「こっちのほうがいい」とすべてに口を出してしまう。チラシひとつとってもフォントや背景色まで細かくチェックして、私が許可を出さなければ何も進まない。そんなことを繰り返していました。
すると当然、社員は「何を提案しても無駄だ」と考えるようになります。休憩室は「愚痴部屋」と呼ばれ、「朝礼での社長の話、最悪だよね」「どうせまたコロコロ変わるよ」といった不満がこぼれる場になっていました。
一方の私は、自分に原因があるなんて露ほども思わず、「うちの社員はやる気がない」と嘆いていたんです。社員の主体性を奪っていたのは、ほかでもない私自身だったのに…。
――自分が原因だったと気づいたきっかけは何だったのでしょうか?
岩崎: 創業から7~8年が経ってからのこと。社員たちが「会社は私たちをまったく認めてくれない」「そんな会社には貢献できない」と涙する姿を見てしまったのです。そのとき、雷に打たれたような衝撃を受けました。
このままではいけない。変わらなければ…と決意し、私自身、そして組織の改革を進めてきました。その積み重ねが「指示待ち組織」から「自律型組織」という変化をもたらしたのです。ただ、うまくいったのには理由があります。 社員が自ら考え、行動する組織をつくるためには、間違えてはいけない順番がある のです。
――それは何でしょうか?