「きれいごと」こそが組織を蝕む—家系チェーンを約10年で急拡大したリーダー、組織づくりの流儀
横浜発祥の豚骨醤油スープに太麺を合わせた「家系ラーメン」専門のチェーン、「壱角家」。2014年の初出店以来、関東で112店舗を展開する株式会社ガーデンは、グループ売上高178億円、外食業界でもトップクラスの利益率を誇ります。ところが、2019年当時は60億円の負債を抱えた業績赤字で、社内には殺伐とした空気が漂っていました。そこへ代表取締役社長の川島 賢さんが会長職から社長に復帰したところ、「何ができるんですか」「プロ経営者を連れてきてください」と社員からの信頼はゼロに等しい状態でした。それから数年で変貌を遂げられた理由は、一貫して実践してきた「4つの流儀」にありました。一体どのような取り組みを行ってきたのか、詳しく伺います。
リーダーが貫いた、組織づくりの「4つの流儀」
――2019年に会長職から社長へ復帰されていますが、どのような経緯があったのでしょうか?
川島 賢さん(以下、川島): 2010年に一度会長職へと退いたのですが、その後の数年間で会社がめちゃくちゃな状態になってしまっていたんです。借り入れが60億円ほどあるにも関わらず、業績が非常に悪い状態で、「1〜2ヶ月後には返済できなくなる」という未来が見えていました。この状況に、社内は従業員同士の怒鳴り声が頻繁に聞こえるような、殺伐とした雰囲気になっていたんです。
そこに追い打ちをかけたのが、資金繰りの銀行交渉を担っていた経理課長が、無断退職したことでした。週明けの月曜日に社員が出社したら、デスクがきれいさっぱり片付いていたそうです。本部の社員たちにとってはかなり衝撃的な出来事で、社内の不安感がピークに達していました。
この状況を目の当たりにして、「会社が傾いてしまったのは、後継者を見定め、きちんと育てられなかった自分の責任だ」と感じました。60億の負債を背負った会社を引き継いでくれる人なんて、そうそういません。「自分が責任を取らなければならない」と決意しました。
――復帰を決めた後、社員の方々からはどのような反応がありましたか?
川島: 社員を集めて「なぜ自分が戻ってきたのか、今後何をやりたいのか」を説明する場を設けたところ、20代の女性社員から「何ができるんですか?」と率直な問いを投げかけられました。このとき、「会長が戻ってきたところで……」という社員の冷ややかな空気を感じたことを覚えています。また、十数名の幹部とは個別面談を行ったのですが、「会長が戻ってきて苦労することはありません。代わりに、プロの経営者を連れてきてください」と打診されたこともありました。
こうして社員からの信頼がゼロに等しい状態で復帰したわけですが、おかげさまで現在はグループ売上高178億円、外食業界でもトップクラスの利益率となり、財務体質が改善しました。このような成果を得られたのは、自身の「4つの流儀」を意識した組織作りが、功を奏したのではないかと感じています。
――「4つの流儀」とは?