「ホワイト企業を目指すのは違う」主体性あふれる組織を作ったリーダー。社員の「当事者意識」を育てた、二つの施策
離職率2.2%。人が辞めず、多くの社員が主体性を持って働く企業があります。それが、東京都に本社を置く東京システムハウス株式会社です。同社にも、かつて離職率が高く、チャレンジが止まり、組織が停滞していた時期がありました。代表取締役の林知之さんは働きやすさを追求し、一時はホワイト企業を目指すも「社員がやりがいを持ち、楽しく仕事をするためには当事者意識が必要不可欠」と実感。創業期から続く二つの施策を深化させ、組織に根付かせてきました。結果、人が辞めず、主体性あふれる組織を実現。林さんが社員の当事者意識を育てるため、17年間継続してきたこととは。詳しく伺います。
東京システムハウス株式会社
1976年創業の、独立系システムインテグレーター。東京都に本社を置き、システムインテグレーション事業、アプリケーションサービス事業、研究開発・コミュニティ事業などを手掛ける。代表取締役の林知之さんは、2009年に就任。この17年間で、売上高を約2倍に伸ばしている。
離職率2.2%を実現した50年企業の組織づくり。社員の「当事者意識」を育んだ、二つの施策
――貴社の直近3年間の平均離職率は2.7%。2026年2月末時点では、わずか2.2%とお聞きしました。なぜ、これほど離職率が低いのでしょうか?
林 知之さん(以下、林):それは、社員たちが仕事にやりがいを持って「楽しく」仕事をしているからだと思います。
一般的には、経済的な安定が人材定着の大きな理由になると言われます。当社も、同業の中で給与水準は高い方だと自負していますし、それを経営理念にも入れています。ただ、給与は上を見たらキリがないですよね。それだけが理由なら、もっと高い会社があればそちらに行ってしまう。 それよりも、楽しいとかやりがいを感じているかどうかが、定着してくれる理由になると思っています。
この考えの根本にあるのは、「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」という論語にある孔子の言葉。ことわざで言えば「好きこそ物の上手なれ」ですが、実はその先があるんです。 好きなことよりも、それを「楽しむ」ことの方がさらに強い。
ただ、ここで言う「楽しさ」というのは、決して楽をすることではありません。例えば、フルマラソンの道中は非常に過酷。でも、ゴールした時の達成感や喜びはひとしおです。その苦しさも含めて走ることそのものを楽しめるかどうか。ビジネスもまったく同じで、例えば5年がかりで取り組んできた案件も、最後に受注できなければゼロですから。そういう 厳しい過程も含めて楽しめるようになるためには、まず仕事を「自分ごと」として捉えること。つまり、当事者意識が必要不可欠です。
――とはいえ、社員一人ひとりに「当事者意識」を持ってもらうことは容易ではないと思います。貴社では、どのような取り組みをされているのでしょうか?
林:大きく二つあります。