「指示待ち部下」を量産する管理職。責任感と善意で踏む、5つの地雷
「研修も制度も整えた。それなのに若手は指示待ちのまま…」といった嘆きを繰り返す組織は後を絶ちません。人事は制度を磨き、経営はエンゲージメントサーベイを回し、管理職は部下の成長のために力を尽くすのに、現場の“空気”が変わらないのはなぜでしょうか?GAP、リクルート、マツダで20年以上、独立後は延べ3万5000人の社員と対話してきた戦略人事コンサルタント・山下浩史氏は「管理職が“良かれと思って”やっている日常の関わりの中にこそ、部下を指示待ちにする原因がある」と語ります。管理職が無自覚に踏んでしまっている「5つの地雷」と、そこから抜け出すための“たった1つの視点の転換”について聞きました。
「エンゲージメント」を追う管理職の善意が、「指示待ち部下」を量産する悲劇
「サーベイの数値は高いのに、現場にはいつも“やらされ感”や“疲弊感”が漂っている──」
私はこれまで、数百の現場に入り、経営者、管理職、若手社員と対話を重ねてきました。中でも強く違和感を覚えたのが、エンゲージメントサーベイのスコアは悪くないはずなのに、数値とは裏腹に、現場が自律的に動いていない企業の多さです。
なぜそんなことが起きるのか?原因の一つは、 「エンゲージメントの向上」が、現場では「会社への忠誠心を示せ」「もっと貢献しろ」という圧力に読み替えられてしまうから です。サーベイを回し、数値を追えば追うほど、社員は「管理されている」と感じます。すると前向きな内発的動機ではなく、評価を意識した振る舞いが広がっていく。その結果、数値は保たれていても、現場から主体的な動きが生まれにくくなるのです。
そして 現場でその圧力を最も強く体現してしまうのが、ほかでもない管理職。部長や課長です。 「会社のためにもっと頑張ってほしい」「本人のためにも、成長させてあげたい」という管理職の善意が、図らずも部下の“やらされ感”に変換され、「指示待ち部下」を量産してしまうのです。
誤解を恐れずに言えば、 意識的・無意識問わず会社のために部下を動かそうとする管理職ほど、指示待ち組織をつくってしまう。 これは能力の問題ではありません。熱心で、部下思いで、責任感のある管理職こそ陥りやすい罠でもあります。
今回は、そうした 管理職が日常業務の中でつい踏んでしまっている「地雷」について、対策と合わせ紹介します。 地雷は主に以下の5つです。
地雷① 「今までのやり方で」──成功体験という名の檻