部下が指示待ちになる、本当の理由。23年続く自律型組織に共通する「3つの要素」

「社員が動かない」「指示を出さないと何もしない」——そう悩む経営者・管理職はとても多いです。しかしその原因は社員個人にあるのではなく、「組織の構造」にあると断言するのが、株式会社アトラエ代表の新居佳英さんです。同社はヒエラルキーや役職がなく、全員が同じ目線で考え、発言する自律分散型組織を創業以来23年間実践し、成長を続けています。新居さんが考える自律型組織を支える「3つの要素」とは?詳しく伺いました。

「社員が動かない」のは、実は構造の問題だ

――アトラエは2003年の創業以来、社員一人ひとりが自ら考えて動く自律分散型の組織を実践されています。一方で多くの企業では「社員が指示待ちで動かない」「任せても何もしない」という悩みが尽きません。この状況をどう見ていますか。

新居佳英さん(以下、新居): まず整理すべきは、動かない原因が「能力」の問題なのか、「意欲」の問題なのかということだと思います。能力が足りていないから動けないのか、能力はあるけれど動く気がないのか。それによって対処法はまったく違います。

ただ、実際のところは後者、「意欲」の問題であることが多いように思います。

そして「意欲」が湧かない原因は、上司や経営者側にあることがほとんどです。 意欲を奪っているのは、リーダー自身が作り出している「構造」にある と考えています。

たとえば、上司に言われたことをただこなすだけで、その先にある目的や意味が見えない。そういう環境では、じわじわと意欲が削られていきます。つまり構造の本質は、 社員が「何のためにやるのか」という目的を持てない状態になっていること だと考えます。

よくこんな話をするんですが、「レンガを積んでくれ」と言われた人と、「今、日本を代表する建造物を作っていて、あなたにはその壁を担当してもらいたい」と言われた人では、同じ作業をしていても意識がまったく違います。目的が見えていない状態で意欲的になれと言われても、それは無理な話ではないでしょうか。

意欲がなければ、自ら動こうとは思えない。「指示待ち」はその結果に過ぎません。社員が自ら動いてくれないと悩む前に、まず問うべきは「自分の組織に、構造的な問題はないか」ということだと思います。

当社は「アスリートやアーティストのように、全員が本気でチームの夢を追いかけられる、そんな理想の組織を創ってみたい。」という思いで創業しています。その理想を実現しようとしたら、意思決定がトップに集中せず、一人ひとりが自分で考えて動く自律分散型の組織になっていました。

これまで、いろいろな試行錯誤を重ねた経験から言えるのは、いわゆる「自律型組織」を形成するためには 「3つの要素」が欠かせない ということです。そしてその3つこそが、さきほどお話しした「意欲を奪う構造」を変える鍵でもあります。

――その「3つの要素」とは、何でしょうか。