社員と本気で向き合い続けた25年。粗利率50%超の会社をつくったリーダーの育成哲学
「会社は人で決まる。人を育てることが経営そのもの。」浜島防災システム株式会社・代表取締役の浜島豊博さんは、そう断言します。同社の粗利率は50%超。一人あたりの生産性(粗利)は業界平均を大きく上回り、2,480万円に達しています。しかしその歩みは、経営理念も原価管理もなく、どんぶり勘定で回っていた組織からのスタートでした。社員一人ひとりの人間性と本気で向き合い、「儲けの仕組み」という器に「人間力」という中身を注ぎ込み続けた25年。トップが社員と向き合い続けることで、高収益体質の組織はいかにして生まれたのか。その育成哲学と道のりを伺いました。
売上1.89倍、粗利4倍超。トップが社員と本気で向き合い続けた、25年の育成哲学
――貴社では25年にわたり、社長自ら社員と向き合い続け、育成に尽力されてきました。その成果は、直近13年間の数字にも表れています。売上高は約1.89倍、粗利益は4倍以上に。粗利率は50%を超え、一人あたりの生産性(粗利)も業界平均の2倍強となっています。この圧倒的な利益体質は、どのようにして作られたのでしょうか?
浜島 豊博さん(以下、浜島):それは、社員一人ひとりと本気で向き合い、「儲けの仕組み」という器に「人間力」という哲学を注ぎ込み続けてきたから だと思っています。
背景からお話しすると、当社は1960年創業の総合消防設備企業です。私が家業に 入社した当時は「売上」だけを目標にしており、利益を残すという発想を持つ社員はいませんでした。 原価管理の仕組みもなく、どんぶり勘定。特に売上金額の大きい工事部門ほどその傾向が強く、利益を出していないにもかかわらず金額の大きな工事をしているだけで「自分たちが会社を支えている」と勘違いしているような状態でした。経営計画もなく、給与は先代の「鉛筆なめなめ」で決まる年功序列。 社員たちは新しいことを学ぶ気もなく、ノルマを割り振れば「できません、無理です」と逃げるばかり……。 経営状況は、すぐに倒産するような危機ではありませんでしたが、 このままでは絶対にいけない。 その確信だけは、入社したその日から持っていました。
私はもともと家業に戻る予定はありませんでした。しかし先代である父が体調を崩したとき「会社が傾けば、社員が路頭に迷ってしまう」「自分がここまで大きくなれたのも社員のおかげ」という想いが強くなりました。そして1990年、家業に戻ったのです。
入社後は自ら営業をこなし、3年で常務へと昇進。当時は一人で何でもやっていたため「浜島商店」と呼ばれていました。その後も経営と営業の基盤を整え続け、2000年に先代が他界したことに伴い、37歳で代表取締役に就任。以降、 目指す方向性を「売上」から「粗利」へと完全にシフトさせました。
会社は、社員とその家族を幸せにするために存在する。 私はそう考えています。では、社長ができる最大の貢献とは何か。それは、 社員の年収を上げること。 年収を上げるには粗利を増やすしかない。だからこそ、その 粗利を生み出せるレベルまで社員の実力を引き上げることが、私の仕事です。
そして社員一人ひとりと本気で向き合い、 「儲けの仕組み」と「人間力」が組織全体に根付くよう取り組んできました。そのうえで、生み出した利益を圧倒的な報酬として社員に還元しました。これを繰り返すことで、現在のような利益体質を実現したのです。
――「儲けの仕組み」と「人間力」の教育について、詳しく教えてください。