上司に“部下の評価”をさせない。業界No.1企業への急成長を支えた、リーダーの信念
ストレッチ専門店『Dr.stretch』を運営する株式会社nobitel。2010年の1号店オープンからわずか6年で100店舗を達成し、現在は国内外300店舗超、従業員数約1,800名まで成長しています。この急成長を支えるのは、「上司が部下を評価しない」仕組みを用いた組織づくりです。「管理」や「権力」に頼らず、社員のやる気を生み出す組織づくりの本質とは?その背景には、かつての内部分裂から学んだ「ある教訓」がありました。同社の黒川将大会長にお話を伺いました。
多くの企業が陥っている“リーダーシップの勘違い”とは
――貴社が運営するストレッチ専門店『Dr.stretch』は、近年急成長を遂げています。その成長の要因はどこにあるのでしょうか?
黒川将大さん(以下、黒川): ありがたいことに、 『Dr.stretch』はストレッチ業界 No.1の店舗数を誇り、右肩上がりで拡大し続けています。
この要因は、事業モデルの優位性だけではなく、当社独自の組織づくりにあると考えます。その中心が 「上司が部下を評価しない」仕組み です。世の中の大半の企業では「上司が部下を評価する」制度が当たり前ですが、これには多大な弊害があると私は考えています。
まず、管理職が膨大な時間を査定業務に費やしていること。組織の規模によっては、業務時間の3分の1近くを査定に費やすこともある。現場で優秀だったから管理職になったはずなのに、出世が生産性を落としてしまう。これでは本末転倒です。
さらに深刻なのは、上司が部下を評価すると、部下はどうしても上司の顔色を見て仕事をするようになることです。その結果、「上司に気に入られるのが上手な人」が管理職に上がっていく。これが大きな“勘違い”を生み、組織不全を引き起こします。
―― “勘違い”とは?
黒川:「権力」を「リーダーシップ」だと誤って認識してしまうこと です。
リーダーシップとは本来、組織やチームの目標達成のために人を導き、行動を促す力のこと。しかし、上司の顔色を見て出世してきた人は、いざ自分の部下を持ったときに、どう引っ張ればいいか分からず自信を持てません。
自信がないからこそ、会社から与えられた「給与と出世を決める力」という権力を振りかざす。「俺の言うことを聞かないと評価を落とすぞ」「出世できないぞ」と圧力をかけ、人を従わせる。それをリーダーシップだと勘違いしてしまうのです。
そして、自分の言うことを聞く人を周りに集め、いわゆる「派閥」をつくる。これは組織として不健全な状況だと考えます。
――なぜ派閥ができると不健全なのでしょうか?
黒川: 派閥ができると、「経営トップの決断したことが実行できない組織」になってしまうからです。
管理職が権力を持ち派閥ができると、部下たちの意識の矢印が「会社」や「社長」ではなく、派閥のトップである管理職に向いてしまいます。そうなると、会社の最終決裁者である私が「これをやろう」と決断を下しても、派閥が壁になって現場で実行されなくなってしまう。だからこそ、当社では絶対に派閥をつくらせません。そのために、私が経営者として厳守していることが一つあります。
――それは何でしょうか?