管理職が1on1を“ぬるま湯”にしてしまう理由。部下の主体性を育てる対話の原則

「1on1を続けているのに部下が変わらない」「何を話しても行動に繋がらない」——そんな悩みを抱える管理職の方は少なくないでしょう。「企業が良かれと思って導入した1on1が、部下の主体性を奪う原因にもなっている」と語るのは、大手企業の風土改革を始めとした組織開発支援を手がける、アンドア株式会社の堀井悠代表です。堀井さんは、部下の主体性を奪う1on1には共通点があると言います。かつて部下に「堀井さんの1on1、気持ち悪いです」と言われたという失敗談も含め、語っていただきました。

愚直すぎる傾聴の姿勢が、ぬるま湯1on1を作り出していた

――堀井さんはこれまで数多くの企業の組織開発を支援されていますが、1on1における課題で多いものはありますか?

堀井悠さん(以下、堀井): 1on1にはさまざまな目的がありますが、その一つとして 「部下の主体性を発揮させたい」 というニーズは非常に多いです。私は そのような1on1のあるべき姿を「納得感ある挑戦が生まれる場」と定義 しています。1on1を終えたあと、「自分1人では思いつかなかったアイデアが生まれた」「自分の課題が明確になった」といった納得感を得て、それが部下の行動の変化につながっていく時間であることが理想です。ところが、そこを目指しているはずなのに、なかなかうまくいかないという管理職の方がとても多い。

かくいう私も、「うまくいかない管理職」の一人でした。当時の私は「傾聴」や「コーチング的な関わり」が上司として重要だという考え方を愚直に実践していました。良きコーチとは決してアドバイスをしない。どんなにアドバイスしたくても我慢して、君はどう思う?と本人の考えを引き出すのが良きコーチだと。しかし、一向に部下の行動は変わらない…。そんな中、一人の部下から「最近、堀井さんの1on1気持ち悪いです。やめてください」と言われてしまったんです。

――「気持ち悪い」というのは、どういう意味だったのでしょうか。

堀井: 「聞かれるだけで何も決まらない」「上司が何を考えているかわからない」という部下の不信感でした。

このときの私は傾聴することばかりに終始し、「部下が次の行動を決められない」状況になっていることに気づいていませんでした。 心理的安全性は保たれても、実行責任が置き去りになっている「ぬるま湯」に陥っていた。 知らず知らずのうちに、部下の主体性が発揮されない環境を作っていたんです。ここに気づかせてくれた部下にはとても感謝しています。

そこから、1on1を「納得感ある挑戦が生まれる場」にするため、どうしたらいいか思考を重ねていった結果、3つのNGパターンがあることが見えてきました。特に3つ目は、一般的な1on1の定説とは真逆のアプローチかもしれません。

――詳しく教えてください。