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連載:第1回 経済学者・飯田泰之さんが語る「会社の生産性を上げる方法」

経済学者・飯田泰之さんが語る「会社の生産性を上げる方法」

BizHint 編集部 2017年12月4日(月)掲載
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「生産性」「効率化」と言う言葉が叫ばれて久しい昨今、多くの企業が自社の生産性を上げるため、様々な施策を行っています。経済学的見地から見たとき、日本企業の生産性を上げるために必要なことは何なのでしょうか。マクロ経済学者である飯田泰之さんに「いま日本人経営者や人事が考えるべき生産性を上げる方法」を伺いました。

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日本企業が陥る「従業員の能力=生産性」という大きな誤解

「生産性を高めるにはどうしたらよいのか」との課題に直面したとき、多くの人は 「生産性を上げる=新技術や最新式の機械の導入」と考えがちです。ですが、「それは大きな誤解である」 とマクロ経済学者の飯田泰之さんは語ります。

「生産性のもっとも単純な指標である労働生産性は付加価値、つまりは粗利を労働時間で割ってはかります。私が倍の処理速度の最新式のパソコンを購入しても、私の原稿料は倍にはなりません。最新式のレジを入れても利益が増えるわけではないでしょう。いまは製造業でも、『企画提案』や『メンテナンスのアフターサービスの充実している』などモノ以外のファクターが強くなってきています。 生産性=モノを作るスピードではなくなっている のです」

その一方で、「生産性=従業員の能力を高めること」という考え方にも落とし穴があるという。

「すると、従業員の能力以上に、従業員をしっかりと利益が出る活動に従事させることが出来ているか、そもそも販売している商品やサービスはしっかりと利ざやを稼げるものかという視点の方が重要になるでしょう。生産とは一人あたり、または1時間当たりの利益であるという視点がないがゆえに、スーパースターのような社員を望んだり、それは不可能なので長時間労働にたよることになってしまうわけです」

労働力と生産性いう視点において、わかりやすいのは高度経済成長期。当時、農村部から若者たちが都市部や工業地帯に来るだけで、生産性が一気に向上し、彼らは「金の卵」としてもてはやされていました。

「若者は中学こそ卒業していますが、経験もスキルもない。では、なぜ日本の生産性を爆発的に上げることができたのか。話は非常に単純です。日本の農村部はもともと狭い土地を耕して農作物を作っていた。人数が減ってもそう簡単に農業における総生産量は落ちません。一方、工業や商業には、人員を投入したら生み出される利益は向上する。

低生産性部門から高生産性部門に人が移れば、日本全体の生産性は平均的には上がりますよね。 その人自身に能力がなくても、生産や売上利益が伸びる可能性がある業界に労働力を移動させれば、生産性は伸びる のです。適材適所によって生産性が向上するというのは現代にも大いに示唆的でしょう。さらに、現代では企業・地域を越えて人が動くことが日本全体の生産性向上のための第一の条件とさえ言える状況です」

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