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2018年4月25日(水)更新

MBO

MBO(目標管理)とは、事業目標による部下の仕事や行動の管理をするもので、業務を行う本人の自主性に重きをおく組織のマネジメント手法です。詳細について本記事でご説明します。

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MBO(目標管理)とは?

マネジメント用語である「MBO」正式名称「Management by Object」は、1954年にピーター.F.ドラッガーが『現代の経営』という著書の中で提唱した組織マネジメントの手法で、社員それぞれに自らの目標を設定させ、その目標達成のため自らを自主的に管理することで主体性を養い、最終的に組織における大きな成果につなげていくという概念です。日本では昭和40年代に一時ブームになりましたが、売上至上主義で業績を上げることに目標が置かれるなど誤解された時期もありました。

MBO(目標管理)とは、単に掲げた目標の数値を管理することとは違い、「目標」に対する「成果」を重視するのではなく、事業目標による部下の仕事や行動の管理をするもので、業務を行う本人の自主性に重きをおく組織のマネジメントを行う方法です。

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MBO(目標管理)の目的とは?

従来は具体的な目標を設定することにより、従業員の主体性向上やモチベーションアップにつながり、それが問題解決の能力向上に達するとされてきました。これは研修や教育によって養われるものでしたが、現在は「目標による管理」という考え方で、組織の事業目標達成につながる個人の目標を設定し、自分で自分をマネジメントすることによってスキルアップや能力向上を目指します。

またそれは、評価により人事考課へも反映されることとなります。

MBO(目標管理)のメリット

MBO(目標)は「自立型人材」を育成できるメリットがあります。中でも組織運営を行う上で高い効果が期待できるメリットをご紹介いたします。

モチベーション向上につながる

企業は組織ですが、そこに属する個人が行う日々の業務により成り立っているものです。組織のリーダーから上位層の管理職、部門ごとに所属するチームメンバーそれぞれの業務により業績を上げることが出来ています。目標管理制度で遂行者側である社員は、管理者である上司から与えられた仕事をこなすのではなく、大きな会社目標のために個々の業務が役立っていることを認識することで、目の前の業務への納得度が高まります。

自分の目標が会社の目標につながると意識すれば、仕事への意欲が高まり自主的に成果をあげようとするので「やらされ感」がなくなります。 評価者側である上司も単なる成果主義ではなく、会社目標や個人の目標設定の位置付けを部下に示す、評価者として個人の達成度や業績評価を示すことで、部下の動機付けを行う力が養われます。

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能力開発につながる

目標設定のポイントでもある目標レベルを、容易すぎず難しすぎることのない程度で設定します。それにより、これまでの方法では達成することが難しかった業務を、社員個人がモチベーションを上げて取り組むことで可能にすることが出来ます。その創意工夫の方法がレベルアップにつながり、自分自身の能力の発見や開発にもなります。

自分で設定した目標への達成感は個人の喜びにつながりますので、さらにステップアップしようと意欲が高まります。管理者としても、個人の能力を引き出すことで新しい目線での発想も考えられるようになり、互いに次の目標への期待感が膨らみます。

MBO(目標管理)のデメリット

メリットがあればデメリットも存在します。ここでは3つのデメリットをご紹介します。

達成度のコントロール

組織マネジメントの方法として活用されるべきMBO(目標管理)ですが、その活用方法によっては、本来の目的とは裏腹に人事考課の判断材料として、設定されるノルマを管理するだけのものになってしまう恐れがあります。

目標がはっきりとした数値で表せない場合、達成度を遂行者がある程度コントロールできてしまうこと、数値設定ができる場合でも、その目標数値を低く設定することで達成度をコントロールできてしまうこともあります。個人の能力はある程度自分自身で理解できているために、目標管理を人事評価制度と捉え、このようなことが起こることも考えられます。

目標に対する行動の制限

遂行者である社員が「目標による管理」という考え方でなく、設定された目標課題を達成することだけに集中して個人の行動が縛られてしまうということもあります。

そのため、目標以外のことにコミットメントしなくなり、ノルマ主義的な考え方と混同され、本来のMBO(目標管理)の目的とかけ離れてしまい、逆に自主性を損なってしまう可能性があります。

設定の難しさと評価者の負担

会社や部門の業務内容によっては厳密な設定が難しく、また予期可能な業務が少ないため目標設定自体が困難な場合もあります。

また、MBO(目標管理)に必要な評価者には、年功序列制度とは違い、経験を積んだマネージャーの能力も要求されるため、評価者としての負担が大きくなります。評価者としての能力に及ばないと自覚している上司が評価者となった場合、それはさらに大きなものになります。

経営陣によるMBO(目標管理)の計画立案

MBO(目標)を導入する際は経営陣による計画立案が欠かせません。MBO(目標)導入を成功させるためにも、経営者がMBO(目標)に関わるべき内容をご紹介いたします。

MBO(目標管理)の目的の明確化

MBO(目標管理)を実施するには、経営者や経営陣が「何を」、「どのように」評価するかを明確にする必要があります。MBO(目標管理)は社員が主体的に目標を設定し、自立型人材の育成に役に立つと同時に、社員自身による達成度のコントロールや行動制限につながる恐れがあるためです。

経営者を含む経営陣がMBO(目標管理)の目的の方向性を示すことで、MBO(目標管理)に記載する成果やプロセスの基準を設定することができます。このように経営陣による方針管理が、MBO(目標管理)を形骸化させないための鍵となります。MBO(目標管理)を導入することは、企業の目的や戦略、計画を明確化する経営戦略の一環であることを肝に銘じておきましょう。

MBO(目標管理)の導入タイミングを決める

「MBO(目標管理)のデメリット」でご紹介しているように、財務部や法務部などMBO(目標管理)の設定が難しい事業部門があります。全社的にMBO(目標管理)を導入する際は、まずは営業部門など、目標を測定可能なものにしやすい事業部門に絞って実施していくと良いでしょう。

また、MBO(目標設定)は会社の目標や考え方と、個人の目標をリンクさせる必要があります。会社の経営目標や経営方針が反映しやすい事業部門から導入するのもおすすめです。いきなり全社に導入すると経営陣からのトップダウンというイメージが強く、社員の「やらされている感」を助長してしまいます。

社員のモチベーション低下を防ぐためにも、経営者を含む経営陣がMBO(目標管理)の目的や意義をしっかりと浸透させ、然るべきタイミングで導入する必要があります。

マネジメント体制の確立

MBO(目標管理)は成果の達成具合を測るものではなく、管理職などの評価者が部下の目標や行動を適切に管理・指導を行なうためのマネジメント手法です。そのため、MBO(目標管理)が実施できるマネジメント体制の確立が前提となります。このマネジメント体制とは「管理職が部下を適切にMBO(目標管理)による管理・指導ができる」体制を指します。

これらのマネジメント体制を構築するには、まず経営者を含む経営陣やオーナー経営者がMBO(目標管理)の評価者となり、事業部門の責任者を批評価者としたMBO(目標管理)の実施を行なうことがおすすめです。先にご紹介したとおり、MBO(目標管理)の個人目標やプロセスは、会社の経営方針や考え、目標に沿ったものにする必要があります。

それらが共有されやすい事業部門の責任者を対象にすることで、全社にMBO(目標管理)を浸透させやすい環境を作ることができます。経営に近い立場の社員からMBO(目標管理)を実施することが大切です。

MBO(目標管理)を導入する際のポイント

経営陣による計画立案が終われば、MBO(目標管理)の導入にフェーズを移していきます。導入の際は、評価者と被評価者との間で行なうべきポイントを押えることが大切です。

明確で具体的な目標を設定する

評価者との面談において目標設定を行うにあたり、上司から部下への依頼や命令ではなく、担当である部下が納得して実践できる、明確で具体的な目標設定をすることが大切です。

担当者である部下の目標は、上司の目標と関連し、ほかの担当者の目標と合わせることでチーム全体の目標達成につながるよう設定します。そしてチームのさらに上位組織の目標達成と連なっていることが「組織のマネジメントを行う」ことになります。

目標レベルを適正な範囲で設定

目標は、現実的に達成できる適正なレベルで設定することも重要です。それは個人の能力にもよりますが、理想ばかりを追って現実では達成しにくいレベルのものでは部下の負担になります。

しかし、すぐに到達できる達成水準の目標は適切ではありません。 個人が今のレベルより少し努力すれば達成できるという範囲が適正で、具体的に数値に表すことができる、視覚的に確認できるものが望ましいでしょう。

時間軸を考える

業務目標を設定するにあたり、時間軸を考えた期間の設定も重要です。ある目標を定めてその期間のうちに達成するという方法は、社員の能力評価や達成度評価につながります。

また一定期間の目標達成ののち、次の目標に向かうというプロセスは仕事に対する意欲やモチベーションの維持にもなります。 段階を踏んで自分の役割を果たしているという状況を個人個人が持つことで、人材育成やスキルアップの効果も期待できます。

目標達成のためのアクションプラン

MBO運用にあたっては、そのプロセスも重要です。目標だけを設定するのではなく、その達成のために段階を踏んで行うアクションプランも併せて明記することで、組織における自身の役割も見えてきて、その一人一人の業務行動の積み重ねが会社の目標につながるということを理解できるようになります。

人事制度に活用する場合にも、個人の段階評価が人事考課の指標となり、企業戦略のひとつとなります。

MBO(目標管理)の今後の課題

上場企業はもちろん、日本企業の多くが導入しているMBO(目標管理)。しかし、時代の移り変わりとともに「MBO(目標管理)を見直すべき」という日本企業が増えています。MBO(目標管理)の今後の課題として、以下のような事項が考えられます。

「働き方改革」への対応

労働力不足や経済のグローバル化、長時間労働による過労死やうつ病などの増加などにより、日本の労働環境は劇的に変わりつつあります。政府が掲げる「働き方改革」の一環である ホワイトカラーエグゼンプション(一定の要件を満たすホワイトカラーを労働時間規制の適用から除外する制度)やテレワーク(会社以外の遠隔地で仕事を行う形態)を、今後も取り入れる企業が増える傾向にあります。

これらのような新しい働き方に対して適正なMBO(目標管理)を行なうためには、評価者と被評価者とのコミュニケーションをより活性化させ、具体的かつ定量的に測れる目的とプロセスを決定する必要があります。ホワイトカラーエグゼンプションテレワークは、成果主義を前提にした制度でもあるため、混同されやすいMBO(目標管理)とは基準を明確に分ける必要があります。

そのため、今後の新しい働き方とMBO(目標管理)をどのように共存させるかを検討しなければいけません。

人事制度改革が必要となる

国内需要が減少し、海外市場に活路を見出す日本企業が増えると同時に、人事制度改革の必要性が増してきています。買収による海外企業の子会社化、資金提供による経営権の獲得、投資ファンドとの共同出資による事業会社の設立により、全世界共通の人事制度であるグローバル人事の必要性が増していることを意味します。

日本の人事制度は、終身雇用年功序列などの日本的慣行が色濃く反映されています。また、日本人社員のキャリアパスは用意されているが、現地社員のキャリアパスは整備されていないことも指摘されています。MBO(目標管理)自体もこうした日本的慣行の強い人事制度を前提にしているため、グローバル人材の育成のためのMBO(目標管理)になっていません。

今後、グローバルに通用する企業を目指す上でMBO(目標管理)を改定するには、成果主義役割等級制度を導入した抜本的な人事制度改革を行なう必要があります。

コンプライアンスの遵守

従来の日本経済界では、MBO(企業買収)や株式公開により利益を得るMBOファンドの存在には、否定的な考えを持っていました。しかし、近年ではクラウドファンディング(起業家やクリエーターがインターネット経由で資金調達を行なう手法)などで支援を得て、独立する方やベンチャー企業が珍しくありません。

そのため、今後、国内外問わず、企業による企業買収や事業会社の設立が加速していくことが予想されます。その結果、企業間の競争力が高まり、日本経済が活性化する一方、長時間労働や過剰な成果主義の横行が懸念されます。

MBO(目標管理)は、経営陣が主体的に浸透させる必要性がありますが、成果主義のツールとして誤用される危険性もあります。そのため、経営陣や管理職などの評価者はこれまで以上に コンプライアンスを遵守することが求められます。

まとめ

  • MBO(目標管理)の導入には、公正公平に被評価者を評価できる管理職社員が欠かせません。また、経営陣自らがMBO(目標管理)導入の目的や方針を明確にし、浸透させる必要があります。
  • 事業部門の責任者や、導入しやすい事業部門から先行導入するなど、実施タイミングやメリット・デメリットをしっかりと把握することが大切です。
  • 経営者を含む経営陣や人事担当者は働き方改革や人事制度改革、コンプライアンス遵守など、今後の課題ともしっかりと向き合い、導入することが求められます。

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