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2018年5月5日(土)更新

eラーニング

eラーニングとはパソコンやモバイル端末などの電子機器やITネットワークを利用することによって場所や時間、学習内容を問わず自分のペースでスキルアップを行うことができる学習システムです。eラーニングが企業と従業員それぞれに対して与えるメリットとデメリット、正しい活用方法について分かりやすく解説致します。

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目次[表示]

eラーニングとは

eラーニング(e-learning)とはelectronic learningの略称であり、電子機器を通じて自主学習を行うために構築された教育システムや学習管理システムのことを指します。

ここ十数年におけるブロードバンドインターネットの爆発的な普及によって『eラーニング=インターネットを使用した学習システム』というイメージが固定化されつつあります。
しかし、electronicには『電子』や『電子の』という意味があり、インターネット普及前の日本にも現在のeラーニングによく似た学習システムが複数存在していたため、単なるインターネットを使用した学習システムではなく『電子機器や電子技術を用いた学習システムの総称』として扱うべきだという意見も多く存在しています。
このようにeラーニングの定義として確立されたものはありませんが、本記事ではより多くの選択肢をビジネス戦略に反映させるため、電子テクノロジーを活用した学習方法全般をeラーニングとして扱わせて頂きます。

eラーニングの要素

国内におけるIT環境の目覚ましい発展によって多くの企業が参入し、種類が日々増え続けているeラーニングですが、そのいずれも『コンテンツ(e教材・学習材)』『学習用電子機器』『学習用メディア』『学習管理システム(LMS)』の4つの要素から構築されています。

コンテンツ(e教材・学習材)

コンテンツとは学習を行うために必要な学習用データの総称です。
情報を多く扱うことのできるメディア(媒体)が数多く誕生したことにより、テキストや画像だけではなく、音声や動画といった大容量のコンテンツが次々に登場しています。
また、電子機器とメディア、学習システムの組み合わせによって、ドリル形式やテスト形式、試験形式など様々な学習形式を取り入れることが可能となります。

学習用電子機器と学習用メディア

eラーニングに使用される電子機器には以下のようなものがあります。

  • パソコン
  • 携帯電話
  • スマートフォン
  • PDA(携帯情報端末)
  • タブレット

これらの電子機器にコンテンツを読み込むことによって行われるeラーニングですが、ネットワーク利用の有無により、電子機器と本体メモリー内やメモリーカード、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録メディアに保存されたコンテンツを組み合わせて行う『オフライン学習』と、メールやインターネットを通じて配信されるコンテンツや、サーバーやクラウド上に保管されたコンテンツを使用して行う『オンライン学習』に大別することができます。

なお、カセットテープやビデオテープなどのアナログデータを記録するメディアは、複製加工を簡単に行うことのできるデジタルデータを劣化しやすいアナログデータに変換する手間が増えてしまうことに加え、保存できる情報量が少ないためビジネスでの活用にあまり適していないという理由から、eラーニングの学習用コンテンツを記録するメディアとして選択されることは少なくなっています。

学習管理システム(LMS)

学習管理システムとは、ネットワークを通じたコンテンツの作成・修正・管理や学習プログラムやコースの設定、学習進捗度の確認、教師による採点や指導などを行うことのできる管理システムの総称であり、一般的にLMS(Learning Management System)という名称で扱われています。

LMSの主な使用目的は学習履歴や学習成績から学習に対する効果を確認し、より効果的な学習コンテンツとプログラムを構築していくことですが、指導者と受講者が互いの表情を確認しながら会話することのできるビデオ通話機能や、受講者画面を指導者画面に表示することで必要に応じて適切なアドバイスを与えることのできる画面共有機能、学習者同士のコミュニケーションから相互刺激や学習意欲の向上を期待するSNS機能(social networking service=ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、企業の人材育成計画を多角的にサポートするための様々な機能が組み込まれたLMSも存在します。

【関連】LMS(学習管理システム)とは?その機能とメリットを徹底分析 / BizHint HR

eラーニングが注目される背景

CAI(computer-assisted instructionまたはcomputer-aided instruction=コンピュータ支援教育)など、学校教育という分野においては古くからパソコンや電子機器を用いた教育方法の検討が行われてきました。
学校授業のサポートを目的として進められたCAIですが、1990年代に日本国内のネットワーク環境が大きく発達したことによって、一般知識や学問の教育効果のみを期待するCAIに訓練という要素を加えたCBT (computer-based training)やWBT (web-based training)などの新しい利用方法が誕生し、21世紀に入ってCRTやWBTの概念を活用した学習訓練の手法であるeラーニングへと進化していくことになりました。

eラーニングの普及

発売当初、電子機器を活用した学習方法やシステムはいずれも非常に高価で敷居の高いものでしたが、電子技術の発達とブロードバンドネットワークの普及によって価格が大きく低下し、誰しもが簡単に手に入れることのできる環境へと変わっていきました。
その結果、『いつでも』『どこでも』『手軽に』行うことのできるeラーニングに多くの注目が寄せられ、自発的かつ持続的に行うべき学習内容や訓練内容と電子機器を用いた学習方法との親和性の高さが明らかとなったことで、様々な分野において広く活用されるようになったのです。

ビジネスシーンにおけるeラーニング

ネットワークを通じてリアルタイムで教師対学習者や学習者相互間のコミュニケーションを図ることができるeラーニングは、教材の郵送などによって行われている従来の通信教育とは違い、理解力を深め、モチベーションを保つことに対して大きな効果を発揮しました。
そして多数の学習者を数名の指導者を教育する教育一括管理システムにより、教育コストの大幅な削減をも実現させたのです。
学習機会を平等に提供することのできる学習システムと人件費の削減効果に大きな魅力を感じた経営者や人事担当者は、集合研修(集合教育)に代わる新しい学習形態として積極的にeラーニングを取り入れていきました。

利用効果が高まり続けるeラーニング

ネットワークを活用したeラーニングがビジネスに活用されるようになった当初、その多くはパッケージ化されたLMSを自社のサーバーに導入してシステム管理者が管理を行うという形態をとっていましたが、特徴や使用方法、メンテナンス方法などの製品知識や高度な管理能力を必要とするオンプレミス型(自社サーバー型)のLMSは企業にとって大きな負担となるため、システム管理に強い人材を保有し、高い導入効果が見込める大企業でしか活用されることはありませんでした。

しかし、ネットワーク回線を通じて送受信することのできるデータ容量が増えたことにより、この状況は大きく変わることとなりました。
企業内に設置されているサーバー内にシステムやデータを保管するのではなく、LMSを開発した企業が運営会社としてシステムアップデートやデータの管理を行うクラウド型LMSが次々に登場し、中小企業におけるeラーニング導入のハードルが大きく下がることになったのです。

e-ラーニング活用のメリット

eラーニング導入によって企業内の学習環境は大きく変化します。
導入するLMSの機能を最大限に活用することにより、学習者である従業員と提供者である企業は多くのメリットを受けることが可能となるでしょう。

学習者(従業員)視点

従業員自ら学びたくなる学習環境を構築し、維持していくためにも、学習者側がeラーニングによって得ることのできるメリットを提供者側が理解しておく必要があります。
eラーニングが学習者に与えるメリットとして次のものがあげられます。

時間と場所を選ばない

通常の研修を実施するには指導者や研修場所などの準備を要するため、日時や場所について細かい設定が行われます。
しかし、日々の業務に追われてしまい研修日時に合わせた業務調整を行うことのできない従業員は、自分の業務内容に対する理解度の確認や更なるスキルアップを行いたいと思っても気軽に研修に応募することができません。
それに対し、eラーニングであれば業務と業務の間に生まれた僅かな時間や余暇時間を活用することによって自分のペースで学習を行うことができるのです。
『いつでも』『どこでも』学べるという学習環境は、eラーニングが学習者にもたらす一番のメリットといえるでしょう。

時間を有効活用することができる

従来の集合研修や社外研修の場合、専用の会場に移動して研修を受けることが多かったため、受講者は時間をかけて会場まで移動する必要がありました。
しかし、eラーニングであればそのような移動時間を必要としないため、余計なタイムロスを発生させることなく時間を有効活用することが可能となります。

使い慣れたデバイスを使用できる

学習用機器の新規導入や変更は、学習者に対して抵抗感やストレスを与え、使用方法をマスターするためにかかる時間も大きなロスとなってしまいます。
ですが、マルチデバイスに対応したLMSであれば普段から使用しているパソコンやモバイル端末を使用して学習することができるため、直感的に理解し、すぐに学習に取り掛かることが可能となるのです。
日常生活の中で慣れ親しんだデバイスに触れる機会は多いため、自然と学習機会の増加にも繋がっていきます。
学習者が気軽に扱えるデバイスを使用して学習できるというメリットは想像以上に大きなものとなるでしょう。

知識の定着やスキルアップに有効である

企業が従業員に対して積極的に受講を進める研修や講座の学習内容は新たな知識の獲得を目的としたものが多く、すでに保有している知識や学習内容の見直しを行う、復習を目的とした学習機会はほとんど用意されません。

学習者は一度学んだ内容について再び学習する機会を設けてもらうことに抵抗を感じているため自発的に申し出ることができず、経営者や人事担当者は効果的なスキルアップを行うためにその前提条件となる知識やスキルの定着が必要だということを理解しているものの、どれだけの学習機会を提供すれば十分なのかという判断が行うことができない。
時間という限りある資源を効果的に活用したいがために復習機会を作り出すことができなかった両者に対し、最善の選択肢として登場したのがeラーニングでした。

自分の望むタイミングで振り返り学習を実施することができ、納得できるまで何度でも繰り返して学ぶことのできるeラーニングは最高の復習ツールでありスキルアップツールであるといえるでしょう。

必要な時に必要な情報を入手できる

eラーニングが得意とすることは、復習やスキルアップだけではありません。
業務に関する様々な情報やノウハウを分かりやすく整理し、従業員の誰もが自由に閲覧できるデータとして公開しておくことにより、業務や学習内で生まれた疑問や課題を自分の力で解決させることが可能となります。
また、掲示板やチャットなどの情報交換ツールを通じて個人の努力だけでは解決できない問題を共有することによって、問題解決の糸口を掴み、問題解決に向けた協力者を得ることができるでしょう。
取り扱うLMSの特性を企業側が正しく理解し、従業員に周知することにより、eラーニングの効果は最大化されるのです。

自己分析が容易に行える

学習を成長に繋げるためには自己分析が欠かせませんが、自身の学習に対する評価を行うには相応の準備と手順が必要となるため継続することが難しく、その手間ゆえに志半ばで挫折してしまうことも少なくありません。
しかし、学習履歴を記録することができるタイプのeラーニングシステムであれば、学習成果や進捗度をグラフや数値など可視化した状態で表示してくれるため、学習内容に対する自己評価の負担を大きく軽減することが可能となります。
ドリルや小テストの点数の推移だけをチェックするだけではなく、自分の得意分野と苦手分野を正しく理解することにより学習効率は大きく上昇し、学習効果を実感した学習者のモチベーションは更に高まっていくことでしょう。

多くのフィードバックを受けられる

集合研修では指導者から個人的に指導やアドバイスを受ける機会が少ないため、消極的な受講者であれば自身の学習理解度や達成度を正しく判定できず、研修中に生まれた疑問も解消できないまま実務に戻るということも起こりえます。
しかし、そのような状態では自信を持って業務に取り掛かることができず、業務効率の低下や自信喪失を招くことにもなりかねません。
それに対し、ネットワークを使用したeラーニングであれば個別ケアが簡単に行えるため、学習者はどのような疑問であっても気軽に尋ねることが可能となります。
その重要性を十分に理解した指導者によって行われる適切なフィードバックは、学習者の安心感と理解に対する自信を高め、学習意欲や業務の質を向上させていくのです。

提供者(企業)視点

eラーニングには導入や運用に際して必要となるコストや手間に見合うだけの魅力的な効果を期待することができます。
導入した企業に対してeラーニングが与えるメリットとして次のものがあげられます。

経営資源を有効活用することができる

eラーニングを導入することにより、指導者は研修会場に足を運ぶことなく自身の業務を進めることが出来るようになります。
また、教材のデジタル化によって印刷用紙の使用量を大幅に激減し、保有率の高いデバイスを学習機器として流用することで新たな設備投資を限りなく0に近づけます。
教材費や会場レンタル料、交通費などのコスト削減は経営に余裕を与え、企業が独自に制作したコンテンツやネットワークを通じて配信された情報は既存社員だけでなく今後入社してくる全て社員にも共有することのできる大切な資産となるでしょう。
このようにeラーニングは『人』『物』『金銭』『情報』からなる経営資源全てを有効に活用することができる素晴らしいツールなのです。

常に最新の知識や技術を教えることができる

紙媒体による学習の場合、提供している情報に変化があった際にその都度印刷して再配布する必要があるため、提供者と学習者双方にとって大きな負担となってしまいます。
しかし、デジタルコンテンツであれば追記や修正が容易であり、その変更内容を即座に学習プログラムに反映させることができるため、全従業員に対して常に最新の知識や技術を提供することが可能となるのです。

一部の選出された従業員だけではなく全社員が最新の情報を保有していることは、グローバル社会を生き抜く上で大きなアドバンテージとなります。
その優位性を活かして組織が一体となって活動を行うことにより、更に高い目標を達成できる強い組織へと成長していくことができるでしょう。

学習以外にも応用が利く

コンテンツという形式で様々な知識や情報を共有することのできるLMSですが、このネットワークを利用して企業運営に関する重要事項や緊急周知を求められる事項を配信することにより、全従業員にリアルタイムで発信することが可能となります。
この際、導入しているLMSに配信された情報に対しての既読機能が備わっていれば対象者が正しく情報を受信したことを確認できますし、レスポンス機能が備わっていれば配信内容について正しく理解したことを確認することができます。
このようにLMSを優秀な社内ネットワークツールとして活用することで、更に企業内における情報共有環境は充実したものとなるでしょう。

学習機会を平等に提供できる

eラーニングは特別な学習用スペースを必要とせず、指導者や教育係が側についていなければいけないといった人員要件もないため、理屈上は学習対象人数に制限をかけることなく実施することができます。
また、教育研修などのように定められた日時に実施されるものでもないため、夜勤やシフト制による不規則な勤務形態をとっている企業であっても、全従業員が自分のタイミングで学習を実施することができるのです。

コンテンツの種類と難易度を幅広く用意すれば、様々な部署や役職に適した学習プログラムを作成することができますし、自分で学習内容を選択できるeラーニングであれば中途採用者や既存社員など一定の知識と技術を保有している人たちであっても、新卒社員や新入社員などが学ぶ内容と同様の基礎学習を選択することで、自発的に振り返り学習を実施することができるでしょう。

このように、eラーニングの導入により『人数』『学習時間』『学習内容』という3つの要素が改善されることで、全従業員に対して学習機会を平等に提供することが可能となるのです。

様々な学習内容を提供できる

eラーニングの特徴の一つとして、コンテンツのバリエーションが豊富であるということがあげられます。
文章などのテキスト形式であれば要点を分かりやすくまとめることで学習効率を高めることができますし、音声形式を使用したリスニング学習であればイヤホンやヘッドホンを使用することで周りの環境を気にすることなく空き時間を利用して学習することができます。
また、文字や音声では説明できないような技術的な要素についてもビデオ教材による映像学習でカバーすることができるのです。

学習効果の把握が容易

どれだけ優れた学習教材を用意したとしても、利用者が正しく活用していなければ効果が薄まってしまいます。
そのような状況を放置したままにしてしまうと、学習効率だけではなく学習者の学習意欲をも低下させ、自信を喪失させてしまうことにもなりかねません。
しかし、学習者一人一人の成績情報や学習履歴をLMSの管理画面上に表示させることで、『誰が』『どの段階で』躓いてしまっているのかということを明確にすることができます。
現在サポートを必要としている学習者の確認と躓いてしまった原因の洗い出しを迅速に行うことで、問題の深刻化を未然に防ぐことが可能となるでしょう。

e-ラーニング活用のデメリット

eラーニングの導入が企業と学習者双方に対し、多くのメリットを与えてくれることが分かりました。
しかし、いくらeラーニングが優れたシステムであったとしても無数にある学習要素の全てを補えるわけではないため、デメリットといえる部分も存在します。
企業はeラーニングが苦手としている分野を正しく理解し、対策方法を検討した上で導入していく必要があるのです。

学習者(従業員)視点

学習者に対するeラーニングのデメリットとして次のものがあげられます。

学習用電子機器とネットワーク環境を必要とする

eラーニングはこれまでの紙媒体を使用した学習とは異なり、デジタルコンテンツを活用した学習方法であるため、そのコンテンツの再生や閲覧が行える電子機器を持っていなければ学習することができません。
また、情報共有や最新コンテンツの配信、フィードバックなどの機能を受ける場合には一定以上の通信速度を保つことのできるネットワーク環境が必要となるため、従業員各自の生活周辺環境によって学習環境に大きな差が発生してしまいます。

モチベーションの維持が難しく、学習者の資質に大きく左右される

LMSの掲示板機能やコミュニケーション機能を通じ、継続するためのモチベーションを得ることはできますが、学習に対する最初の一歩を踏み出すのは学習者自身であり、向上心やチャレンジ精神、継続力などの本人の資質に大きく左右されるため、どれだけ平等に学習機会を提供したとしても均一な学習効果を得ることはできません。 そのため、eラーニングは必ず効果判定とセットとして扱い、必要に応じて適切なフォローアップを行う必要があるのです。

人的ネットワーク構築の機会が減少する

人的ネットワークを構築するためにはコミュニケーションとスキンシップが欠かせませんが、文字だけのコミュニケーションでは繋がりを意識することが難しくスキンシップを取ることもできないため、その場限りの関係に終わってしまいがちとなってしまいます。
この状況を改善するため、点々とした突発的な関係から長期間に渡る線のような関係へ発展させることを目的としたグループワークなどの要素をLMSに盛り込んでいく必要があるでしょう。

技術スキルに対する自信を持つことが難しい

eラーニング学習に使用するコンテンツには文章だけではなく音声や映像など様々な種類がありますが、その学習効果を確認するためのドリルや試験の解答方法のほとんどは文字入力か選択式となっています。
しかし、このような解答方法は実技などの学習効果の測定には不向きであり、自主学習の成果を確認したい学習者の要望に対して十分に応えることができないのです。 そのため、技術スキルについては指導者が作業を直接確認し、評価を行う必要があるでしょう。

適切な教材がないと効果的に学習をすすめることができない

学習者は予め用意された学習プログラムやコンテンツから選択して学習を行うことになります。
eラーニングのメリットとして学習内容の選択の自由が存在しますが、それは裏を返せば『決められた選択肢からしか選ぶことができない』ということでもあるのです。
そのため、求めている情報がどの学習プログラムに含まれているのかが分かりにくいシステム設計となっていた場合、学習者は一つ一つプログラムの内容を確認しなければならなくなってしまいます。
また、学びたい内容が用意されたコンテンツ内に無かった場合、学習者はLMSではない別の媒体を通じて学習を行わなければならず、その学習ペースは著しく低下してしまうでしょう。
学習者が効果的に学習を行えるようにするため、提供者側は学習内容の充実と整頓に努めなければならないのです。

提供者(企業)視点

提供者に対するeラーニングのデメリットとして次のものがあげられます。

学習に対する強制力が弱い

集団研修や講座などの対面式学習には環境的影響と精神的影響による強制力があるため、学習意欲の低い従業員や継続力のない従業員であっても一定の学習効果を見込むことができます。
しかし、実施するタイミングや回数などの重要な要素を個人の判断に委ねてしまうeラーニングの場合、強制力の弱さが学習効果のムラとして表面化することがあるのです。

この状況を改善するために学習期限や最低学習回数、テストにおけるボーダーラインなどを細かく設定したくなるところではありますが、学習方法に関する詳細なルール化はeラーニングの持つ多くのメリットを弱めてしまうため、容易に行うべきではありません。
自由度と強制力のバランス調整は、eラーニングを提供する全ての企業にとって重要課題の一つとなるのでしょう。

技術スキルなど実技に関する学習効果の確認が難しい

学習者に対するデメリットとしてあげられた技術スキルの評価の難しさは、提供側にとっても大きなデメリットとなります。
ネットワークを通じて行えるチェックや評価には限界があるため、技術的な内容を含んだ学習コンテンツを扱っている場合には実技に関する学習効果の確認を指導者が直接行う必要性が生まれますが、この部分を正しく理解していないままeラーニングを導入した企業にとっては予想外の負担が発生してしまうのです。
企業に導入する際には、eラーニングが実技系の学習を苦手としていることを理解した上で学習コンテンツを組み立てていく必要があるでしょう。

グルーピング力が弱く、仲間意識が育ちにくい

グループダイナミックス(Group dynamics=集団力学)は集団が一つの場所で同じ目的に向かって努力することにより生まれる相乗効果であり、集団研修のメリットの一つです。
それに対し、各自のペースで学習を行うeラーニングの学習環境は孤立しやすいものとなっており、情報共有やコミュニケーションをフルに活用したとしても仲間意識を育成するまでには至りません。
eラーニングを通じて学習内容や目標設定の近い従業員のグルーピングや仲間意識の育成を行いたい場合には、提供側からの積極的な関与が必要不可欠となるでしょう。

LMSやIT関連の知識が必要

LMSのクラウド化によりeラーニングの導入と運営に対する企業負担は以前に比べて小さなものとなりましたが、管理画面の操作やコンテンツの追加、修正を行うにはLMS本体に対する知識だけではなくIT用語などの関連知識も求められるため、システム管理者を設定していない企業の場合、LMSを管理することのできる人材を1から育成する必要が出てきます。
また、パソコンなどのデジタル機器をこれまで業務内で使用してこなかった企業は、LMSを管理するためにIT環境を構築しなければならなくなります。
デジタルコンテンツを使用して学習することによって生まれるメリットを享受するためには、いくつかの前提条件をクリアしておく必要があるのです。

適切なコンテンツが無い場合には独自に用意しなければならない

次々に新しいLMSが登場することによって、企業は自社に合った学習環境を構築できるLMSを選択し、導入することが可能となりました。
しかし、自社の従業員が必要とする学習コンテンツが最初から全て揃っているLMSはほとんど存在しないため、不足しているコンテンツについては自社で独自に用意しなくてはなりません。

追加コンテンツを自社で制作する場合、LMSで使用することのできるコンテンツ規格などの更に高度な知識が求められるため、専門的な知識と技術を要する人材が不可欠となります。
また、外部にコンテンツの制作を委託する場合には、発注コストの発生によって負担が増加するだけではなく、希望する内容を正しく伝えるための打ち合わせに多くの時間を要することになります。
このように、eラーニングが企業内人材の特性と質によってランニングコストに大きな差が出てしまう学習方法であることを正しく理解した上で導入する必要があるでしょう。

リアルタイム性と指導者の時間確保のバランスが難しい

eラーニングにおけるフィードバックのリアルタイム性は学習環境の提供方針に委ねられています。
よりスピーディーにフィードバックを返すことで学習者のモチベーション向上を目指すためにはLMSの管理画面や通知連絡を常に指導者がチェックできる環境を構築しておく必要があり、指導者自身の時間を有効に活用するためには一定の時間毎にまとめてフィードバックを返すことが望ましいと考えられています。

この相反する条件を上手く調整しなければ、eラーニングという学習方法を継続して活用していくことが難しくなってしまいます。
eラーニング導入によって指導者を含む全従業員が正しくメリットを享受することができるよう、提供者側は組織全体に意識を向けて学習環境を構築する必要があるでしょう。

学習者に対する評価をデータに頼ってしまう傾向がある

eラーニングは多くの従業員に対する学習機会の一斉提供を可能にします。
しかし、それは同時に評価対象者の急増という形で指導者に負担をかけることになるのです。

一人の評価にかけられる時間が減ってしまった指導者の中には、LMSによって分かりやすくリスト化された学習履歴や成績などのデータだけを評価対象として人材育成全体の評価を行ってしまう人もいるでしょう。
ですが、学習者自身の思いや目標意識を加味しないまま行う人材育成評価では学習内容に対する表面的な助言やアドバイスしか行うことができず、目標と行っている内容のミスマッチに対する指摘や今回の学習経験を次回に活かすといった長期育成計画の構築を実施することができません。
学習効果を単発で終わらせてしまうような評価方法ではなく、積み重ねながら長期的視野で人材を育成していく評価方法を構築することによって、人材育成戦略の一環としてeラーニングを活用することが可能となるでしょう。

企業向けe-ラーニングサービスの広がり

大学生や受験生などに向けた総合学習向けサービスとして活用されてきたeラーニングですが、ブロードバンドネットワークの拡大と速度向上、コンテンツの多様化などの背景に伴ってビジネスシーンへ活用の場が広がっていきました。
では具体的に、eラーニングやLMSを取り入れることによって企業はどのような場面で活用することができるのでしょうか。

内定者フォロー

企業と人材は採用試験を通じてファーストコンタクトを取ることになります。
しかし、応募書類や面接内容から企業側は応募者の詳細について知ることができますが、一方の応募者は企業側の反応を意識した上での質問しか行うことができず、詳しく知りたい部分や興味を持っている内容について納得がいくまで情報を得ることが難しいため、コンタクトといっても相互理解を図る土台としての効果は弱く、その実情は一方的なものとなっているのです。

そのような内定者(採用決定者)に対して会社への理解を高め、入社に際しての不安を払拭するためのフォローアップや、ビジネス全般や業界内の基礎知識、PCスキルの取得などの学習内容を提供することに特化したeラーニングサービスも数多く存在します。
適切なサポートにより企業理解が深まった内定者は、入社後に企業とのエンゲージメントを高めていってくれることでしょう。

【関連】内定者フォロー、正しくできていますか?内定辞退を減らす方法とは / BizHint HR

企業研修

eラーニングのイメージとして一番にあがるのが、この企業研修としての活用方法でしょう。
そのような背景を受け、eラーニングには更なる学習の効率化と学習効果の上昇、学習画面や管理画面など、シンプルで分かりやすいユーザーインターフェイスが求められているのです。

優れたシステム構築は、学習者の学習意欲と企業の導入意欲に直結します。
各企業が全力を注いで制作したLMSはいずれも使い勝手の良いものとなっており、自社の人材育成計画をサポートしてくれる素晴らしいパートナーとなってくれるでしょう。

企業運営に関するトータルサポート

今やLMSに求められているのは人材の育成だけではありません。
自分のペースで学ぶことのできる学習環境とフィードバックを提供することはできたけれど、その学習データを企業運営にうまく活かすことができないという経営者の悩みを解決するため、eラーニングを独立した学習方法として扱うのではなく、人事計画やタレントマネジメントと連動させて扱うことによって組織全体を見渡すことのできるトータルサポートシステムが次々に誕生しているのです。

eラーニングシステムを機能の一部として取り込むことによって人材育成計画や人事配置、企業目標の達成など性質の異なる複数の要素をシームレスに連携させることが可能となったトータルサポートシステムは、人事担当者のみならず、経営陣にとっても導入効果の高いシステムだといえるでしょう。

種別毎のe-ラーニングサービスまとめ

『内定者フォロー』や『企業研修』、『企業運営に関するトータルサポート』と多方面から組織運営を支えてくれるLMSですが、その種類の多さゆえ自社に合ったサービスを選択することが難しいといった声を耳にすることがあります。
企業へのeラーニング導入を検討する際に参考となるよう、6社9種のLMSを導入目的別に整理して紹介致します。

内定者フォロー

内定者フォローを目的としたeラーニングサービスには以下のようなものがあります。

内定者フォロー・研修SNS「内定者パック」 / 株式会社プロシーズ

http://www.naiteisha.jp/

コンテンツの制作や販売、ASP配信などのeラーニング事業を中心に、企業の次世代を担う人材の育成に関する事業に力を入れている株式会社プロシーズでは、内定者フォローに特化した『内定者パック』というサービスを提供しています。

『内定者パック』は内定者と企業の繋がりだけではなく、内定者同士の繋がりも意識して制作されており、掲示板機能では全国の内定者が互いの投稿を確認し、『いいねボタン』によって投稿内容に興味を持ったという意思表示を行えるようになっています。
また、入社前の学習支援コンテンツとして、ビジネスマナーや文章力といったビジネス基礎に関するものだけではなく、ExcelやWordなどOFFICE系ソフトの基礎学習、プログラミングや画像加工技術、簿記や医療事務といった専門的なスキルまで幅広く提供しているため、内定から入社までの期間を利用して内定者たちは積極的なスキルアップを図ることが可能となっています。

内定者フォローツール アルフラーニング フレッシャーズ / 株式会社D2C

http://alfcloud.com/alfreshers/

株式会社D2Cが提供するクラウドサービス『アルフラーニング フレッシャーズ』の最大の特徴は初期費用と月額費用を一切必要とせず、1ID発行毎に5000円加算するという低価格設定にあります。
25000円を最低利用金額としているため、内定者数が5人未満となる企業においてはその低価格性を活かすことができませんが、5~10数人といった小規模で運営したい企業にとってはコストパフォーマンスに優れたLMSであるといえます。

サービス内容についても充実しており、掲示板機能や学習機能はもちろん、企業独自のコンテンツや動画を追加することもできるため、より実務に即した学習コンテンツや企業内で行われたレクリエーションの動画などを配信することによって、入社前の段階から企業の一員としての実感を与えることが可能となります。
また、運営会社である株式会社D2C がNTTドコモと電通のグループ会社ということもあり、ネットワークの安定性や人材育成ノウハウには大きな期待と信頼を寄せることができるでしょう。

内定者向けeラーニング~STUDIOフレッシャーズ~ / ミテモ株式会社

http://www.mitemo.co.jp/studio/fresher.html

ミテモ株式会社は、社名に込めた『みることから学ぶ』という思いを業務内容にも反映させており、映像やスライドショーなど様々な視覚効果を活用したコンテンツの制作を行っています。
視覚学習のノウハウを存分に活かした映像教材視聴サービスの『STUDIO』を内定者向けにパッケージ化したものが『STUDIOフレッシャーズ』。
初期費用が32400円かかってしまうものの、1IDの発行は3240円と低価格になっている上、発行ID数によって最大で28%の割引が受けられるという特典もあるため、一定数以上の内定者を抱える企業にとっては非常にコストパフォーマンスの良い選択肢となるでしょう。

また、多くの内定者フォローLMSが入社年の6月前後までの利用となっているのに対し、『STUDIOフレッシャーズ』は入社年の翌年4月までの利用が可能となっているため、内定者たちが入社後も焦ることなく自分のペースで学習を積み重ねていくことができるというのも大きな魅力でしょう。

企業研修

企業研修を目的としたeラーニングサービスには以下のようなものがあります。

LMS(学習管理システム) LearningWare / 株式会社プロシーズ

http://www.pro-seeds.com/lms/

内定者向けLMS『内定者パック』を提供している株式会社プロシーズは、既存職員を対象としたLMSとしてLearningWare(ラーニングウェア)を提供しています。

LearningWareではライブ配信機能による1人対多人数のリアルタイム学習を行うことができますが、一般的な集合研修とは違い研修用のスペースを確保する必要が無いため、対象人数を無制限に増やすことができる上、教育コストの大幅な削減という効果を得ることができます。
その際、ライブ配信映像を動画コンテンツとして記録しておくことにより、その時間帯に学習することのできなかった従業員に対するフォローアップや振り返り学習の機会提供など更にワンランク上の教育環境を構築することも可能です。

また、自社開発であるという強みを活かし、各企業に合わせて細かくカスタマイズを行うことができるというアピールは、自社にマッチしたLMSを探し求めている企業にとってLearningWareを選択する決定打となりうるでしょう。

クラウド型LMS(eラーニングシステム)eden LMS / くらふとわーくす株式会社

https://lms.eden.ac/

くらふとわーくす株式会社が提供するeden LMSは、初期費用をかけることなく1ヶ月という短期間から使用することのできるクラウド型eラーニングシステムです。 eden LMSの一番の特徴はワープロソフトを操作する感覚で扱うことのできるコンテンツ作成機能であり、パワーポイントやPDFデータの流用はもちろん、Excelのデータ形式によるコンテンツの一括作成にも対応しているため、一定以上のパソコンスキルを保有している人であれば誰もが気軽に追加コンテンツを作成できるようになっています。

イニシャルコストだけではなくランニングコストも抑えることのできるLMSはまだそれ程多くないため、eラーニングの導入に二の足を踏んでいる中小企業にとってeden LMSは魅力的な選択肢であるといえるでしょう。

多言語&API~LMS(eラーニングシステム)【Platon】 / ロゴスウェア株式会社

https://platon.logosware.com/

ロゴスウェア株式会社は、管理者の満足と受講者の満足を両立させた本格派eラーニングシステムとしてPlatonを提供しています。

Platonは進捗管理こそがeラーニングの要であるという考えの下、講座の受講状況の把握やテストの成績、学習進捗状況などのありとあらゆる情報を分かりやすく管理画面に表示してくれます。
また、受講者の学習効果を最大限に高めるため、一般的なテキスト形式や音声、動画などに加えてデジタルブック形式でのコンテンツの配信も可能としていることも大きな特徴です。

標準で日本語、英語、中国語(繁体語・簡体語)、タイ語、スペイン語の5ヶ国語に対応している上、任意の言語を表示させるためのテキストファイルを追加することによってどのような言語にも対応することができるPlatonは、グローバル化によって多国籍人材を抱えている企業の強い味方となってくれるでしょう。

企業運営に関するトータルサポート

トータルサポートを目的としたeラーニングサービスには以下のようなものがあります。

サムトータルシステムズ株式会社

http://japan.sumtotalsystems.com/

サムトータルシステムズ株式会社は、ラーニングを主軸とした人材育成ソフトウェアの独立系専業ベンダーであるサムトータルシステムズの日本法人として、SumTotal LearnというLMSを提供しています。

これらのシステムを既存のコアシステムと連動させることによりシームレスに活用することもできますが、LMSと共に提供されているタレントマネジメントシステム(TMS)やワークマネジメントシステム(WMS)と連動して使用することによって、これまで以上に深いレベルでの人材育成戦略や組織運営戦略の組み立てが可能となるでしょう。

e-ラーニングが組織に与える多くの影響

eラーニングは学習コンテンツの切り替えや追加によって学習内容を変化させることが容易であるため、新入社員のみならず既存社員の社員教育にも活用することができます。
また、時間と場所を選ばない学習自由度の高さは、学習意欲を持つ全従業員に対して平等に学習機会を与えることのできる理想的な学習環境の構築へと繋がります。

しかしその一方、実技などのテクニカルな学習内容については学習効果という点で直接指導に劣り、集団効果によるモチベーションの向上や人的ネットワークの構築とった点では集団研修に劣るなど、完全に従来の人材育成方法から移行させるには不十分な要素がいくつも存在しているため、LMSの持つ特性や機能に対する企業側の理解なくしてeラーニングを活用することは難しいというのが現状です。

eラーニングの効果を最大限に高めるために

全ての学習内容をeラーニングに任せてしまうのではなく、実技に関する学習内容については職場内研修であるOJT(On-the-Job Training)や集合研修の復習を行うために活用するといったブレンドラーニング(blended learning=ブレンド型学習)の手法を取り入れたり、学習プログラムの一部は必須、それ以外は自由選択といった強制力と自発性のバランスを取るための工夫をすることによって、eラーニングを用いた学習の効果はより大きなものになっていくことでしょう。

導入側の努力や工夫があってこそ、従業員たちはeラーニングによる学習を通じて人財へと成長していくことができるのです。

まとめ

  • eラーニングは時間と場所を問わずに自分のペースで学ぶことのできる学習方法であり、複雑な勤務形態によって一斉学習の場を設けることが難しい企業の救世主である
  • LMSのクラウド化により、システム管理を得意としない企業でもeラーニングを容易に導入できるようになった
  • eラーニングをOJTや集団研修などの人材育成手法と組み合わせることで、更なる学習効果の向上を期待することができる

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