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レジリエンス

2021年6月16日(水)更新

労働環境の悪化や複雑な人間関係、政府が推進する「働き方改革」、経済のグローバル化などにより、労働者を取り巻くビジネス環境はより複雑化しています。これらの環境変化への適応能力として、注目を集めているのが「レジリエンス」です。今回はレジリエンスの意味や必要とされる理由、特徴、組織・労働者両方の視点からご紹介いたします。

目次

レジリエンスとは?

近年、レジリエンスという言葉は心理学だけでなく、経営学や組織論、幸福学などの分野において、広く使われるようになりました。レジリエンスの意味や語源、注目されるようになった背景、具体的な事例を知ることで、理解を深めることができます。

レジリエンスの意味とは?

レジリエンス(resilience)とは、跳ね返り、弾力、回復力、復元力という意味を持つ言葉です。ストレス(stress)と共に、物理学の分野で使われていた言葉でしたが、近年では個人・組織ともに通用する「さまざまな環境・状況に対しても適応し、生き延びる力」として使われるようになりました。心理学の分野だけでなく、組織論や社会システム論、さらにはリスク対応能力、危機管理能力としても広く注目される用語でもあります。

日本社会においては、90年代のバブル崩壊以前と以降では会社や家庭のあり方、経済動向など全てが異なる状況となりました。ビジネスの世界では成果主義を前提とした人事評価への移行により、多くのストレッサー(ストレスの元となる外部の刺激)を受けて、心に何らかの歪みが生じる機会はどんどん増加しているといえます。そのため、これらのストレスや歪みから跳ね返って回復できる力、『レジリエンス』が近年注目を集めています。

レジリエンスという概念は、ナチス・ドイツによるユダヤ人の大虐殺行為「ホロコースト」で生まれた孤児への追跡調査がきっかけといわれています。元孤児の中には、過去のトラウマや恐怖の記憶から立ち直れず、生きる気力を見出せずに不幸な人生を送っている人々がいる一方、トラウマを乗り越えて仕事に就き、幸せに生きている人たちもいることが判明しました。そこで調査を進めていくうちに、逆境を乗り越えた人たちは、困難な状況に圧し潰されることなく、「状況に準じて生き抜く回復力」を持っていることがわかりました。この調査結果により、レジリエンスという言葉が広く普及したとされています。

レジリエンスが注目された背景

近年、レジリエンスが注目される背景として、「労働環境の変化」が挙げられます。

厚生労働省が発表した「平成28年度 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」の「(2) 仕事や職業生活に関する強いストレス」では、仕事や職業生活において、強いストレスを感じるという労働者の割合が59.5%まで及んでおり、前年度の55.7%から増加傾向にあります。また、ストレスの原因として挙げている割合は、仕事の質・量、仕事の失敗・責任の発生、セクハラやパワハラを含む対人関係が多くなっています。

この調査結果からも現代のビジネスパーソンは強いストレス状況にさらされる機会が多くなっており、これらストレスに適応、回復できる能力としてのレジリエンスが必要と判断されるようになったと考えられます。

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