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2017年7月5日(水)更新

マイナンバー制度

「マイナンバー制度」とは、日本国民である全ての人に固有のナンバーを付与することで、税金や社会保障制度などにおいて行政での手続きを簡略化し、利便性を高めるために導入された制度です。導入されて以降、会社では従業員のマイナンバーを手続きの際に使用することになったため、マイナンバーを保管することが義務となりました。金庫や鍵のかかる引き出しなど、個人情報の厳重な管理が必要となったため管理体制についても注目されています。

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1.マイナンバーとは?制度と目的

マイナンバー法が施行され、すべての企業に、マイナンバーへの対応が求められています。はじめに、制度の概要と実施される目的を理解しておきましょう。

マイナンバー制度の概要と目的

マイナンバーとは、日本国内に住民票があるすべての人に与えられる12桁の個人番号です。国民全員に生涯不変の番号を振り、国民を「マイナポータル」という仕組みでデータ統制する制度を定めているマイナンバー法は、正式には「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」といい2013年に成立しました。2015年10月より番号通知が開始され、2016年1月より運用がスタートしています。

一度与えられたマイナンバーは原則、生涯にわたって変わらないため、番号だけで個人を特定することができます。これまで公的機関では住民票コード、基礎年金番号、健康保険証の番号など各機関が様々な番号を使って個人情報を管理しており、情報の連携ができていなかったために時間と労力がかかっていました。マイナンバー導入により、社会保障、税、災害対策の分野において、効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であると確認できるようになります。

企業は2016年1月より、源泉徴収票をはじめとして、対象となっている各種の届けや書類等にマイナンバーを記載する義務があります。事業規模にかかわらず、すべての企業がマイナンバーを取り扱うことになります。

2.マイナンバー制度で何が変わる?メリット・デメリット

マイナンバー制度がスタートし、個人や企業にどのような変化があるのでしょうか。メリット・デメリットの観点から具体例をみていきます。

マイナンバー制度のメリット

行政の効率化

これまでは、行政手続きを行う際、複数の機行政関で必要書類の提出や取得をしなくてはならない煩雑さがありました。これは各機関に横のつながりがなく、個人情報を照合するための書類が必要だったためです。

マイナンバーを利用すれば各機関でのデータ共有が可能になります。利用者にとっては、用意する書類が減ったり1カ所で手続を完了できたりと、行政手続きにかかっていた手間や時間を削減できるメリットがあります。

行政においても業務の効率化とコスト削減を実現できます。その分のリソースを他のサービスに当てることで、公的機関のサービス向上につながることも期待されています。

国民の利便性の向上

マイナンバー制度の導入にあわせ、個人番号カード(マイナンバーカード)や「マイナポータル」(情報提供ネットワークシステム)といった付随するサービスも段階的に実施(または実施予定)されています。

個人番号カードは本人の申請に応じて交付されます。個人番号、住所、氏名、生年月日、顔写真が記載されたカードで、公的な身分証明として利用することができます。ICチップが搭載されており、利用者の利便性をはかるサービスを順次拡大していくほか、将来的には公的個人認証サービスを利用した民間企業における利用拡大が見込まれています。

現在検討されている具体例では、オンラインバンキングや携帯電話の申し込みなど厳密な個人認証が必要な場面で個人番号カードを利用するというものが挙げられます。また、情報の一元化により、引っ越し時に必要だった住所変更や電気、ガスの手続きなどを官民横断のワンストップで行えるといったサービスも検討されています。

マイナポータルは、自身の個人情報の確認や各種手続をインターネット上で行えるシステムです。自宅のパソコンから、ICカードリーダーでマイナンバーICカードを読み取ってポータルサイトにログインします。データの安全確保のためにICカードに公開鍵を格納しているのですが、ICカードやICカードリーダーが必要である点などスマホやタブレット端末での利用には不便な気もしますね。マイナンバーの付いた自分の情報をいつどことやりとりされたのか、行政機関が保有する自分に関する情報、行政機関からの必要なお知らせなどを確認できます。マイナンバーを利用した電子政府であり、マイナンバーの利便性をもっとも実感できるシステムですが、当初2017年1月からの利用開始予定が、準備の遅れを理由に、2017年7月からに延期されました。

災害時の迅速な対応

災害が起きたときには、要支援者の情報を速く正確に把握する必要があります。マイナンバーを利用することで、個人情報の照合や被災者台帳の作成を行いやすくなります。被災者生活再建支援金などの行政支援においても、迅速かつ適切に受けられるというメリットが挙げられます。

マイナンバー制度のデメリット

個人情報流出・不正利用への懸念

マイナンバーには社会保障や税、災害分野における様々な個人情報が集約されます。利用者に様々な利便性が生まれるマイナンバー制度ですが、同時に、情報が流出した場合のリスクは高いものになります。

このリスクを回避するため、マイナンバーの管理においては個人情報の一元化をせずに分散管理の仕組みを用いて、必要なときに情報連携を行う方法を採用しています。万が一情報が漏れた場合にも、芋づる式に情報を抜き出すことができないよう、措置が講じられています。また、「なりすまし」などの悪用を抑止するため、マイナンバーを伝えるだけでは本人認証をできないよう、不正行為を防止する措置もとられています。

個人がセキュリティの意識を持つことはもちろんですが、マイナンバーを取り扱う企業は、制度をしっかり理解し、正しく対応しなくてはなりません。

その他、マイナンバー制度には、国民の幅広いプライバシーを国家が束ねる仕組みへの懸念、憲法が定める人権へのインパクトがあります。税浪費の公共事業ではないかといった批判もあるところです。

3.マイナンバー制度で企業が行うべき対応とは?

社会保障や税分野の各種手続きを行う際に、企業は従業員などのマイナンバーを記載する必要があります。個人情報を含むマイナンバーは、適正な取り扱いが求められます。どのような対応が必要となるのか、具体的な進め方をみていきましょう。

マイナンバーが必要な手続き

マイナンバーの利用はマイナンバー法によって厳しく制限されており、法令で定められた利用目的以外に使うことは認められていません。マイナンバー記載の義務があるのは、社会保障、税、災害対策の3つの分野における行政手続です。

マイナンバー制度が導入され、各機関に提出する書類の様式も更新されています。事業者がマイナンバー制度に対応しなくてはならない主な事務と書類には次のものがあります。

対従業員

税務:源泉徴収票、給与支払報告書等の法定調書に、従業員の個人番号を記載(2016年分の調書、年末調整は2017年1月に提出する源泉徴収票から)

社会保険:雇用保険被保険者資格取得(喪失)届、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得(喪失)届、健康保険被扶養者(異動)届、国民年金第3号被保険者関係届等の健康保険組合・年金事務所・ハローワーク等への提出書類に、従業員等の個人番号が必要(雇用保険は2016年1月、健康保険・厚生年金保険は2017年1月から)

対取引先

  • 支払調書に、個人番号・法人番号を記載(報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書、不動産使用料等の支払調書等)

対株主・出資者等

  • 支払調書に、個人番号・法人番号を記載(配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書。氏名・住所を告知(みなし告知)している既存の株主・出資者につき、2016年1月 1日から3年間の経過措置あり)

対顧客(金融機関のみ)

  • たとえば、銀行取引においては、個人の顧客の場合、投資信託や国債、地方債などの証券取引全般、マル優・マル特の制度の利用、外国送金などの際に、マイナンバーが必要になります。

マイナンバーを収集・取得する方法

マイナンバーを利用するにあたって、まず従業員やその扶養家族、取引先等から個人番号を収集しなくてはなりません。マイナンバーの取得に際しては、次の2つのことを守る責任があります。

1)利用目的の特定と通知・公表 マイナンバーの提供を求めるときは、何に利用するのか、事前に目的を特定し、通知または公表するよう法律(個人情報法護法)で規定されています。

マイナンバーの利用範囲は、法令で限定されていますが、たとえ法令内の範囲内の利用であっても、事前に利用目的を特定していないものに転用することは禁じられます。複数の目的に利用したい場合は、すべての目的をあらかじめ特定して通知等をしておくとよいでしょう。たとえば、企業が、給与所得の源泉徴収票作成事務のほか健康保険・厚生年金保険届出事務等を行う場合、従業員等から個人番号の提供を受けるに当たって、これらの事務の全てを利用目的として特定して、本人への通知等を行うことにより、利用目的の変更をすることなく個人番号を利用することができます。

2)本人確認を厳格に行う

なりすましを防止するため、マイナンバーを取得するときは厳格に本人確認をする責任があります。本人確認は「番号確認」と「身元確認」の2つを揃える必要があります。次のいずれかの方法で確認します。

①番号確認と身元確認:マイナンバーカード1枚で完了できます ②番号確認:番号通知カード 身元確認:運転免許証またはパスポートなど公的な身分証明 ③番号確認:マイナンバーが記載されている住民票の写しなど 身元確認:運転免許証またはパスポートなど公的な身分証明

なお、扶養控除等(異動)申告書の扶養親族等の個人番号、健康保険被扶養者(異動)届の被扶養者の個人番号といった、従業員に作成義務がある書類に扶養親族等の個人番号が記載されている場合には、本人確認は従業員が行いますので、企業は扶養親族等の本人確認をする必要はありません。

マイナンバーの利用・提供に関する注意

マイナンバーの利用・提供にあたっては、厳しい制限があります。利用範囲は、法令で定められている社会保障、税、災害対策に関する事務手続きに限られています。たとえば、企業が従業員の管理などを目的に、独自にマイナンバーを利用するといった行為は違法となります。

また、企業がマイナンバーを提供できるのは、行政機関等の手続きでマイナンバーの記載が求められる場合のみです。法令で定められているもの以外に提供したり、提供を求めたりすることはできません。

このように、マイナンバーの利用・提供は厳しく制限されていますので、企業は、法で認められた場合以外の場面で従業員等が個人番号・特定個人情報を取得しないように対応策が必要となります。

業務マニュアル等の整備の具体例:

  • 個人番号取得以外の場面での本人確認のために個人番号カードの写しをとる場合には、個人番号が記載されている裏面はコピーしない。
  • 借入申込時の所得証明書類として、給与所得の源泉徴収票等の個人番号が記載された書類の提出を受けた場合、個人番号部分をマスキングして受け取る
  • 住民票の写しを住所確認等で取得する際も、個人番号の記載がない住民票にするか、個人番号部分をマスキングして受け取る

マイナンバーの保管・廃棄に関する注意

マイナンバーを含む個人情報は、原則として保管することが禁じられています。ただし、継続的に雇用するため翌年度以降もマイナンバーを使用するという場合には、書類やデータを保管しておくことができます。また、一定期間の保存が義務づけられている書類なども、期間内の保管を続けてよいとされています。

手続きの必要がなくなった場合や保存義務の期間が過ぎたマイナンバーは、速やかに廃棄または削除する必要があります。

こんなときはどうする?Q&A

マイナンバーは慎重な取り扱いが求められるため、様々な場面で疑問が生じることがあるでしょう。なかでも多く寄せられている疑問点についてみていきます。

マイナンバーを取得するタイミングはいつ?

マイナンバーは行政機関等に書類を提出する時期に取得するのが原則です。ただし、新入社員が入社するときなど、今後使用する予定が明確な場合には、前もって提供を求めることもできます。

従業員がマイナンバーの提供を拒んだら?

個人番号を提供しなくとも罰則はありません。しかし、企業は、法定調書等に個人番号を記載する義務があります。マイナンバーの提供を拒む従業員がいた場合、不安を抱いている従業員には、法令で定められている義務のもとに取得を求めていることを理解してもらうよう周知し、その記録を残しましょう。

それでも拒む場合には、提出先の機関によって受理の対応が異なるため、書類の提出先である行政機関等の指示にしたがいます。たとえば、国税庁では、単なる企業の義務違反ではないことを明らかにするため、企業がマイナンバーの提供を求めた経過などの記録をとっておくよう勧めています。

マイナンバーの取り扱いを外部に委託できる?

マイナンバーの取り扱い業務は、外部に委託することもできます。①HD会社、親会社、グループ会社内のサービス・カンパニー等での人事情報の管理、②税理士事務所、社労士事務所等への委託、③ITサービス・プロバイダーへの業務委託のような場合が考えられます。企業は、外部に委託する場合、委託先が法令を遵守した安全管理を行うよう、委託者として必要かつ適切な監督をする義務があります。信頼できる委託先を選定し、秘密保持や責任の所在について明確な契約を締結したうえで、委託先における特定個人情報の取扱状況を把握しておかなければなりません。

4.マイナンバーの取り扱いに関する企業の責任

企業には個人情報の適切な取り扱いと、情報漏えいや紛失を防ぐ措置を講じる責任があります。マイナンバーを含む個人情報の管理では、すべての企業に安全管理措置が義務づけられています。

国が示している安全管理措置の指針では、企業が取り組むべきこととして次に挙げる対応を求めています。

安全管理措置の責任とは

マイナンバーの安全管理措置は、大きく分けて4つの側面から対応する必要があります。

1)組織的な安全管理 マイナンバーの取り扱いに関する組織体制を整えます。責任者および担当者を明確にし、担当者以外は情報に接することができないよう、仕組み化を進める必要があります。

2)人的な安全管理 マイナンバーを適切に取り扱うため、担当者の教育を行います。また、すべての従業員に制度の周知徹底をはかり、安全管理の重要性を理解してもらうようにします。

3)物理的な安全管理 マイナンバーを含む個人情報を取り扱う区域のセキュリティに配慮します。情報を管理する場所や棚の施錠、端末や電子媒体の持ち出し禁止など、担当者以外が情報に触れることができないよう十分な措置が必要です。

4)技術的な安全管理 アクセス権限の設定、外部からの不正アクセス防止対策など、情報漏えいを防ぐ仕組みを整えます。

さらに、これらの安全管理措置の前提として、事務の流れを整理し、特定個人情報等の具体的な取扱いを定める取扱規程等を策定しなければなりません。

マイナンバー法に違反した場合の罰則とは

マイナンバーを含む個人情報は「特定個人情報」という扱いになり、マイナンバー法によって、利用範囲や罰則について厳しく規定されています。個人情報保護法よりも罰則の種類が多く、重い法定刑になっており、次のような罰則が定められています。

業務で取り扱う特定個人情報ファイルを正当な理由なく提供した場合(特定個人情報ファイルの不正提供) 4年以下の懲役または200万円以下の罰金、もしくは両方が科される場合もあります。

業務で知り得たマイナンバーを不正な利益目的で提供、盗用した場合(個人番号の不正提供、盗用) 3年以下の懲役または150万円以下の罰金、もしくは両方が科される場合もあります。

詐欺行為や管理侵害行為によってマイナンバーを取得した場合(詐欺行為等による情報取得) 3年以下の懲役または150万円以下の罰金が科されます。

不正な手段によって個人番号カードの交付を受けた場合(通知カード及び個人番号カードの不正取得) 6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

個人情報保護委員会による、個人番号の取扱いについて法令の規定に違反する行為を行っている者に対する命令に違反した場合(命令違反)】 2年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

個人情報保護委員会からの検査、質問に対する虚偽の報告、検査拒否があった場合(検査忌避等) 1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

担当者や従業員が不正行為をした場合、当人の法定刑だけではなく、経営者にも罰則が科せられる両罰規定があります。

5.マイナンバー制度は情報管理の転換点に

マイナンバー制度によって行政の連携が進めば、国民の生活においての利便性が向上するというメリットがあります。一方で、個人情報の管理における企業の責任はさらに増すことになります。

万一、個人番号を含む特定個人情報が漏えいした場合、企業の社会的信用は失墜し、大きなダメージを受けます。

マイナンバー制度は、企業にとっても情報管理のあり方を見直す転換点になるといえるでしょう。リスクを回避するためにも、制度をしっかり理解たうえで、これまで以上に情報管理を徹底する仕組みを構築することが求められています。


<監修>

岡 英男 弁護士(大正法律事務所)

京都大学大学院法学研究科修了・法務博士(専門職)。2007年より弁護士登録。独立行政法人国際協力機構(JICA)長期派遣専門家として、モンゴル国最高裁判所での勤務を経て、2016年、大正法律事務所設立。日本弁護士連合会国際交流委員会幹事、神戸学院大学経済学部・非常勤講師を務める。(2016年現在)


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